エディターシップ・トライアル2022  首謀はリベラルアーツな二人

2022/02/23(水)07:28
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朗読で師範代を虜にする声の持ち主、中原洋子は即興で伊藤若冲を歌い上げる。『銀河鉄道の夜』と『月の砂漠』と『CARAVAN』を三位一体で繋いでスウィングし、文学と音楽を対比する。「読んだら歌うか、書くかでアウトプットするものでしょう」。本陣の軽井沢から日夜、冊師としての激も飛ばす。

 

ジョージア・オキーフの写真集と『感ビジネス』を愛読する平野しのぶ。近代写真の父スティーグリッツの先鋭眼に、編集力を感知しほくそ笑む。「編集できないものなんてないですよね。場回しも料理も、その場の素材を組み合わせてコンテキストが出来上がる。これは仕事の基本です」意気揚々だ。

アートを愛し、借景を好み、些末事に左右されない人生を謳歌している(ように見える)二人には多数の共通項が存在している。48[守]師範という中間子ロールもその一つだ。師範は、師範代と社会、方法と指南のアイダをつなぎ、教室の裏と表でクォークの如く蠢いている。来月開催のエディターシップ・トライアル2022に向け、初出のデータを解析する社会実験のアナリストでもある。

『編集力チェック』に集まった回答は現在50余、急ピッチで工学的アーティキュレーション(分節化)が試されている。集積データを元に、特別仕立ての[守]エディットツアーを振る舞う楽屋裏は忙しい。情報は見方次第で多面的で多様な顔をもっている。リアリティとともに浮かび上がるターゲットは予測不可能で、大いに可変するだろう。

「数奇」溢れるあなた、「不足」だらけの貴方、ピンときたらばまずは『編集力チェック』へ来られたし。4月開講の49[守]に先立つ3月6日(日)午前と午後の2回、豪徳寺の本楼から2万冊の本を背景に、オンラインでのおまかせエディットツアーも開催される。いまならワンコインのおまけもあるらしい。首謀の二人のインストラクションも待っている。

 

<詳細・申込>

編集力チェック!(Editorship Trial 2022春)

イシス編集学校の「お題」をオンラインで無料体験! 所要時間は約2分。まずはご自身の編集力をチェックしてみませんか?

 

2022年3月6日(日) [守]2022春 おまかせエディットツアー(オンライン・Zoom)

イシス編集学校基本コース[守]の指導陣が編集ワークを直接ナビゲートする特別仕立てのオンラインワークショップです。午前ツアー(10:30~12:00)と午後ツアー(14:00~15:30)から、ご希望の時間帯をお選びいただけます。

  • 平野しのぶ

    編集的先達:スーザン・ソンタグ
    今日は石垣、明日はタイ、昨日は香港、お次はシンガポール。日夜、世界の空を飛び回る感ビジネスレディ。いかなるロールに挑んでも、どっしり肝が座っている。断捨離を料理シーンに活かすべくフードロスの転換ビジネスを考案中。

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025