1800夜達成を記念して、松岡正剛に贈呈された「千夜一撃帖」。イシス編集学校の師範、師範代からAIDAの座衆、編集工学研究所、松岡正剛事務所のスタッフたちまでが、それぞれ1800夜から雷鳴に撃たれた一夜とワンフレーズを選び、いかにわたしは千夜千冊に直撃されたかを吐露したものである。速報記事「祝1800夜! 松岡正剛を囲む千夜一撃帖の夕宴」で祝宴の一部を紹介したが、あらためて130名がどんな千夜を選んだのかをご紹介しよう。選択に重複があった千夜に続いて、前回は千夜クロニクル前半を紹介した。後半も3人3列を1ブロックごと案内していく。さて、ラストを飾るのは誰だろうか。
*アイキャッチ画像は「稲妻」という名前の由来をもつエクレアを松岡正剛に振る舞う佐々木局長。
1024夜『清沢満之』から1176夜『異界を旅する能』まで
①後半戦最初はなんと所長と局長が並んだ。所長は二項同体、局長は暗黙知。さすがに方法日本と編集工学のフラッグを掲げた。挟まれた西村の頭が花を添えている。「アフロのような私がここにいれば、これでいいのです」。
②国語教師の加藤達彦は北原白秋の幼なごころ。文学派の鈴木花絵は意外にもボームと井筒俊彦を併せ読み。伝説の夕空くじらでアヤを駆使した森由佳は『花鳥の使い』。
③この3人、日焼けサロンの店員・お客・店長というわけではない。[離]受講中の編集工学研究所の植物ガール山本春奈はなぜかスナック王都築響一を選択。自分の部屋ではどんな残り香を嗅いでいるのだろうか。近江アルスに邁進中の中山は宮崎滔天。滋賀に三十三年の夢を見ているに違いない。花目付深谷はさすがの安田登。花伝所の看板は決して下ろさない。
1179夜『随筆泥仏堂日録』から1314夜『記憶術と書物』まで
①ハイパー塾生の平間は半泥子。ネーミング編集力にぜひ肖ってもらいたい。子どもと登場の藤井百々が選んだ一節は稽古遅れの貴方に贈りたい。「遅ればせだっていい。そこに参上するべきなのだ」。『非線形科学』の[守]師範代快速中の古谷は只今相転移中。
②眼鏡オヤジが3人揃った。それぞれがそれっぽい。じきじき渋江はタングステンおじさんを目指す。俳句を嗜む大塚はいよいよ中西悟堂になってきた。道徳心に欠けると言われる林頭吉村はないものねだりで『ミニマ・モラリア』。
③勇気づけられる一夜『無名時代の私』は弁護士最首。偶然を必然にするための一夜は小川の『セレンディピティ』。編集工学研究所の伊藤は記憶と想起の編集術の決定版『記憶術と書物』。引用箇所はなぜここを選んだのかとスタッフ一同からツッコミが入った。
1318夜『模倣の法則』から1519夜『世界の読解可能性』まで
①スリムになった広島のコウノヒロコは編集学校のバイブルの一つ『模倣の法則』。悩める野村社長あらためCFOはフリードマン の新自由主義な一冊。蟹帽子に何を託したのか。『情報の歴史』リーダーの田原は文明論のベストセラー『銃・病原菌・鉄』。
②大武女将に続いてキジトラ安田は自らの赤子時代写真で『モモ』を選んだ。童心を忘れない決意とみた。惜しまれながら6月いっぱいで編集工学研究所を退社した甲野。誰も知らない不良少女と小悪魔写真の秘密を知りたかった。編集かあさんマツミチは息子や娘とともにゲッチョ先生に夢中。
③なんの間違いかここに重複した二人が迷い込んでしまった。みんなの夢を形にする男、映像のスペシャリスト小森、みんなに夢を売る男、オリランの永田。二人はどうやらネバーランドをつくりたいようだ。編集工学の先頭を走るおしゃべり病理医こと析匠・小倉加奈子は[離]学衆の必携本『世界の読解可能性』で心意気を示した。
1520夜『デザインの小さな哲学』から1680夜『世界の中にありながら世界に属さない』まで
①フルッサーで自分を支配するイメージに気づいたツムツム津村。ホンゴジラ大音冊匠はぐちゃぐちゃさえ本から本を引き出す読機にする。きらら日高は山崎努『俳優のノート』。その笑顔には「狂」の一字が潜んでいる。
②「本は死なない」悲壮な笑顔に下川の決意が滲む。うなづきクイーン田中睦は『源氏物語』のいろごのみに3夜続けて首をシェイクした。オペラ歌手を母に持つ編集工学研究所仁禮は納得のワグナーを選んだ。ちなみに夫の寺平はラップ好き。
③武者かヤクザか。正解は任侠の阪井。数寄に「仁義なき戦い」。釜野はブッダのごとく「時には母のない子のように」。元劇団四季の女優ずんこ衣笠は世界に属さないために「脱ぎます宣言」。オールヌードに期待。
1711夜『蘇東坡』から1781夜『回想フランシス・ベイコン』まで
①セイゴオも驚いた蘇東坡を選んだエディットロボ畑本。モンスターを目指して来期は多読ジム冊師デビューを果たす。未来の天才デザイナー、小僧穂積は松岡から叱咤された思い出とともに『エルテ』。韓国語の通訳でもある[離]別当師範代小西は編集工学エンジンの構想とともに『ライティングスペース』。
②マスクを脱いだシゲ齋藤は同じ長岡出身の半藤一利。齋藤とプロレス好きで一二を争う千夜編集長・寺平は自分自身を広告にする野望を秘めてノーマン・メイラー。子どもを肩車してイメージアップを図る。その寺平のお気に入りが新米デザイナーの富田。美大時代に読んだモルポワを選んだ。
③「極道の女たち 覚悟しいや」という迫力の姐御が揃い踏み。攻める経理の濱田はヴォネガットで、「つもりはほんとや、覚悟しいや」。九天玄氣組中野組長はど迫力似顔絵。「世界の半分怒らせるから覚悟しいや」。笑みを湛えたエディター小路は「ベイコンみたいに変形するから覚悟しいや」。
1791夜『弓と禅』VS 1795夜『膜は生きている』
さてさて、最後に狙いにいった男二人が登場だ。三菱商事のAIDA間匠・福元は『弓と禅』であてにいったが、「それ」があててしまった。「それ」というのは初音ミク太郎ことアミイ網口。この男やはり狙っていた。ラストコメントの不思議ぶりで、自ら膜を引いた。
***
以上、千夜一撃帖 雷鳴クロニクルいかがだったろうか。松岡正剛は前人未到の1800夜を超えてさらなる高みの1900夜、2000夜へ。次の祝1900夜まで我々は雷鳴に撃たれ続けながら千夜ロードを共に歩みたい。
吉村堅樹
僧侶で神父。塾講師でスナックホスト。ガードマンで映画助監督。介護ヘルパーでゲームデバッガー。節操ない転職の果て辿り着いた編集学校。揺らぐことないイシス愛が買われて、2012年から林頭に。
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