日本海側と西日本で雪が猛威を振るう中、束の間の逢瀬を精一杯楽しむために本楼へ集う学衆と師範代がいた。
1月28日(土)、合同汁講決行。傑作ペパーランド教室、モモめぐむ教室、柑橘カイヨワ教室、止観エンドース教室からリアルとオンラインで総勢26名が本楼に集結した。
本楼の本棚は其処彼処以上に本が埋っている。兄弟教室でまぜこぜの4チームに一人の師範代がつき、それぞれに分けられた学衆らは、これから始まる編集ワークにソワソワ、ワクワクしながらも本棚を見渡していた。
ルールは至って簡単。予め用意された本からチームで1冊を選ぶ。次に、対となる2冊目の本を本楼から探しあて、本のイメージを重ね合せ、そこから見えてくる対角線から新たな本のタイトルをつける、名付けて「本楼で翻弄する編集ワーク」だ。
最初に選ぶ本は、「卒門後の私たち」をテーマに、指導陣が卒門前の50守学衆をイメージして準備した。学衆に思い描いて欲しい情景を重ね「花・鳥・風・月」のラベルをつけた4冊だ。ただ、どの本が「花」か「鳥」かと明かされず、学衆たちはこぞって伏せられた分類を本楼でもチャットでも当てっこするなど想像を膨らましていた。
「チャットにあげられた学衆Kの予想」
花:ジャパン
鳥:山猫
風:ホスト
月:笑い
師範代の数寄も見えつつ、4チームの選択が決まり対となる本を探索すべくヨーイドンとワークが始まった。各チームは編集方針を掲げて、思い思いに編集ワークを楽しみつつ、本楼の匂いや空間を味わい楽しんでいた。
あるチームは、出会ったばかりの本を携えて、遠い対角線をイメージしつつ数寄な本を選ぼうと探索へ動き出した。選書の目次を読み上げコンパイルするチーム、どのコーナーから攻めるか戦略を練るチーム。本楼参加の学衆が道先案内人となりZoom参加者を導いていた。既知の本から新たな世界観を現すべく2冊の本から紡ぎ出された作品はこれだ。
◎チームさかい洋果子転・中村師範代「花 ─ あまた現る夜の華」
『ホスト万葉集』手塚マキと歌舞伎町ホスト75人from Smappa! Group
× 『花鳥の使』尼ヶ崎 彬
◎チームさかい洋果子転・西村師範代「鳥 ─ オトナ女子の愚連隊」
『山猫珈琲(上下巻)』湊 かなえ
× 『越境者たち(上下巻)』森巣 博
◎チーム遊わく走・得原師範代「風 ─ 皺の数だけ ワハハ」
『笑いの構造―感情分析の試み』角川選書
× 『平成老人烈伝』監修 中村 雄二郎
◎チーム遊わく走・遠藤師範代「月 ─ 泪橋」
『ジャパンクールと江戸文化』 奥野 卓司
× 『鍵穴ラビリンス』江坂 遊
この中から『ホスト万葉集』を選んだチームの編集プロセスを紹介しよう。まずは、ホストと反対を組み合わせるべく神仏棚を探索。ホストのトポスは歌舞伎町だ、ふむふむ楽園だなと想像する途中で『百鬼夜行の楽園』を探り当てた。ここで終わらず、同じ芸事で反対をイメージするならと「道」の棚を探索し「花」のタイトルが入っていた『花鳥の使』に注意のカーソルが止まった。
次に、選んだ本から「万」と「百」から連想を動かし「あまた」をまず引き寄せた。他に共通点はないかと考え、ホストの華々しさを重ねて出来上がったタイトルが『あまた現る夜の華』であった。新たな本のタイトルが学衆から発表されると、師範からの方法の取り出しや編集に至るプロセスが評価され、格別なリアル指南が繰り広げられていた。
柑橘カイヨワ教室の学衆Tは、「本楼にある本を使って言葉を生み出すというワークもまさに関係性の表れで、面白い企画だなぁと目から鱗です」と自身の仕事でもある店舗運営に活かすべく編集稽古にも力が入る。
止観エンドース教室の学衆Eは、「稽古でも共読しているが、汁講での体験は立体的に感じた」と新たな発見と編集の奥深さ楽しみ方を感じ取っていた。
編集ワークが終わったあとの振り返りでも、夜遅くまで熱い交し合いが続いていた。モモめぐむ教室の学衆Iは、「不思議なくらい、親近感を感じながら、一体感でワークができました。インターネット上での、師範代のご指南を通してのつながりの醸成の賜物ですね」と、リアルとオンラインの境を感じさせない体感を物語った。
本楼の本と出会い、楽しむのこともさることながら、名前だけで顔知れぬ教室の仲間らと集い交し合うことがホントの出会いであったのであろう。
いよいよ50[守]も残り2週間を切り、いち早く門をくぐり抜けるツワモノもいるだろう。だが、その先にある門にはもっと想像力を触発させワクワクする編集機会が待っている。
◆51[守]申し込み受付中
[守]基本コース(51期)
2023年5月8日~8月20日
https://es.isis.ne.jp/course/syu
◆50[破]申し込み受付中
※2023年2月28日(火)18:00まで、早得!
[破]応用コース(50期)
2023年4月24日~8月13日
堀田幸義
編集的先達:半村良。SFを愛するデジタルマーケター。石鹸づくり、マラソン、大人の塗り絵に定期的にハマるオタク気質もある。食事前に親父ギャグを連発し家族には白い目で見られ、師範代時代には学衆に感門之盟のファッションもコーディネイトされるというツッコマレキャラ。サトケン師範とは名コンビ。
チョンチョン、チョーン!新たな柝が入る。 Zoom画面の幕が開き、仕立て下ろしたばかりの顔が並び揃っていた。柔和な表情とは裏腹に編集態勢は整っているようだ。 2期ぶり2期目なのに貫禄たっぷり角山祥道。 […]
「知識」を破戒せよ、「知」の冒険へ誘え 10月初旬の本楼では、オンラインによる50[守]師範代に向けた第1回伝習座が開催された。守を再受講し編集稽古に更なる可能性を見出すべく、これまでにない力強さで用法語り […]