外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
卒門式は感情が感染する。
「何が起こるかわからない、生き物みたいな編集学校」と涙する圓尾に、本楼にいる律師八田はもらい泣き。
「断乎として教室名を然らしめる稽古ぶりを誇りに思う」と備長炭のような教室を凛と語る稲垣には、集う師範代が大きくうなずいた。
卒門式は、半年のありったけの思いを90秒で発露する師範代の晴れの場だ。そんな舞台に、学衆が見立てた衣装で身を包んだのは堀田。和製メン・イン・ブラックとばかりに、作務衣にネイルからイヤーカフまですべて、黒い染め上げたユニークな出で立ちもあった。師範三國は、堀田を「学衆さんに編集してもらった」と拍手を送り、稲垣は学衆に「私を師範代にしてくれてありがとう」と相互編集に礼を述べた。
第77回感門之盟「DAN ZEN イシス」で、47[守]を終えた師範代21名に「先達文庫」が授与された。編集学校では一期を全うした師範代に、松岡校長が自ら本を選んで贈る。師範が師範代をねぎらう感門表を授与し、先達文庫を託された鈴木康代学匠と大武美和子輪匠が、師範代を称えながら一冊一冊手渡していく。
▲粋な出で立ちで小気味よく本の紹介をする大武と、楽しみに待つ長島。
◆桑田惇平師範代(極性アンバンドル教室)
『よくわかるメタファー』(瀬戸賢一/ちくま学芸文庫)

◆稲垣景子師範代(オブザぶとん教室)
『海を見たことがなかった少年』(ル・クレジオ/集英社文庫)

◆真武信一師範代(混合ポリローグ教室(速修))
『折口信夫伝』(岡野弘彦/ちくま学芸文庫)

◆堀田幸義師範代(セッケン時空屋教室)
『折りたたみ北京―現代中国SFアンソロジー』(ケン・リュウ=編/ハヤカワ文庫)

◆佐藤健太郎師範代(「象」徴ドミトリー教室)
『世界の半分を怒らせる』(押井守/幻冬舎文庫)

◆西宮牧人師範代(カンテ・ホンド教室)
『ベンヤミン 破壊・収集・記憶』(三島憲一/岩波現代文庫)

◆下田富美子師範代(本達ビードロ教室)
『図書館の興亡』(マシュー・バトルズ/草思社文庫)

◆阿久津健師範代(そこそこノンブル教室(速修))
『眼の冒険―デザインの道具箱』(松田行正/ちくま文庫)

◆赤木美子師範代(近々ワンダー教室)
『家と庭と犬とねこ』(石井桃子/角川文庫)

◆新井和奈師範代(アイドル・ママ教室)
『妹たちへ』(矢川澄子/ちくま文庫)

◆圓尾友理師範代(妖精アスリート教室)
『幻獣の話』(池内紀/講談社学術文庫)

佐藤は、4ヶ月の道のりをイスラエル・ネゲヴ砂漠でのマラソン大会にたとえ、番匠景山は「編集は世界とつながってこそ意味がある。みなさんの言葉で世界は豊かになる」と編集の足を止めぬよう激励。
校長松岡は、イシスネオンを背負ってすべてを見つめる。「いいぞー」と大向うから声がかかるなか、師範代は泣き笑いの挨拶を終えた。手渡された先達文庫には、一人ひとりに向けて松岡直筆のメッセージがしたためられている。それを読み、彼らは再度涙する。
ご卒門された皆様、おめでとうございました。
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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