〈突破者が書く!第4弾〉モヤモヤに寛容になれ!不足こそエンジンに。【78感門】(大塚 剛史)

2022/03/30(水)18:00
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 この日を待ちわびていた。稽古に明け暮れ、ようやくやってきた春の彼岸。Zoomで豪徳寺に集った47[破]学衆は、教室ごとのブレイクウトルームへと切り替わると、互いの勇姿を拍手で讃え合った。画面越しに再会を果たしたバンジーズこと47破・万事セッケン教室の面々も、「たのくる!(楽苦)」を合言葉に、約4ケ月に及んだ編集稽古を終え華々しく感門を迎えた。
 突破証を受け取る表情は、編集の長旅から帰還した安堵に満ちており、涙に滲む瞳は過酷な稽古に奔走した数ヶ月を物語る。思えば、「わたしムリかも(紀平尚子)」「頭がぐるぐる回転(水谷知世)」「広野に一人ただずんでいる感じ…(山田環)」「益々モヤモヤ(畠山義秀)」と悩んだ稽古の日々をもって、「己の不足こそ編集へと向かうエンジンに成り得る」と、学衆を束ねる堀田師範代は説いていたのではないだろうか。新たな旅路に立った5人の突破者達は、更なる編集力を携えて「万事」を整え、泡が立つがごとく世を「セッケン(席巻)」していくであろう。
 ふと腕時計を見ると、時は流れ夜の9時を回っていた。2日間に及んだ感門之盟もフィナーレを迎え、門出を祝う歓喜の声が電波を通じて世界中の空を行き交っている。

▲自宅に届けられた、手書きの突破証と手作りセッケン。堀田師範代の趣味は石鹸づくり。感門之盟2ヶ月前から40個用意した。香りや色のバリエーションは、抹茶からシナモン、パプリカ、ターメリックまで5種類。勧学会のコーナー名に因んで、「萬事伽藍堂セッケン」と名付けられた。

 

文・写真:大塚 剛史(47[破]万事セッケン教室)

編集:師範代 堀田幸義、師範 新井陽大(47[破]万事セッケン教室)


▼番記者梅澤コメント

《いじりみよ》や《5W1HD》を意識しながら執筆した大塚さん。「ふたたび堀田師範代のご指南が受けられる♪」と微笑んだのが、運の尽き。堀田師範代は「ナレーターは誰ですか?」「5Wのなかの、WhenとWhereが弱いですね」など斬り込み、15行にわたる初稿に1行ずつインラインでコメントを挟む熱の入れよう。その火花が燃え移り、新井師範も推敲がなされぬうちに指南を重ねる。「やっぱり指南は楽しい」とウズウズが止まらない2人からの過剰なデュアル指南を、どんどん吸収できる大塚さんのしなやかさがダントツでした。
特筆すべきは、突破した5名のバンジーズそれぞれのコメントを引用したこと。わざわざ教室を見返し、仲間の印象的な言葉を散りばめるというひと手間によって、ぐっとリアリティが増し、
大塚さんにしか書けない記事になりました。タイトルになった「モヤモヤに寛容になれた」というフレーズも、敬愛する堀田師範代の感門挨拶からの引用でした。「たのくる」という合言葉とともに、バンジーズのキーワードの宝箱のような記事です。
記事に使いたいのは、突破証の写真。それなのに突破証がなぜかなかなか届かない。このトラブルさえも、堀田師範代は「手元につくまえに、写真のイメージをしておこう」とモヤモヤからの編集を促しました。それゆえのこの誇らしげな大塚さんのお顔。万事見事な編集で、花の道行きも満開になること間違いありません。

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。