ISIS 20周年師範代リレー [第30期竹川智子 編集工学で”知の倍返し”を]

2021/09/10(金)09:25
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2000年に産声をあげたネットの学校[イシス編集学校]は、2020年6月に20周年を迎えた。第45期の師範代までを、1期ずつ数珠つなぎにしながら、20年のクロニクルを紹介する。

 

◇◇◇

松岡正剛校長の「オデッサの階段」(フジテレビ)出演が注目を集めた2013年春。豪徳寺ではバジラ高橋による輪読座がはじまり、イシス界隈は千夜千冊1500夜の大予想会で沸きたった。『柿本人麻呂』を的中させた米山拓矢師範へ、松岡校長から記念の書が贈られたことも話題となった。

お茶の間で「あまちゃん」と「半沢直樹」が流行し、「じぇじぇじぇ」と「倍返し」が席捲する頃、編集工学に没入していたのが竹川智子[守]師範代である。人事や教育への関心からイシスの門をくぐった竹川は、ストレートで師範代へ。その後は師範、離を経て、守番匠へ抜擢される。番匠ロールでは、全教室の動向を発言推移と活性度で数値的に算出する新たなエディティング・スコアを生み出すなど、「アリスの鈴木・テレスの竹川」の名コンビで、[守]の一時代を築いた。

竹川による編集力の白眉は、感門之盟での教室名発表ナビにも現れた。予定よりスケジュールが押している状況を察知した竹川は、事前の緻密な用意とその場でのスマートなダンドリ編集で、15分巻きでコーナーを破綻なく進行し遂げたのだ。今なお語り継がれるイシスの伝説の一つである。

番匠ロールの後は、数年にわたりISIS花伝所の道場師範を担当し、多数の名物師範代を輩出した。直近の47[守]では、竹川ミームを受け継いだ師範代とともに、竹川自身も師範代として再登板をしている。竹川の”知の倍返し”は留まることを知らない。

◎師範代メッセージ◎


 

>あのときメッセージ>

初めて本楼で開催した感門之盟で教室名をいただき、始まった30[守]。元気のよい学衆が多く、破が終わる頃には別院をジャックし師範を巻き込み伊香保温泉卒業旅行を編集する強者揃い。じぇじぇじぇと巻き込まれながらも、楽しくお・も・て・な・しされたあの時。

 

>これからメッセージ>

螺旋を描きながら、これまでも、これからも力強く編集し、進化し続けて行きましょう。

 

推命道観教室 竹川 智子

 


 

●あの日!あの時!千夜千冊!●

〇「われわれの社会は互酬性の上に築かれている」

1507夜:マルセル・モース『贈与論』

…2013年05月18日

◎『風姿花伝』とともに必読の一夜

1508夜:西平直『世阿弥の稽古哲学』

…2013年05月27日

⦿エディション『仏教の源流』にも収められた、格別な「神のうた」

1512夜:『バガヴァッド・ギーター』

…2013年07月05日

Designed by 穂積晴明

 

 

  • 上杉公志

    編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。