初雪のゴートクジ 2022年初詣 10shot

2022/01/10(月)08:30 img
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 初雪にして都心では積雪10cmを超えた2022年1月6日。都内での降雪は2年ぶりだという。ゴートクジISIS館の年始会は「天から送られた手紙」とともにはじまった。

 カメラを抱えながら伴走した年始会。2022年の10shot、はじめます。

 

防寒対策をばっちりして、編集工学研究所・松岡正剛事務所の一行は松陰神社へ初詣参拝。

 

参拝のあと、境内の松下村塾をめぐる校長松岡正剛。新年はマントコートに帽子、手袋まで黒で揃えたコーディネート。雪は瞬く間に激しくなり、帽子に小さく積もる。

初詣を終えて、一行は松陰神社商店街で昼休憩をとりながら豪徳寺へ。

 

淡雪が降るISIS館。周辺の木々は雪帽子を被っている。1月6日は奇遇にも良寛の命日(1831年)でもあった。都心で積雪10cmといえば大雪だが、越後の淡雪はきっとこんなものではないだろう。

 

午後の部は「肖册会(shosatsue)」と題し、2022年に肖りたい1冊の本を通じて各々新年の抱負を語り合う。進行を務めるのは「新春オツ千スペシャル」にゲスト登場し、話題となった千夜千冊編集長・寺平賢司(右)と千冊小僧ことデザイナー穂積晴明(左)。息のあったコンビで場を取り仕切る。

 

デザイナー穂積の選んだ1冊は「文明や民族など大きなものをデザインしたい」と『夜ノ書 エットレ・ソットサス自伝』(エットレ・ソットサス/鹿島出版会)をあげた。

 

新春からオツ千スペシャルで「スナック談義」を繰り広げた遊刊エディスト編集長 吉村堅樹の1冊は『サド,フーリエ,ロヨラ』(ロラン・バルト/みすず書房)。「常識的な共通言語から新たな言語体系を設立した三人」をISIS編集学校と重ねながら読む。そう、ISIS編集学校も新たな言語体系を築いているのである。

 

総勢21名の選書はこちら。ジョージア・オキーフからレオ・レオーニ、デヴィッド・ボウイまで顔を揃える。

 

21冊分の抱負を受けて、最後に松岡校長から新しい一年に向けてアドバイスを贈る。「スキルアップは思い切った変換をしないと起こらない」そのためのヒントをいくつかに分けながらお年玉としてたっぷりスタッフに手渡していく。

 

年始会が終わった頃にはすっかり日も落ち、ISIS館の扉を開けて外に出ると豪徳寺の夜は銀世界となっていた。新雪をサクサクと踏みながら豪徳寺駅に向かう。駅前の郵便ポストの上には小さな雪だるまが並んでいた。

 

◇関連記事「NEWS 2022年あけまして、イシス館は恒例の年始会から蠢動

  • 後藤由加里

    編集的先達:石内都
    NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg