マンガにおける短詩系文学といえば四コママンガということになるだろう。四コママンガに革命をもたらした最重要人物の一人である相原コージは、そのものズバリ『漫歌』をものした。
戦後、突如として誕生した学校「鎌倉アカデミア」とは何なのか。【勝手にアカデミア】では、イシス編集学校のアーキタイプともいうべき同校をもどいてきましたが、中でもいちばんの謎は、文学科、演劇科、映画科にならんで「産業科」がもうけられていたことでした。
探究してみるとそこには、同校校長・三枝博音の「技術」に対する並々ならぬ思いがありました。三枝は「技術」を「哲学」と同等のものと位置づけ、そこに思想を見出していたのです。実際、『技術の哲学』や『技術家評伝』といった技術をめぐる本を数多く残しています。
東西48名を取り上げた三枝の『技術家評伝』で、最も頁を費やしたのが、誰であろうレオナルド・ダ・ヴィンチです。三枝いわく、《レオナルドはまことに類比なき偉大な技術家であったのである》。
「鎌倉アカデミア」の「産業科」を学んで来た【勝手にアカデミア】の面々が、三枝にならって、ダ・ヴィンチの『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)』(岩波文庫)を三分割書評で取り上げます。評者が「これは!」と思ったダ・ヴィンチの言葉を引用しつつ、その言葉を「鍵」にして、レビューを展開しました。ダ・ヴィンチの言葉とともに、【勝手にアカデミア】による3×REVIEWSをお楽しみください。
●1 ダ・ヴィンチ、「バカの壁」に吠える
序
人生論
●2 ダ・ヴィンチ、地球の「未来」を突き放す
文学(寓話、笑話、動物譚、預言など)
●3 ダ・ヴィンチ、絵画と知を結びつける
「絵の本」から(遠近法、解剖、美について、風景、自然など)
『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記』(全2冊)
杉浦明平訳、岩波文庫
■上巻目次
レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯とその手記
序
人生論
文学
「絵の本」から
三枝博音は、ダ・ヴィンチの「手記」をこう評価しています。
《相互にはひどくかけ離れていると思える殆ど一切の物を彼自身の連絡において同じ紙に書き付けたという主観内の美の世界のあの逍遥性、彼の心の戯れと悦び、実にこのことを技術家としてのレオナルドに発見してみるべきではないか》(「技術家評伝」、『三枝博音著作集 第9巻』中央公論社)
かけ離れているものに関係線を引く。逍遥性――つまり行ったり来たりのぶらぶら加減。こうしたことに遊びやよろこびを見出すカマエ。ダ・ヴィンチの中にもまた、松岡正剛のいう「編集的自己」を見出すことは容易なのです。三枝博音、ダ・ヴィンチ、松岡正剛が繋がりました。(み勝手・角山祥道)
Info 多読アレゴリア 2026年冬シーズン
【開講期間】2026年1月5日(月)~3月29日(日) ★12週間
【URL】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2026winter
【申込締切】2025年12月22日(月)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込) ※ クレジット払いのみ
【勝手にアカデミア・運営メンバー】播種:大塚宏(せん師)、原田祥子(お勝手)、角山祥道(み勝手)
●【勝手にアカデミア】をもっと知るには●
○3× REVIEWS(三分割書評)
【勝手にアカデミア】『三枝博音と鎌倉アカデミア』×3×REVIEWS
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
【勝手にアカデミア】『レオナルド・ダ・ヴィンチの手記(上)』×3×REVIEWS(当記事)
○吟行レポ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】はとさぶ連衆、鎌倉に集い俳句を詠みつつアカデミア構想に巻き込まれるの巻
○クラブ紹介
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア①】勝手にトポスで遊び尽くす
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア②】文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア③】2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
【多読アレゴリア:勝手にアカデミア】勝手に映画だ! 清順だ!(25春)
勝手にアレコレ売っちゃいます【別典祭】勝手にアカデミアの企み
勝手にアカデミア
編集的先達:三枝博音。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】は、鎌倉に生まれた伝説の学校「鎌倉アカデミア」をもどきながら、トポスにトピカ、映画に産業、文学に演劇……などなど勝手に学び、勝手に語らい、勝手に創出する。
勝手にアレコレ売っちゃいます【別典祭】勝手にアカデミアの企み
■「鎌倉アカデミア」をご存知ですか? 「鎌倉アカデミア」は鎌倉に、戦後4年9ヶ月間存在した大学です。戦後の荒廃期、あらゆるものを失った日本に、文化や思想を取り戻すべく鎌倉在住の名士らが立ち上がり、作り上げた学びの場でし […]
【勝手にアカデミア】夏の俳句ingレポ(秋メンバー募集中!)
《念力のゆるめば死ぬる大暑かな》(村上鬼城) なんて物騒な俳句もございますが、仲間がいれば念力いらず、われらが【勝手にアカデミア】(多読アレゴリア)は去る7月27日、酷暑に負けず「鎌倉俳句ing」と洒落込みました。【勝手 […]
戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年夏シーズンは、同校の文学科講師、作家の高見順が昭和20年の1年間を綴った『敗戦 […]
夏、高見順の『敗戦日記』を読む【勝手にアカデミア/多読アレゴリア】
戦後80年のこの夏、多読アレゴリアのクラブ【勝手にアカデミア】は、高見順の『敗戦日記』を共読します。 「鎌倉アカデミア」は、戦後すぐ、鎌倉に誕生しました。敗戦で「なにもない」中、人々が欲したのは「知」で […]
【勝手にアカデミア】『鈴木清順エッセイコレクション』×3×REVIEWS
戦後すぐに鎌倉にできた伝説の学校「鎌倉アカデミア」。多読アレゴリアの【勝手にアカデミア】では、同校の「学びのモデル」を取り出してきた。25年春シーズンは、同校の映画科をもどき、卒業生・鈴木清順の方法を共読した。ではいっ […]
コメント
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2025-12-10
マンガにおける短詩系文学といえば四コママンガということになるだろう。四コママンガに革命をもたらした最重要人物の一人である相原コージは、そのものズバリ『漫歌』をものした。
2025-12-09
地底国冒険譚の主人公を演じ切った幼虫と灼熱の夏空に飛び立った成虫、その両方の面影を宿すアブラゼミの空蝉。精巧なエンプティボックスに見入っていたら、前脚にテングダニの仲間が付着しているのに気づきました。
2025-12-02
{[(ゴミムシぽいけどゴミムシではない分類群に属している)黒い星をもつテントウムシに似た種]のように見えるけど実はその偽物}ことニセクロホシテントウゴミムシダマシ。たくさんの虫且つ何者でもない虫です。