第83回感門之盟「EDIT TIDE」の2日目。突破を寿ぎ出世を祝うその場で、51[破]の秘密が明かされた。
指導陣は昨年10月の開講の時点で、これまでとは異なるTIDE(態度)で臨むべく、師範代にお題を課したというのだ。
回答例にワークシート。晦渋なお題に向かう学衆のために、師範代は創意工夫を凝らしてきたが、[破]には本来このようなわかりやすい手摺りなどなかった。わからないままに進み何かを超える歓びを、学衆から奪っているのではないか。
評匠 高柳康代
高柳評匠の言葉を端緒に、51[破]は学衆のための壁を作ることを決意した。
編集稽古に手本はいらない。個人がなんでも調べることができてしまうこの時代。師範代自らが学衆の壁になるしかない。
番匠 福田容子
[破]の潮目を変える。これを引き受けた師範代は学衆の回答の不足を見逃さなかった。不足に潜む可能性を信じ、その意図は明かさず伏せたまま問いを重ね、推敲と再回答を求め続けた。
世の中はわかりやすい方へばかり向かい、全てに答えを用意しようとする。正解を消費するだけで成立してしまう社会で、わたしたちがうっかり失っているものがあるとしたら、それは何だろうか。
やさしくするのは簡単だ。厳しくすることにはリスクが伴う。師範代は学衆がついてこれるか確信をもてないまま進んだ。このTIDE(態度)は51[破]になにをもたらしたか。突破した40名は見えない断崖を超える歓びを、師範代は編集稽古という方法への確信を得た。
番匠 福田容子
師範代は何の「代」をし、何を引き取ったのか。校長の松岡正剛は、この場に舞ういくつもの「さしかかり」を見守っている。
最後に福田番匠は、千夜千冊1844夜『腸と脳』エムラン・メイヤーの一節をひいてこう訴えた。
情報は脳から腸に向かうのではない。腸で起きたことが脳に届き認知される。確信を待つのはやめなさい。確信は半信半疑のまま進んだその先にあるものだ。
エディットな態度で振る舞いをただす。そこから生まれる潮流(TIDE)のなかに編集の奥義が渦巻いている。51[破]が獲得したわからなさへの確信は、まもなく船出をむかえる52[破]師範代へ受け渡された。この船に同乗する学衆は、半信半疑のまま、師範代という壁との遭遇に向かう。
写真:福井千裕
第52期[破]応用コースの申込みは4月7日(日)まで!
稽古期間 2024年4月22日(月)~8月11日(日)
お申込み https://es.isis.ne.jp/course/ha
阿部幸織
編集的先達:細馬宏通。会社ではちゃんとしすぎと評される労働組合のリーダー。ネットワークを活かし組織のためのエディットツアー も師範として初開催。一方、小学校のころから漫画執筆に没頭し、今でもコマのカケアミを眺めたり、感門のメッセージでは鈴を鳴らしてみたり、不思議な一面もある。
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