旗揚げから16年目の春、九天玄氣組の泡立ちが止まらない。
4月中旬、九天ラウンジでは【年間テンキ☆ランキング2022玄冬篇】が開催され、先日その結果が発表された。
【年間テンキ☆ランキング2022玄冬篇】とは、今年度スタートしたアワード企画の第一弾だ。飛永卓哉(38破)がラウンジで日々つぶやく「本日のテンキ」(1~3月期分)から各組員が自分のお気に入り3つを選び、コメント付きで投票をおこなった。
投票と審査の結果、上位7つのテンキが年間テンキ大賞候補としてノミネートされた。翌年1月には、4期からノミネートされたテンキによる決戦投票が行われ、年間テンキ大賞2022が決定する予定である。
企画の仕掛け人は「棋譜陣(きふじん)」の石井梨香(守番匠)と三苫麻里(45守師範代)だ。
棋譜陣とは誕生したばかりの九天の新ロールである。今年になって、九天をもっと編集的に、もっと痛快にするべく設置された企画部が「棋譜本山(きふほんざん)」だ。そこに要石として布置されたのがさきの2名だった。
石井には「棗絽(なつめろ)」、三苫には「桃翰(ももかん)」という、各々をイメージしたロールネームが組長・中野由紀昌から贈られた。
ランキング投票で選ばれたテンキからは、九天の「数寄」が見えてくる。
3月30日
≪侠のテンキ≫
全員が半端者なのだ。
いったいそれのどこが悪いのか。
それでいいじゃないか
「全員が半端もの、それでいいんじゃないか!」内倉須磨子(8守)
「半端者上等!」宮坂千穂(18破師範代)
九天の「数寄」を突き詰めたさきにあるのは、新しい九州のカタチだ。
2月11日
なんかこう九州って全部全てのスタートであり、
ありとあらゆる勇気を発揮して、任侠も炭鉱もですね、
水俣病との戦いも、谷川雁の大正行動隊もですね、
恐らく日本で最初の勇気を持った土地だろうと思うんです。
「ぼくの九州同舟制」より
※2009年、九州国立博物館における松岡正剛独演会
「校長が独演会で語ってくださった“恐らく日本で最初の勇気を持った土地だろうと思うんです”という一言が、九天における九州編集の基点にあります」中野由紀昌
また、「テンキ」のランキングの他、組員たちが書き込んだ印象的なコメントに対しても特別賞を設けた。
3月26日
≪侠のテンキ≫
「桃ちゃん、きび団子くれたら、鬼ヶ島へお伴しゃっす」
桃太郎は思ったね。それ、最高。
今どきいないじゃない。
団子で命張れるやつって。
『もしも矢沢永吉が『桃太郎』を朗読したら』星井七億(鉄人社)
テンキで読機(ドッキ)ドキ賞
「やばい。この本、買います」植田フサ子(物語14綴師範代)
植田はこのあと実際に本を購入。「飛永は思ったね、それ最高」と矢沢スタイルで飛永が応じた。
ランキングの開票結果を見て、発信者の飛永はうなずいた。
「全体として私の中でも『今日はうまく切り取れたかも』と思ってたものを皆さん選んでくださっていました」
いっぽう、自分では自信の無かったテンキにも票が入っていた。
2月10日
旅人の宿りせむ野に霜降らば 我が子羽ぐくめ 天の鶴群(たずむら)
遣唐使の母 万葉集巻九1791
我が子が唐に渡るのは、名誉な事だけどやはり海を渡る長旅は心配。
空を飛んでいく鶴に息子の無事を託した、そんな母の歌です。
ちなみに歌碑は五島(※長崎県)にあります。
これに合わせたのは美輪明宏さん
今も聞こえる ヨイトマケの歌
今も聞こえる あの子守唄
”父ちゃんのためなら エンヤコラ”
”子供のためなら エンヤコラ”
美輪明宏「ヨイトマケの唄」より(※長崎出身)
「万葉×美輪さんは自分では納得していなかったのですが、読み直してみると“悪くないじゃん”と思い始めてます。やはり挑戦も大事かなと」。
アワセの編集により、時空をこえた母と子の相聞歌が新たに生まれた。
夜ごと九天ラウンジにとどく「本日のテンキ」。これをリソースとしたランキング企画は組員の相互編集を促した。棋譜陣は次の一手も準備中だという。16年目の春を迎えいっそう加速する九天の編集。その泡立ちは沸々としてとどまることを知らない。
みとま麻里
編集的先達:藤原定家
めんたいエディトン、中洲マリリン。二つの福岡ゆかりの教室名。イシスの九州支所・九天玄氣組の突撃女隊長。その陽気さの裏には知と方法と九州への飽くなき探究心をもつ。着付師をしていたという経歴の持ち主。
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