橋本英人(編集工学研究所)が数年ぶりにエディットツアーに帰ってきた。企業研修や本に関わるプロジェクトを通して、ブックエディターとして腕を磨いてきた橋本である。「読書は編集である」と掲げた読書術ワークは、受付開始後から反響がよく、急遽申し込み人数を増員するほどとなった。
8月6日当日は最高気温35度の真夏日となった。現役師範代や学衆、受講経験者をはじめ、親子、夫婦、読書会仲間など17名の参加者が、昼下がりの本楼に集う。「本楼に一度来てみたかった」「『多読術』を読んで」「Hyper Editing Platform AIDAが気になる」など参加理由もさまざま。
この日のメインは読書術ワーク。読書を読前・読中・読後にわけて、1冊の本のインプットからアウトプットまでを高速で体験してみる。まずは、2万冊の本の中から気になる1冊を選び、本と自分を重ねて自己紹介。本を媒介とすることで、今日はじめて会う人とも会話が膨らむ。
本とはすでに編集されたメディアである。そこには著者の思考モデルが表れている。「本文を全部読むことだけが読書ではないんです。著者のモデルを借りながら読んでいきましょう」橋本の軽やか且つ要所を押さえたナビゲートで、参加者は手にした1冊を高速で読み進めていく。
読書術ワークでは、いきなり本文を読み始めることはしない。本を手に取り、ゆっくり表紙を味わう。目次を読み込み、キーワードを書き出す。キーワードを手すりに、一気に本文を読み進める。与えられた時間は10分のみ。集中が高まる。本楼にはページをめくる音だけが響く。(書棚には校長 松岡正剛がマーキングした本(通称:当たり本)も並んでいる。この日は数名が当たり本を手にしていた!)
10分で1冊をインプットしたら、アウトプットへ。しかし、ただ本の内容を要約するのみならず。読書を通して「気づき」を得て思考することがキモである。この日のテーマは「本から得た気づきをもって、次世代に残したい日本や日本人らしさとは何か?」グループで交わし合うこと。
それぞれに得た「気づき」を交わし合い、次世代の日本を考える。最後に5つのグループから発表のあった「次世代に残したい日本」はこんな感じだ。
次世代に残したい日本や日本人らしさ
◇ 寛容精神とものごとの最小単位を見失わないこと。
◇ グローバルスタンダードではない日本独自の変化を目指すこと。
◇ 余白、隙間、省略から多様性を生みだすこと。
◇ 経済合理性から離れて風通しの良い環境や地域をつくること。
◇ 自分とモノとの関係の中でものごとを見ていく精神を起こすこと。
各グループからの発表が進んでいく中で、不寛容・グローバルスタンダード・経済合理主義などが現代日本における生きづらさを醸成しているという問題意識が浮き彫りになっていった。
「読書は編集である」を旗印に行われた今回の読書術ワーク。著者のモデル(型)を借りて、インプットとアウトプットを同時に行うことは編集の基本である。1冊の本を介して交わし合った高揚感で、本楼は熱を帯びたまま、この日は閉幕となった。
久しぶりにエディットツアーに登壇した橋本は、場の熱気を受けてか、鼻息荒く次の企画をもう考えていた。
編集ワークが体験できるエディットツアー開催中!
詳細・申込はこちらから:https://es.isis.ne.jp/admission/experience
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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