巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
編集工学研究所では、一部の関係者以外には極秘裏に進められているプロジェクトがある。「情報の歴史プロジェクト」もその一つ。松岡正剛校長が監修し、あらゆる情報文化史を同時年表化した書籍『情報の歴史』(NTT出版、1996年)の歴象アップデートと出版を目的としている。政治や宗教、宇宙、IT、美術、サブカルなどのジャンルを網羅するために、その道の”目利き”は欠かせない。
10月10日のプロジェクトミーティングに招いたのは、米川青馬師範。編集ライターであり、多読ジムのプログラム開発メンバーであり、舞台芸術への慧眼の持ち主だ。
演劇にスポットを当て、キーとなる劇団・演出家・劇場を中心に1990年代から2010年代を概観した。「平田オリザの功績」「SPAC『マハーバーラタ』のアビニョン演劇祭招聘」「チェルフィッチュの『三月の5日間』」を三大歴象ととらえつつ、「最近は(演劇の潮流を)一口に語れなくなってきている」と米川師範は語る。
『情報の歴史』には、以下の一節がある。
情報の歴史にはじつにさまざまな表情がある。
空間と時間の歴史,認識と表現の歴史,
戦争と生活の歴史,経済と技術の歴史,機械と医療の歴史,
繁栄と失望の歴史,子供と老人の歴史,強熱と熟慮の歴史,
大衆と個性の歴史,
それらは,あらゆるコミュニケーションの歴史であって,
またメディアのすべての歴史だった。
あらゆる歴象は相互に影響している。ペアにすることでうまれる表情がある。3.11といった出来事やテクノロジーの発展による演劇の変化も見逃せない。
そこで次回のミーティングでは、年表上で他ジャンルと照合させることによって演劇界の30年を総括することとし、お開きとなった。『情報の歴史』刊行の杮落としに向け、まだまだ稽古は続く。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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