巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
世界中が新型コロナウイルス(COVID-19)という見えない敵に戦いを挑んでいる。千夜千冊でも、ウイルスを考える2夜『ウイルス・プラネット』『流感世界』が公開され、大きな反響を呼んだ。
そのような中、インターネット上の学校であるイシス編集学校では、第45期[守](通常版)と第44期[破]の開講を筆頭に、第33期[ISIS花伝所]、第45期[守](速修版)に[遊]風韻講座 第十八座も開講目前だ。
その中で、またも輪読座の開講が危ぶまれていた。
前回の輪読座は、日本陽明学の祖と呼ばれる「熊沢蕃山」を取り上げたが、募集人数が定員を大きく割り込みそうになり存続の危機にさらされていた。
一難去ってまた一難。今期の輪読座は新型コロナウイルスに襲われていた。
輪読座はイシス編集学校で唯一のリアル読書講座である。博覧強記の輪読師・高橋秀元とともに、参加者は豪徳寺ISIS館に集まりお互いに声を出しながら輪読する事で解読力をつける講座なのだ。
だが、人との接触を8割削減することが求められている今、集合講座である輪読座はどうあるべきか窮地に立たされた。
今期の輪読座はイシス20周年記念として、満を持しての「世阿弥」だ。世阿弥の言葉や構えがいきているイシス編集学校で、世阿弥の講座を中止にしていいものか。
能はもともとは申楽という遊民たちの芸能から発達し、世阿弥の父、観阿弥が今日のような形にした。世阿弥はその芸を継承しつつも、所作や心得に言葉を与え、精神性の高い芸域「幽玄」を求めた。能はある意味、それまでの日本文化を再編集したものであり、芸としては引き算をした。
輪読座は世阿弥に肖り、編集が行われた。輪読座というスタイルを継承しながら、クオリティを高め、リアル参加者を引き算し、メディアとしてオンラインに乗り換える。輪読座は参加者が全員サテライトで参加する、新生輪読座として開講が決まったのだ。
緊急事態宣言の発出により外出を自粛すべき今だからこそ、自分の力を蓄える稽古はいかがだろうか。「年来稽古条々」。サテライト輪読座で、生涯にわたる稽古の心得を学ばれたい。
サテライト輪読座は4月26日にスタートする。
詳細はこちらから。
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
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