エリック・サティのジムノペティが静かに流れる店内に続々と人が訪れる。8月12日、猛暑のお盆最中に総勢24名が集まり、席はすぐに埋まった。
エディットツアースペシャル名古屋会場はちくさ正文館書店二階の旧モノコト。午後2時定刻通り、進行役小島伸吾の挨拶から始まった。たっぷり40分間、正文館書店主・古田一晴さんの本棚論を聞くことができる。
冒頭、小島が古田さんに書店員になったきっかけの話をふると、独特の古田節が堰を切った。まさしく一気呵成だ。田中泯とのコラボの話から伝説の網野善彦の歴史ブックフェアの話、大型書店進出以降の読者層の変化のことから映画の話まで、本の話にとどまらないのが古田棚論なのだ。
最後に古田さんはその奥義の一端を開闢してくれた。「棚はつねに動かして、本に触っていることが大事。俺個人の本棚であると同時に客の本棚でもあるんだよ。棚は共謀してつくるんだ」とニヤリ。アーティストよりも過激なタナリストの眼が光った。
小島
編集的先達:葛飾北斎。名古屋の旦那衆をつなげる面影座主宰。クセのある中部メンバーを束ねる曼名伽組二代目組長。本業は豆に定評のあるヴァンキコーヒーロースター代表。セイゴオ版画も手がける多才な情熱家。
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