目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
突破から、ひと月過ぎた3月7日。55[破]の教室横断汁講としてアート繚乱展が開かれた。お題は「全然アートなわたし」。破のクロニクル編集術で綴った自分史をグラフィックで表現する番外稽古である。
今回、参加した学衆は、以下の9名。
馬野友之さん(梁塵ほたほた教室)
平賀敦巳さん(藪からべらぼう!教室)
松前友博さん(メトード異遊教室)
笠井さん(めでたし萌繍教室)
佐藤雅子さん(ふきよせエディション教室)
山本真紀子さん(メトード異遊教室)
神谷尚史さん(かはの百韻教室)
湯山聡さん(カエル・カワル教室)
渡邉さん(オリベゆうゆう教室)
水の循環模型、平賀源内、杉浦康平、ナウシカ、EURO-NARASIA Qと山、心象風景、観覧車、大根、学年別学習雑誌。思い思いのモチーフを使って語られる自分史たちが集まった。
ミスター・ボーンズこと白川雅敏番匠の司会のもと、1つ1つの作品が、学衆によって語られ、学衆と山下雅弘師範、森川絢子師範との交わし合いで学衆の数寄が際立つ。そして、グラフィックデザイナーの野嶋真帆評匠から、クロニクルのビジュアルデザインしての評価と、よりよいデザインに向かうためのアドバイスが伝授される。
最後に、神・妙・能・逸の四景が際立つ5作品がピックアップされ、アワードが贈られた。
神景賞は、梁塵ほたほた教室の馬野さん。雲から雨、川、海、水蒸気と、その形態と場所を変化させながら循環する水に自分史を投影した作品である。水の循環を立体オブジェで製作した力作。
妙景賞は、かはの百韻教室の神谷さん。星空を背景に自分史の歴象を巡る輝く観覧車と下半分に記された紀行文が重奏的に詩情を響かせる作品。
能景賞は、メトード異遊教室の松前さんと、カエル・カワル教室の湯山さん。松前さんの作品は、松岡校長が「かけがえのない人」と千夜千冊に記した杉浦康平さんへのオマージュに溢れ、『全宇宙史』などの図像と自分史を複数のレイヤで重ねられている。湯山さんの作品は、家庭菜園で収穫した不思議な形をした大根をシルエットにして、自分史に関連する世の中の出来事を仕事にまつわる地上と、遊びにまつわる地下に分けて記している。
逸景賞は、オリベゆうゆう教室の渡邉さん。某社の学年別学習雑誌を思い出させる「小学感の小学45年生」の表紙が鉛筆で手描きされている。「中学生の友」ならぬ「花伝所の友」を少女が抱いているなど、パロディがふんだんに盛り込まれている作品だった。
「全然アートなわたし」は、テキストで直線的に綴られた自分史を、具体的なモノやシーンに託して捉え直すお題である。今回、9作品全てから感じられたのは、自分史が持つ曲線的な流れや分岐、循環、あるいは淀みを浮かび上がらせるだけでなく、具体的なモノの形態や要素が、自分史に隠されていたコトを偶有的に発見する機会を生むということだ。松岡校長が図像編集を稽古に取り込みたいと話していたのは、こうした偶有性への新しい扉を開くためではなかったか。直線的なテキストから漏れていく「わたし」を、図像という網ですくい上げる。参加した学衆の「難しかったけれど、面白かった」という感想も、きっとその手応えにつながるものに違いない。
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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コメント
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2026-03-17
目玉入道、参上。
体を膨らませ、偽りの目玉(眼状紋)を誇張して懸命に身を守ろうとしているのは、カイコの原種とされるクワコの幼虫。クワコの繭から取れるシルクは、小石丸のそれに似て細く、肌触りがよいらしい。
2026-03-10
平和に飛び交うモンシロチョウも、地球史スケールでは、ほんの少し前に日本にやって来たばかりのパイオニアらしい。押さえきれない衝動に駆り立てられて彼方に旅立つ人たちの原型は、海をわたる蝶なのかもしれない。
2026-03-05
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