「子どもにこそ編集を!」
イシス編集学校の宿願をともにする編集かあさん(たまにとうさん)たちが、「編集×子ども」「編集×子育て」を我が子を間近にした視点から語る。
子ども編集ワークの蔵出しから、子育てお悩みQ&Aまで。
子供たちの遊びを、海よりも広い心で受け止める方法の奮闘記。
*前編 編集かあさんvol.52 喧嘩するならアナキズム【82感門】DAY1はこちら
DAY2、テレビが登場
第82回感門之盟・番期同門祭2日目は午前11時30分からスタートした。この日も長男(高2)、長女(小5)は一緒に来た。
1日目蝶ネクタイだったユート君は、今日はラフな姿である。
たまたま同い年のイオリ君とまったく同じデザインのポケモンのTシャツで、朝に会った時には盛り上がったという。
イオリくんが、昨日一緒に遊んだゴウくんが来ないと聞いて一瞬、しょんぼりする。
子どもスペースには1日目にはなかったテレビが設置されていて、ドラえもん鑑賞会が始まっていた。
昨日よりも子どもたちの年齢層は高めで、落ち着いた雰囲気になっていた。モニターには黄色くて耳があるネコ型ロボットがいっぱい映っている、ドラえもん誕生の秘密のエピソードらしい。長女はおもしろそう!とすぐに座って見始めた。
あまりアニメを見ない長男は舞台の方へいく。
少し子どもフィールドメンバーと1日めの振り返りをしたあと、破コースの師範代を讃える突破式を見にいく。11月に一緒に奈良でエディットツアーをする予定の登田信枝師範代と矢倉芳夫師範代が登壇するので、直接、拍手を送りたかった。
感門団でもある子どもプランニングフィールドメンバー。
得原藍さん(右)はDAY1の着物から着替え
突破式
焼き付ける
1日目は見られなかった展示を見て、多読アレゴリアコーナー、九州支所の展示など、これからのイシス編集学校の鍵になるであろうシーンを目に焼き付ける。
離ブースの中村羯磨さんとは12守のご縁、20年越しで写真を撮る。
名古屋支所のカフェブースvankisy cafeのスペシャルブレンドをいただく。等身大のセイゴオ像には何度通ってもドキリとさせられた。
離の別番を務めた松丸本舗BSEの小川玲子さんと言葉を交わすのは八離ぶりだった。1日目の退院式で感じたことを伝えることができた。「苦手」こそが、用意と卒意を駆動させるのだということを学び直す。
エディットカフェを通じて、この日来られなかった人に送ろうと16守と19破のおちこちアーモンド出身で師範代としていくつもの教室を持った原田祥子さん、重廣竜之さんと揃って写真を撮る。
ふらりとやってきた長女が、「お母さんってまつみちさんって呼ばれてるんだね」という。
多読アレゴリア「よみかき探Qクラブ」コーナー
守破おちこちアーモンド学衆のお二人と一緒に。(真ん中が筆者)
小さな事故や事件
昼餉は「たらこパスタ」だった。
子どもスペースのアニメは「おさるのジョージ」に変わっていた。
原題は「Curious George」で、ジョージが磁石で遊びながら、地球の不思議を学んでいくストーリーだ。
長女は、手では折り紙を折り、「普段は見ないけど、こういうところで見るとおもしろいんだよね」と会話しながら見ている。
昼餉のたらこパスタ
「あっ」
少し離れている間に、大量のベビースターラーメンがこぼれるという事件が起こったらしい。
「ほうき、ない?」
探しにいくけれど見つからないので、紙を即席の箒とちりとりにして片付ける。
子どもが、何かをこぼすことが「大事件」になったり、こぼしたのは自分じゃないと言ったりするのは、社会の何を暗示しているのだろう。そういう時、大人はどうするか。自由な遊びと安全性の関係について。感門団の隙間に見守りにきた得原藍さんと話がつきなかった。
声が聞こえる
子どもフィールドができるきっかけになった広島の浦澤美穂さんが夫の小桝裕己さんと、みちちゃんと一緒にやってきた。ズームでの千夜千冊共読会でよく会っているけど、普段と違う光をまとっている。と思ったら、2日目後半の司会として登場し、驚く。
広島から浦澤美穂さん(中央)が到着
守破離・三匠会談の間に窓の外はトワイライト色に変わっていく。社会学者・大澤真幸さんのco-missionメッセージのあと、2日間のエンディング映像が流れ始めた。
ご無沙汰しておりました。
松岡正剛です。
松岡校長の声が聞こえてくる。会場がシンとする。
「ちょっと見てきます」と、郁恵さんが子どもスペースを離れて見にいく。イオリくんが後を追いかけて走っていった。
どら焼きとずんだパイ
会場であるネットワンバレーを出ると、東京モノレールの駅舎の向こうに、ふくらみかけた月がのぼっている。
大井競馬場前駅から浜松町までの間、多読アレゴリアで群島ククムイクラブを準備している渡會眞澄さんとお話しする。
北海道から沖縄まで、本当にたくさんの人と会えた2日間だった。
北海道からタップシューズとともにやってきた神尾美由紀さん
少しずつ別れていって、品川駅で3人になった。
帰りの新幹線を待ちながら、名札の裏のQRコードを読み取り、感想を入力した。長女にも尋ねてみる。子どもたちの中にどんなふうにこの2日間が位置付けられたのか知りたかった。
「どら焼きがおやつに出てよかった。おいしかった。校長が好きだったって紹介されてた。そのことを書きたい」といったので意外だった。長男が、「2日目に出た、ずんだパイもすごくおいしかった」と付け加えた。
夕日に照らされるネットワンバレー
とまらない子どもたち
長男にもうあと2つ、印象に残っていることをあげてみてと聞くと、ホールを飾っていた赤い提灯と、穂積晴明方源が校長の書を元にデザインした「校長の書」だという。普段と違う場所でも、「らしさ」が再現されていたと感じたのがすごいなと思った理由だ。
アンケートには書かなかったけれど、長女にとって一番楽しかったのは屋上に行けたことだった。ネットワンシステムズの社員の方が「行ってみたい!」という子どもたちの強い好奇心に応えて連れていってくださった。
「芝生で、風が吹いてて、飛行機がすぐ近くを飛んでいて、すごく迫力があった。寝転んだら本当に気持ちよかった」
動画を見ると、小さな子たちは駆け出し、大きな声で呼び合っている。
会場であるネットワンバレーは2023年にできたばかりであること、設計に「企業にも縁側や床の間のような空間が必要なんだよ」という松岡正剛校長の言葉がきっかけで生まれた建物だった。
子どもたちほど、広い縁側が必要なのだ。地球を飛び出して、宇宙に住もうとして試行錯誤している人類の姿が重なった。
屋上から見えた飛行機
社会の縁側・ネットワンバレーを運営するネットワンシステムズ株式会社。
2009年から主催、松岡正剛が監修した「縁座」は『匠の流儀 ー経済と技能のあいだ』(春秋社)に記録されている
写真協力:編集かあさん家の長男
info.
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松井 路代
編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。
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