中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
19名全員放伝。32[花]入伝式から3ヶ月が経ち、2020年1月25日(土)花伝敢談儀を迎えた。これまでの演習を振り返り、師範からの評価とアドバイスを携えて、師範代になるための最後のプログラム。敢談儀を渡り、時分の花を咲かせていく。当日の景色を10ショットで振り返る。

田中泯・松岡正剛の二人はデフォルトを作ってきた。田中晶子花伝所長は『意心伝心 コトバとカラダのお作法』(春秋社)を引いて口火を切る。その場所に行って動き出せばデフォルトはつくれる。そこで踊り出せば劇場になる。それが編集。デファクトスタンダードの時代に、場所とか体験、メディエーションのデフォルトに自ら向かう。私たちはそこを突き破る必要がある。敢談儀は「敢えて談する場」。言葉を飲み込まず「ここで言う」ことをやっていこう。
花伝生による編集語りのテーマは「わたしの抽出しのなかにあるフェチ」。「もの」を介して自分を対象化し、自らの好みについて編集八段錦で語るべし。手本は『雑品屋セイゴオ』(春秋社)。

整髪料
髪をぐっとあげると気持ちも上がる。2種類のワックスを3:1の割合で混ぜるのが自分の黄金律。
(やまぶき道場 齋藤幸三)

「陀羅尼助丸」の説明書
効果効能が詳細に書いてあるのに「劇的な効き目はありません」。このチグハグさがあってもおばあちゃんに「ほら、飲んでみな」と言われたら効く気がする。
(くれない道場 福井千裕)

デーモン小暮閣下
「壊せ、壊せ、お前を蝋人形にしてやろうか」。過激なメッセージの意図には大多数に馴染めないマイノリティに対する道標や逆転の方法を提示している。モノマネは似ていた。
(わかくさ道場 佐々木章雄)

能登半島「二三味珈琲」の珈琲豆
海辺にある二三味さんの祖父の船小屋で焙煎されている。塩の匂いと珈琲の香り。網を直す祖父と焙煎する孫。そこに物語を感じる。
(わかくさ道場 釜野明子)

「セイゴオほんほん 2020.01.24(金)」で校長は「カトめぐ、よくやっている」。「カトめぐ」とは、多読ジム冊師で活躍中のNEXT ISISのエース加藤めぐみ師範代。図抜けた編集力のカトめぐの方法を八田英子律師が開いていく。

「師範代になるために資料は3種用意していました」
守のお題、4ヶ月の構想、雑談的小ネタ。部分と全体、コードとモードを有機的に動かすための用意の徹底。そこまでやるのがカトめぐだ。しかし、そのポケットに温めていた小ネタは結局一つも使わなかった。自分が設定したデフォルトを場に応じて動かしていくのが師範代の卒意。

吉村堅樹林頭が『千夜千冊エディション 編集力』をレクチャー。以下、林頭レクチャーのレジュメ。
0a.『編集力』とはなんなのか
・「編集」と「編集力」
・字紋の「相」
・「編集力」のスコープ
0b.読みのブラウザ
・何をブラウザにするのか
・6つの編集ディレクション
・「ほんほん」からのヒント
1.卓抜な編集力をつなげる
・編集装置の下準備
・快楽であり官能である
・うつうつすうつる
2.見えない連鎖の告知
・下敷きの共通感覚談義
・特筆されたポランニー
・ルイジくんとソージくん
3.アブダクションの骨法
・アブダクションしてる?
・アブダクション読んでる?
・骨法、ここが急所
4.「新・人文学」のありかた
・前提のブルーメンベルク
・編集工学インターフェイス
・認知革命、そして編集工学革命

講義をインプットしたら、次はエディットして、アウトプット。師範代の「編集力」についてグループで言葉を交わし合い、師範代像を彫塑していく。そのプロセスを師範が評価する。

締めくくりの記念撮影。ここからそれぞれのネクストステージが始まる。
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
学長 田中優子が人生で初めて男の着物を見立てることになった。しかも、その相手は林頭 吉村堅樹である。 事の発端は7月某日、学内会議中に優子学長が突然切り出した。「吉村さんは着物を着た方がいいと思うの」。 […]
2024年8月12日、イシス編集学校校長の松岡正剛が逝去した。エディスト編集部では、直後に約1カ月にわたる追悼コラム連載を実施。編集学校内外から多数寄せられた松岡校長の面影は、1年経ってもなお鮮明だ。まるでその存在が読む […]
写真家研究とモンタージュで写真を深める【倶楽部撮家:25秋募集】
倶楽部撮家 第2期生募集! 多読アレゴリア「倶楽部撮家」の第2期目は、「写真家研究」と「モンタージュ」を楽しみます。第1期目の夏シーズンは、自身の幼な心を起点にして、まずはシャッターを押してみることを試みてきました。次 […]
こまつ座「父と暮せば」をイシス編集学校の師範が観てみました 第2弾
こまつ座「戦後”命”の三部作」の第一弾「父と暮せば」(井上ひさし作/鵜山仁演出)が現在公演中です。時空を超えて言葉を交わし合う父と娘の物語。こまつ座がライフワークとして大切な人をなくしたすべての […]
こまつ座「戦後”命”の三部作」の第一弾「父と暮せば」(井上ひさし作/鵜山仁演出)が現在公演中です。時空を超えて言葉を交わし合う父と娘の物語。こまつ座がライフワークとして大切な人をなくしたすべての […]
コメント
1~3件/3件
2025-10-29
中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
2025-10-28
松を食べ荒らす上に有毒なので徹底的に嫌われているマツカレハ。実は主に古い葉を食べ、地表に落とす糞が木の栄養になっている。「人間」にとっての大害虫も「地球」という舞台の上では愛おしい働き者に他ならない。
2025-10-20
先人の見立て力にひれ伏すしかないと思って来た「墨流し」。戯れに、Chatさんに「蝶のスミナガシを別の見立てで改名するにはどんな名前がいいですか?」と尋ねてみて、瞬時に現れた名答に打ち拉がれております。