私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

7週間に渡る道場や錬成場での鍛錬を越え、いよいよ、週末のキャンプに向けて出発だ。
「編集学校のお泊まりキャンプ今から楽しみです^^」
「どんな内容なのか、ソワソワワクワクしています」
「いよいよキャンプ。何が起こるのでしょう?!」
と入伝生の言葉も軽やかだ。
ここまで急勾配が続く険しい道のりだった。子育て中のHは「夜行性のオセロット、寝かしつけ寝落ちから復活してきました(苦笑)」と早朝4時に指導へのフィードバックを返す。大学生のMは「昭和のサラリーマンを憑依させ24時間戦う決心をして、執念で、眠気と戦いながら頑張ります」と宣言し、授業と並行しながら指南を放つ。それぞれが崖っぷちから送信ボタンを押し続け、編集筋力をつけていく。
花伝式目最後のM、Makingのフィナーレが近づく頃、入伝生の指南は見違え、交わす言葉も変化を見せる。余白が掴めないと悩んだKは、丹念な言葉で熟談する錬成師範 村井宏志の指導を受け「花伝で一番褒められた気がして、素直にうれしい。連想は意外な武器になるかも」と笑みを零す。Oも「ズタボロの部分もあるのですが、それよりも奥深さや楽しさが圧勝しています!」と力強く締めくくり、村井も微笑む。
困難の末、5Mの修得に手応えを感じた入伝生は、更なる成長を求め、道場を飛び出し、キャンプに向かう。もちろん、花伝所のキャンプと言えば、優雅なグランピングではなく、泥だらけのサバイバルキャンプである。地図もない、ガイドもいない、トイレもない。
さぁ、生き残るための旅支度だ。手にしたばかりの秘伝の5Mに、キャンプらしく「遊び心」をリュックサックに詰めこもう。どう生き延びて、どう遊びたおすのか。37花、一度っきりの夏だ、キャンプだ、旅立ちだ!
文 美濃越香織(花伝師範)
アイキャッチデザイン 阿久津健(錬成師範)
【第37期[ISIS花伝所]関連記事】
37[花] 花林頭・阿久津がゆく、アートとデザインのAIDA
37[花]乱世に道場開幕!
37[花]入伝式 松岡校長メッセージ 「稽古」によって混迷する現代の再編集を
37[花]ガイダンス 却来のループで師範代に「成っていく」
37[花]プレワーク 編集棟梁は 千夜を多読し ノミを振る[10の千夜]
37[花]プレワーク記憶の森の散歩スタート
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
花伝所のキャンプに地図やガイドは用意されていない。あるのは与件のみ。 既成概念に捉われず多様な触発を引き起こし、よくよく練られた逸脱に向かうカマエが重視される。 43[花]のクライマックスは、2日間にわたる […]
イシス編集学校の目利きである当期の師範が、テーマに即した必読記事を発掘&レビューし、みなさんにお届けする過去記事レビュー。3回目のテーマは、世間を賑わす「空梅雨」。空梅雨をどう読み替えたのか。ここからどんな連想を広げた […]
マッチが一瞬で電車になる。これは、子供が幼い頃のわが家(筆者)の「引越し」での一場面だ。大人がうっかり落としたマッチが床に散らばった途端、あっという間に鉄道の世界へいってしまった。多くの子供たちは、「見立て」の名人。それ […]
43[花]特別講義からの描出。他者と場がエディティング・モデルを揺さぶる
今まで誰も聴いたことがない、斬新な講義が行われた。 43花入伝式で行われた、穂積晴明方源による特別講義「イメージと編集工学」は、デザインを入り口に編集工学を語るという方法はもちろん、具体例で掴み、縦横無尽に展開し、編 […]
(やばい)と変な汗をかいたに違いない、くれない道場の発表者N.K。最前列の席から、zoomから、見守ることしかできない道場生は自分事のように緊張した。5月10日に行われた、イシス編集学校・43期花伝所の入伝式「物学条々 […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。