発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

感門之盟2日目のロケ地、耶馬渓の擲筆峰(てきひっぽう)に向かう車の中で、「中洲」とどデカく書かれたTシャツを身にまとう中洲マリリン教室師範代(45守)の三苫麻里が、ハンドルを握る九天玄氣組組長の中野由紀昌に話しかける。
三苫:Tシャツ、じつは二枚重ねなんですよね。
中野:どんな?
三苫:中洲Tシャツをめくると、マリリン・モンローが現れます。
中野:さすが!そのファッションで中洲を歩いてほしいわ。
三苫:歩けません(笑)
中野:オープニングで脱いじゃえば?
三苫:えー、脱ぐんですか(笑)
話を聞くと、春に行われたオンラインの伝習座でも脱いだというではないか。はじめからそのつもりだったのだ。マリリンは期待を裏切らない。
擲筆峰に到着、スタンバイする。空には雲ひとつない。そそり立つ岩壁も映えている。師範の石井梨香、薬研風穴教室師範代の吉田麻子、ヤバケイ万全教室師範代の田中さつきの表情も晴れやかだ。しかし、一抹の不安もよぎっていた。Zoomのバグなのか、機材の相性なのか、映像がアートに変容していく現象が1日目の感門之盟で生じていたからだ。リハでは問題なく配信できたのに、原因はわからないままなのだ。まさか今日も…?
本番スタート。オープニング映像のあと、佐々木千佳局長と鈴木康代学匠が九州会場に呼びかける。
「やばけ~」
抜けるような青空が一瞬映し出される。人物にカメラが向けられた途端、時空は歪んだ。みるみるうちにやばすぎる映像になっていく。元の映像にもどったり、四次元をさまよったり、不安定極まりない。
ほぼ半狂乱の中野組長の脇で、三苫は中洲Tシャツを脱ぎ始めた。Zoom視聴者は釘付けだ。チャットには「ドキッとした」との書き込みが続々と寄せられている。松岡校長の「ミトマ、最高!」コールにしてやったりの顔だ。
中継のあと、二日とも耶馬渓の絶景を届けられなかったことに呆然とする組長。ふと目を他に移すと曼珠沙華が咲いている。そうだ今日はお彼岸だ、彼岸と此岸のあいだをカメラは捉えたんだと、無理やり腑に落とそうとしているようだ。
結局、耶馬渓中継はマリリンの体をはった演出が最大の見せ場となった。とはいえぼんやりした映像でよく見えなかっただろうから、あらためてご披露したい。脱ぐシーンだけ強調されたマリリンの、二枚目のTシャツの柄である。
中野由紀昌
編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。