棚下照生。この忘れられたマンガ家が、最近、X(ツイッター)で話題になっていた(なぜかは知らないが)。大人漫画のタッチで劇画を描くという、今となっては完全に絶滅した手法が、逆に新鮮に映るのかもしれない。代表作『めくらのお市物語』は、連載当時、大変な人気で、映画やテレビドラマにもなったのだが、現在では、タイトルに問題アリで、復刊の目途もない。もしも古本屋で見かけることがあったら絶対買いです。
「ちゃんと575になってるよ 」
「いきなり作らなくてもいいよ」
「気になった動物の名前をメモしていくだけでも、じゅうぶん材料になるから」
「できない、むずかしい」と悩む子に、「編集かあさん」から優しいフォローが飛んでいる。大人対象のワークショップであれば、「編集は仮留めが大事です」とコメントするところかもしれない。
2019年10月6日、大阪の天王寺動物園でおやこ絵本ワークショップ初の野外活動「吟行」が開催された。
動物園歩きに俳句づくりをプラスしたおやこ吟行を企画したのは、おなじみ松井路代ナビと吉野陽子ナビ。
6月のワークショップ「なつの575」に続く俳句遊び第2弾だ。
参加者は、3組の親子と風韻講座を修了した 伊藤正也さんの計7名。
鬼ごっこをして待っていた子どもたちを集めて、松井ナビが今日のお題を伝える。
難しい編集用語は用いず、子供たちの「注意のカーソル」をそっと誘導する仕立てだ。クリップボードと鉛筆を持ち、これ以上ない秋晴れの空の下、スタートした。
おやこ吟行隊が最初にむかったのはペンギン舎。

ペンギンがうろうろしてるゆきのうえ(8才女子)
あるきだすさいしょの一羽だれがなる(6才女子と編集かあさん)

子どもたちの句にアドバイスする松井ナビ。
褒めどころと添削ポイントをひとつずつ。簡潔で受けとめやすい。
さむいなか たまごをうんで ちち(父)わたす(7才男子)
この句を見て、吉野ナビが「これ、ペンギンのことって分かるかな?」と案じると、松井ナビが「横にタイトルとして『ペンギン』って書いたら大丈夫だよ」と題詠という形を紹介。子どもの句を生かす方法を即座に探す。大人にとっても、「題詠」という手法の効能を再認識するナビゲーションだった。

しましまのレッサーパンダ木にのぼる(6才女子)
ちゃいろたすしろたすくろは? レッサーパンダ(7才男子)
「見たまま」が表れた句に動物の生態への驚きが息づいている。子どもの見方を目撃するのは親子ワークの醍醐味だ。

「何個できた?」「12個!」「勝ってる」と、できた句の数を競いだした子どもたち。いつのまにか句作がゲームになっている。学びが遊びになり、やる気に火がつく。
一方、風韻連衆の伊藤さんは、スケッチしながら悠然と句作している。
身にしみるからだ照らす陽トラトラと(正舟)
正舟は伊藤さんの俳号だ。「トラトラと」という即興オノマトペがユーモラスな一句。
1時間半の吟行を終え、広場へ向かう。3句選んで短冊に清書し、披露タイムへ。

「赤パンダ?」
「レッサーパンダの言い換えか!」
「<タヌキはぜんぜん ドラえもんに にてません>、あれ? 変!」
「8音だね。どうしたらいいかな、たとえば『ぜんぜん』をとってみて、『タヌキはね』とするとか」
人の句を聞き、自分の句を読み、うふふふと笑い声があがった。
気持ちを込めた句と、写実的な句のコントラストが際立つ披露会となった。
たくさんの句を作れるようになった子どもたち。575の型のリズムもつかめてきたようだ。ステップアップとして、次は季語を取り合わせられるといい。やりたいことは尽きない。
トラ奥で伸びあべのハルカス秋の空(松井路代)
大阪の空のもと、編集キッズの背がほんの少し伸びた一日となった。
吉野陽子
編集的先達:今井むつみ。編集学校4期入門以来、ORIBE編集学校や奈良プロジェクト、[離]火元組、子ども編集学校、多読スペシャルなどイシスに携わりつづける。野嶋師範とならぶ編集的図解の女王。
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