[破]番匠野嶋真帆は宣言した。「破は新しいフェーズに入りました」カリキュラムも指導陣も、そして教室名もさらなるハイパーへ向かう。
教室名が出世魚するようになってはや2年。第77回感門之盟でも、この秋10月開講の47[破]を受け持つ教室名がパワーアップした。[守]時代の教室名をベースに、校長松岡正剛が再編集。
ナビゲートを担当したのは、スーツに羽織をまとい、ファッションを格上げした中村まさとし([破]評匠)。脇をかためるのは、登場するたびチャットで「梅澤師範かっけー!」と嬌声の飛ぶエディトリアルジャズピアニスト・梅澤光由([守]師範)だ。
師範代にとって教室名とは、初めて買ってもらった晴れ着のようなもの。それを4ヶ月間着倒すことで、第二の皮膚になる。それゆえ師範代としての進破に際して、名が変わることに怖気づく者もいる。しかし松岡は校長校話にて、語気強く言い放った。「教室名など『たくさんのわたし』はつねにレイヤー構造にして、いつでも出入りできるようにしなさい」 名が変わること、それはすなわち私が増えることなのだ。
中村は、アイドル・ママ師範代新井に問うた。「守の教室名、好きですか」「もちろんです」新井は即答。そこへ松岡が重ねる。「新教室名、もっと気に入るからね」
各師範代の来し方行く末、好きもキライも抱き込んだ松岡渾身の編集をとくと堪能あれ。
◆細田陽子師範代
時鐘連音教室 → 時たま音だま教室
トップバッターは細田。「『時』も『音』も大事にしている言葉だったので、とてもうれしい」と控えめに喜びの鐘を鳴らした。
◆山口泉師範代
水分カミーノ教室 → 泉カミーノ教室
「水分」は「みくまり」と読み、分水嶺、龍の伏せる幸運の知
◆小桝裕己師範代
トポス清冽教室 → 未知トポ教室
仕事の休憩中、歩きながら登壇した小桝。「未知ってなんですか?」と司会に問われ、柔和な顔をことさらにデレデレにする。小桝は[守]師範代登板中、イシス婚した浦澤美穂とのあいだに第一子が誕生。未知とは、その愛娘の名だ。
⇒母ミポリンから見た、小桝家の未知ちゃんの様子「ふたたび、コップの使い道」
◆稲垣景子師範代
オブザぶとん教室 → オブザ・ベーション教室
ボルダリングを趣味にする稲垣は、教室名を受け「ナカグロが何か考えたい」と即応。松岡は「いろんな”ベーション”を考えてね」と応じた。
◆新井和奈師範代
アイドル・ママ教室 → アイドルそのママ教室
「さすが校長の編集、と言わせる」と、めずらしく松岡が自賛したのがこの名。ピンクレディの「UFO」に乗せ、新教室名がコール。「美しい母」を目指したいという新井には、司会中村も「お会いできてうれしい」と鼻の下を伸ばした。
◆清水幸江師範代
一客一亭教室 → 八客想亭教室
濃青の着物に身を包んだ清水は、「好きな数字は8。どこかで書いたけど、どこで見られたんだろう」と目を丸くし、松岡は「ぜんぶ見るんです」とほくそ笑む。
◆佐藤健太郎師範代
「象」徴ドミトリー教室 → 現象印象表象教室
アフリカのザンビアで働いていたという佐藤。教室名を受け「……象だらけですね」 松岡は静かにこたえる。「佐藤くんには、三”象”法師になってもらいたいんだよ」
◆堀田幸義師範代
セッケン時空屋教室 → 万事セッケン教室
石鹸を手作りする堀田は、「万事万端、ダンゼンダントツでいきたい」と鼻息を荒くした。松岡からは、「磐司磐三郎について読みなさいね」と宿題が課せられた。
◆長島順子師範代
柄々八犬伝教室 → レディ・ガラ教室
「洋楽はお好きですか」「はい」というやり取りから、流れるBorn this way。そして柄好きの長島は踊りだした。「とことんできないときは、レディ・ガラガラよ」と松岡は釘をさす。
▲長島を後ろから睨むのは、編集の巨人となった松岡。作画は「マンガのスコア」連載中の堀江純一の手によるもの。
中村は新教室名に沸き立つ本楼で、とある「炭男」の話を始めた。それは、かつての松岡の自称。ふだんは熾火、触れば壊れるフラジャイル。しかし乞われればすぐに熱を出し炎を捧げる。そんな火元松岡の生き方に憧憬をむけながら、「総理も変わり、社会も変わるこの時代に、火を届ける編集学校になれ」と言葉のマッチを擦った。
応用コース 第47期[破]※卒門者限定
入門日:2021年10月4日(月)
稽古期間:2021年10月11日(月)~2022年2月6日(日)
詳細・お申し込みはこちら
※破をもっと知るなら
●松岡正剛ライティング術!文章のクオリティを格上げする「ポッと出」とは【46破 知文AT】
●名付けは「呪」イシスの名前が変なワケ【46[破]教室名総覧】
写真:上杉公志
文:梅澤奈央
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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