イシスの卒門式で一番の寿ぎを受けるのは師範代である。編集道を共にした師範から、ほぼ半年の歩みを凝縮した言葉と感門表が贈られる。感門表の向こうには49[守]に集った全学衆もいる。師範代が38題の番稽古を全うできたのは、学衆の回答があってこそなのだから。
卒門式で交わされた言葉を掬い、かさねての寿ぎを49[守]に。
●唐傘さしていく教室 大塚信子師範代
最初はおぼつかなかった傘回し。けれどおのぶ師範代は絶対傘を離さなかった。唐傘衆みんながくるくる傘を回し、月暈唐留多が実を結んだ。
●八段プラモデル教室 小松原一樹師範代
校長の代としてヒリヒリする焦燥感をかかえてのスタート。学衆さんの回答に育てられたと語るダンディ小松原は、いつまでも組み立て途上。
●忖度しないわ教室 相部礼子師範代
互いの方法に注目するようになった学衆が誇らしいと、学衆の卒門ソングを背負って壇上に。「忖度しないわ わたしたち」のまま、これからも。
●男装いとをかし教室 野住智惠子師範代
師範代初登板の45[守]で見えた不足を編集しようと決めた再登板。学衆といっしょに不足を編集する毎日、合言葉は「装って参りましょう!」
●配線うなる教室 森重実師範代
空回りしてもいいから編集を起していこう。そう決めた時から教室が動き出した。49[守]が閉じても「配うなセブンイレブン」の灯は消えない。
●キジトラ疾走教室 安田晶子師範代
ころんでもその場の温度を下げない師範代に似て、学衆どうしのエールも冷めない。キジトラを連れて走ったことで、見える景色が広がった。
●切実ゲノム教室 滝沢章師範代
人のために自分の力を使ってみたいと目指した師範代。指南は切実で誠実であたたかだった。「自信を持ちなさい!」師範の声が決然と響いた。
●渇望ネオモード教室 辻井貴之師範代
「言葉は私一人のものじゃない。今のこの言葉も過去から関わってきた人たちと一緒にしゃべっている」。かけがえのない言葉を届け続けた。
●ライ8反攻教室 総山健太師範代
いつもかならずそこに居て、休まず指南を届ける教室の支柱だった。8月の反攻する稽古の勢いに、教室名を実感した。格別な時間だった。
●感応おにぎり教室 宮坂由香師範代
コーヒーを淹れる直前の沸騰したお湯のように、ぎゅっと結んだおにぎりのように、周りをホットにし続けた。その熱源は教室の学衆。
●にじゆら発色教室 古谷奈々師範代
028番「レシピを真似る」。切実な出来事を「最高の記念日」に置き換えた回答にハッとした。ものごとの見方がにじみゆらいだ瞬間だった。
●脱皮ザリガニ教室 古澤正三師範代
思えば小さい頃から正解があると思って生きてきた。けれども今は違う。今の私が未来の皆さんになるかもしれない。正解主義からの脱皮をぜひ。
●アニマ臨風教室 寺田悠人師範代
子ども達が誰からともなく“遊ぼう”と言い、夕方になると“さよなら”の代わりに歌をうたって別れる。なくしてしまいがちなそんな景色が教室だ。
●三叉毘沙門教室 船山一樹師範代
「編集を心底信じている。編集は、最後にはどんなことも魅力的に終わらせることができる」。想いは二人の学衆に託される。
●かく書く然り教室 三津田恵子師範代
共読とは、他者の窓枠を借りて、その中から見える世界の様子をうかがうようなものだ。冴えるスピーチに校長より「成長したな」の一言。
●ニシダ鳥肌教室 西村宜久師範代
感門前夜、教室に肖り、1086夜『西田幾多郎論学論集』を読んだ。「物質はコップである」から「コップは物質である」へという言葉に心震えた。
●ピッピ乱反射教室 三浦純子師範代
“長靴下のピッピ”に肖り、万歳四唱で会場が乱反射。「ピッピ乱反射教室の“磨き”最高でした!いつでも編集日和で!」
●赤いランドセル教室 齋藤彬人師範代
未来に向かっていかないと“編集”ではない。「赤ラン十徳教室」というありえないターゲットに向かってあらたに体現していきたい。
●きざし旬然教室 福井千裕師範代
この船にはいつも誰かの切なさに寄り添ってくれる声があった。胸にいつでも帆を張って対角線を目指していってほしい。いつでも、旬風満帆!
(文:若林牧子、石井梨香 写真:林朝恵)
★イシス編集学校 基本コース 第50期[守]は10月開講!
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
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