巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
2018年10月13日 (土)、青山ブックセンター本店 大教室にて、「ロボットもどき・人間もどき」と題し、ロボット研究者の石黒浩とイシス編集学校校長・松岡正剛の対談が行われた。2017年12月、松岡が塾長をつとめるハイパーコーポレートユニバーシティに石黒さんがゲスト講師として登壇して以来の再会となった。
対談はハイパーでの打合せで手渡した松岡著『擬 MODOKI:「世」あるいは別様の可能性』(春秋社)の話からはじまった。石黒が「『擬』と自分のアンドロイドや仕事との相性のよさを感じた。「もどき」は発展の重要な鍵だ」と語り、松岡は「『もどき』で歴史を書き直したほうがいい」と述べ、1時間半の「もどき」談義を展開した。
人の被服はすでに「もどき」であって、本質であること。お互いの小学生時代のエピソード。石黒が最近「魂」をつくりたいと考えていて、その重さを感じるのにモデルガン集めに熱中しているということ。AIは略図的に世界を補足、補填することができないということ。顔の「美」はいかに人の想像力を引き出せるかということで定義できるという石黒の見解、などと高速に対談のテーマを移しながら進行した。
さらに、松岡から石黒に対して、「アンドロイドはセットにしたほうがいい」「コードからモードを創り出してもらいたい」「いまのアンドロイドにはつけまやイヤリングにあたるものがない」という示唆があった。松岡は自分がかつて尾学や夢学に取り組んだことを引き合いにだして、石黒に対する期待をこめて「まだ実在していない学問、技術に向かってほしい」とメッセージを贈り、最後はふたりが握手を交わして対談を締めた。
吉村堅樹
僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。
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