巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。
子どもプランニングフィールドは、編集プロジェクトが自由に展開される場。子ども編集学校のための多彩なチャレンジが参加メンバーのアイディアをベースに半年ごとに展開される。
2022秋シーズンは、お正月と春のエディッツの会、年中さんの会、編集力チェックの4コマイラスト作成、お題開発などにトライしてきた。4月9日、半年を振り返り、春に向かう「ラップアップ&Goパーティー」が開かれた。
■日常と[守]のお題に対角線を引く
パーティーのテーマは「お題フェスティバル」。第一部では[守]の用法ごとに、メンバーが持ち寄った「日常の中にある編集稽古」を振り返った。
小学校の先生であるフィールドメンバーからは、教室でのお題遊びの具体的なルル三条がいくつも届いていた。そのひとつが、【023番:見立て富士】を生かした、抽象的な図形を組み合わせた見立て遊びである。大人一人と子ども4,5人で交し合うことで、一つの問いにたくさんの答えがでてくる。

【023番:見立て富士】学校の教室での遊び方
【018番:層なんです】たけのこの皮を剥き、情報の「層」を感じる
【014番:喜怒哀楽老若男女】では、子どもが「苦手でも好きなことってある。たとえば水泳。逆に得意でも好きじゃないことがある。漢
字の書き取りはほめられるけど好きじゃない」と気づいた瞬間のエピソードが紹介されていた。
「好き-キライ」の二分法だけではない捉え方を手に入れることで、苦手だと思っていることに近づく道筋を、子ども自身が見出していけ
るのではないか。これはもちろん大人たちにもあてはまる。
■玉乗りチームvs空中ブランコチーム
第二部は、「遊びの原型を探ろう」と題して、「玉乗りチーム」と「空中ブランコチーム」に分かれ、遊びから型を見いだすワークを行った。
「遊び」を集め、それに[守]のお題を紐づけていく。より多くのお題をモーラしたチームが勝ちというゲーム仕立てにした。
まずは、黄色付箋を使って、遊びをどんどん出していく。「鬼ごっこ」「ままごと」「はないちもんめ」から、「ババ抜き」「交換日記」「リカちゃん」「トレーディングカード」「人狼」まで。
小さい頃の遊び、子育てしながら子どもたちとやっていた遊び、今流行りの遊び、それぞれの「地」から5分もたたないうちに、50を超える遊びが集まる。
事前のダンドリではここから「型」を見いだしていくことにしていたが、自然に、まずは分類してみようという流れになった。
玉乗りチームは、屋外・室内、道具をつかうもの・使わないもの、鬼ごっこ系、ボードゲーム系など遊びの種類で分類。空中ブランコチームは、用法ごとに分けるという方針をとった。
■「遊び」は「型」のカタマリ

日本各地から集うフィールドメンバー。
ツールにはオンライン付箋ツール「ジャムボード」を利用
「ルール・ロール・ツールは、ほとんどのお題で動いてますね!」
「交換日記は、【036番:バナナと魯山人】や【037番:イシスな文体練習】っぽい」
「見立てもいっぱいありますよ」
動いている「型」をピンクの付箋で遊びの近くに置いていく。
特に「ままごと」に型が凝縮されていると感じたのは吉野陽子だ。
【026番 ルール・ロール・ツール】だけでなく、20番のステレオタイプや27番のダンドリ・ダントツが当てはまることに気づき、遊びの中に
社会の基本的な型が入っていることを実感した。
「ままごと」、侮れない。
ぼんやりと予想していた「遊び=型のカタマリであること」が一気に、かつ具体的に見えてきた。
50守で師範代を終えたばかりの林愛は、「ずっと続けていたい」と振り返りタイムで興奮気味に話した。
型と遊んだような、スポーツで一汗かいたような、そんな時間でもあった。
集計ロールを担ったのは仙台の葛西淳子である。
遊びの数は
〇空中ブランコチーム(景山卓也、石井梨香、西村慧、浦澤美穂、上原悦子)65こ
●玉乗りチーム(神尾美由紀、吉野陽子、林愛、葛西淳子、松井路代)51こ
空中ブランコが紐づけたお題の数は実に36番。守38番をほぼモーラし、完全勝利を収めた。
「021番 コンパイルとエディット」だけが両チームとも制限時間内に取り出せなかった。

勝利した「空中ブランコ」チームのジャムボード。じっくり見たい方は子どもプランニングフィールドへ!
■遊ぶために編集している
一人遊び/複数人遊び/ごっこ遊び/身体的/おもちゃ/リズム/モード/アケ・フセといった編集技法の考察も緑色の付箋で付していった。
音楽やダンスといった身体的な遊びも、型に結びつけられる。木登りでさえも、BPT、ダンドリ・ダントツと結びつく。
「結局、遊びとは編集そのものなのである」。[守]番匠を長くつとめた石井梨香は『知の編集術』(松岡正剛、講談社新書)の一節をあらためて思い起こした。
<より面白い方へ>と楽しむマインドが自然と沸き起こっていく。イーガン的にいうと「いきいきしている方にいく」に近い。子どもフィー
ルドの活動にはあの感じがある。
”勉強なし 宿題なし 遊びしかない”プランニングフィールド。これまでの活動を引き継いで、4月18日(火)「子どもプランニングフィ
ールド2023春夏」がスタートする。
子育て中の人に限らず、遊びや学びの場をつくっている人、これから作りたい人が広く集っている。
ただいま新メンバー募集中だ。
infomation
~発見の夢中をご一緒に~
〇[守]コースを終えたら⇒イシス子どもフィールド(参加無料)
〇[破]コースのプランニング編集術を実践したいなら⇒子どもプランニングフィールド(要参加費)
<詳細&お申し込みはこちらから>
▼イシス子どもフィールド2023春夏へのご参加は
https://shop.eel.co.jp/products/detail/528
*詳しくはこちら*
イドバタイムズ issue.19 「お題をつくる」を日常する。
子どもプランニングフィールドメンバー募集中
https://edist.isis.ne.jp/just/idobatimes19/
※4月16日(日)までにお申し込みされるとラウンジオープン時から参加いただけます!
▼38のお題で遊びたい方は、[守]コースへ
[守]基本コース(51期)
2023年5月8日~8月20日
https://es.isis.ne.jp/course/syu
活動主体:イシス子ども支局
神尾美由紀、長島順子、景山卓也、上原悦子、得原藍、浦澤美穂、吉野陽子、松井路代、石井梨香、野村英司
学林局長 佐々木千佳
イドバタ瓦版組
「イシス子どもフィールド」のメディア部。「イドバタイムズ」でイシスの方法を発信する。内容は「エディッツの会」をはじめとした企画の広報及びレポート。ネーミングの由来は、フィールド内のイドバタ(井戸端)で企画が生まれるのを見た松岡正剛校長が「イドバタイジング」と命名したことによる。
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コメント
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