まるで大工の親方のような風貌だが、奏でる三味の音は繊細だ。その裏声は艶やかで官能的だ。
松岡校長に“日本の宝”と云わしめた本條秀太郎の端唄を聞きに豊田能楽堂に行く。すでに本楼での「イシスフェスタ」や校長企画の「三味三昧」などでお馴染みの音楽エディストだ。
本條秀太郎のエディストぶりは、三味線の技と唄だけではない。島唄から労働歌、子守唄まで、日本中にうずくまっている民謡などをモーラ採集し、それを現代にアレンジし再生させるという「俚奏楽」プロジェクトが素晴らしいのだ。
「俚奏楽」とは日本音楽の新しい流れとして1971年に本條秀太郎が創作した学派だ。「俚」という一字を「田」・「土」・「人」と分けて読み、三味線音楽を日本民族音楽に再編集した。編集思考素でいうと、三位一体(三味一体?)にしたといえる。
この日も最後に演奏された曲は、俚奏楽「露のいのち」だった。柳川流の地唄でしか使われなくなった細竿の三味線を、透けるほどの薄い撥で、爪弾いていた。2019年11月4日(月祝)には、ナゴヤ面影座のスペシャルゲストとして登場し、熱田白鳥庭園で三味一座建立する。
小島
編集的先達:葛飾北斎。名古屋の旦那衆をつなげる面影座主宰。クセのある中部メンバーを束ねる曼名伽組二代目組長。本業は豆に定評のあるヴァンキコーヒーロースター代表。セイゴオ版画も手がける多才な情熱家。
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