『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
[破]番匠野嶋真帆は宣言した。「破は新しいフェーズに入りました」カリキュラムも指導陣も、そして教室名もさらなるハイパーへ向かう。
教室名が出世魚するようになってはや2年。第77回感門之盟でも、この秋10月開講の47[破]を受け持つ教室名がパワーアップした。[守]時代の教室名をベースに、校長松岡正剛が再編集。
ナビゲートを担当したのは、スーツに羽織をまとい、ファッションを格上げした中村まさとし([破]評匠)。脇をかためるのは、登場するたびチャットで「梅澤師範かっけー!」と嬌声の飛ぶエディトリアルジャズピアニスト・梅澤光由([守]師範)だ。


師範代にとって教室名とは、初めて買ってもらった晴れ着のようなもの。それを4ヶ月間着倒すことで、第二の皮膚になる。それゆえ師範代としての進破に際して、名が変わることに怖気づく者もいる。しかし松岡は校長校話にて、語気強く言い放った。「教室名など『たくさんのわたし』はつねにレイヤー構造にして、いつでも出入りできるようにしなさい」 名が変わること、それはすなわち私が増えることなのだ。
中村は、アイドル・ママ師範代新井に問うた。「守の教室名、好きですか」「もちろんです」新井は即答。そこへ松岡が重ねる。「新教室名、もっと気に入るからね」
各師範代の来し方行く末、好きもキライも抱き込んだ松岡渾身の編集をとくと堪能あれ。
◆細田陽子師範代
時鐘連音教室 → 時たま音だま教室
トップバッターは細田。「『時』も『音』も大事にしている言葉だったので、とてもうれしい」と控えめに喜びの鐘を鳴らした。
◆山口泉師範代
水分カミーノ教室 → 泉カミーノ教室
「水分」は「みくまり」と読み、分水嶺、龍の伏せる幸運の知
◆小桝裕己師範代
トポス清冽教室 → 未知トポ教室
仕事の休憩中、歩きながら登壇した小桝。「未知ってなんですか?」と司会に問われ、柔和な顔をことさらにデレデレにする。小桝は[守]師範代登板中、イシス婚した浦澤美穂とのあいだに第一子が誕生。未知とは、その愛娘の名だ。
⇒母ミポリンから見た、小桝家の未知ちゃんの様子「ふたたび、コップの使い道」
◆稲垣景子師範代
オブザぶとん教室 → オブザ・ベーション教室
ボルダリングを趣味にする稲垣は、教室名を受け「ナカグロが何か考えたい」と即応。松岡は「いろんな”ベーション”を考えてね」と応じた。

◆新井和奈師範代
アイドル・ママ教室 → アイドルそのママ教室
「さすが校長の編集、と言わせる」と、めずらしく松岡が自賛したのがこの名。ピンクレディの「UFO」に乗せ、新教室名がコール。「美しい母」を目指したいという新井には、司会中村も「お会いできてうれしい」と鼻の下を伸ばした。
◆清水幸江師範代
一客一亭教室 → 八客想亭教室
濃青の着物に身を包んだ清水は、「好きな数字は8。どこかで書いたけど、どこで見られたんだろう」と目を丸くし、松岡は「ぜんぶ見るんです」とほくそ笑む。

◆佐藤健太郎師範代
「象」徴ドミトリー教室 → 現象印象表象教室
アフリカのザンビアで働いていたという佐藤。教室名を受け「……象だらけですね」 松岡は静かにこたえる。「佐藤くんには、三”象”法師になってもらいたいんだよ」
◆堀田幸義師範代
セッケン時空屋教室 → 万事セッケン教室
石鹸を手作りする堀田は、「万事万端、ダンゼンダントツでいきたい」と鼻息を荒くした。松岡からは、「磐司磐三郎について読みなさいね」と宿題が課せられた。
◆長島順子師範代
柄々八犬伝教室 → レディ・ガラ教室
「洋楽はお好きですか」「はい」というやり取りから、流れるBorn this way。そして柄好きの長島は踊りだした。「とことんできないときは、レディ・ガラガラよ」と松岡は釘をさす。
▲長島を後ろから睨むのは、編集の巨人となった松岡。作画は「マンガのスコア」連載中の堀江純一の手によるもの。
中村は新教室名に沸き立つ本楼で、とある「炭男」の話を始めた。それは、かつての松岡の自称。ふだんは熾火、触れば壊れるフラジャイル。しかし乞われればすぐに熱を出し炎を捧げる。そんな火元松岡の生き方に憧憬をむけながら、「総理も変わり、社会も変わるこの時代に、火を届ける編集学校になれ」と言葉のマッチを擦った。
応用コース 第47期[破]※卒門者限定
入門日:2021年10月4日(月)
稽古期間:2021年10月11日(月)~2022年2月6日(日)
詳細・お申し込みはこちら
※破をもっと知るなら
●松岡正剛ライティング術!文章のクオリティを格上げする「ポッと出」とは【46破 知文AT】
●名付けは「呪」イシスの名前が変なワケ【46[破]教室名総覧】
写真:上杉公志
文:梅澤奈央
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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万巻の書を読む。難読古典を我がものとする。 松岡正剛、立花隆、池上彰、高山宏といった博覧強記と言われるものたちが、どのように本を読み、知を血肉化しているのか。誰しもが、その方法に関心をもつのではないだろうか。 &nb […]
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伝へて習はざるか。 千夜千冊996夜 王陽明『伝習録』では、『論語』学而の「伝不習乎」を引いて、「伝習」の意味を説いている。雛鳥が飛び方を学ぶように、人が真似て、何事かに集中していくことが「習」の字には込められている […]
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コメント
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2026-03-19
『絵師ムネチカ』から目が離せない。天才は往々にして何かが欠けている。そしてそのこと自体がまた天才の天才性を引き立たせる。周囲の人々の鼻面を引き回し、人生を変えていく「天才少年」のデモーニッシュな魅力を容赦なく描いた怪作。
これまでにも「神童」もの(?)を数多く描いてきたさそうあきら先生だが、ご本人は極めて方法に自覚的な職人タイプ。長年、マンガ学科の教員として教鞭をとり、『マンガ脚本概論』などの技法書にも定評がある。
2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。