鋸鍬形、犀兜、鰹象虫、乳母玉虫、碁石蜆、姫蛇の目、漣雀、星枯葉、舞妓虎蛾、雛鯱、韋駄天茶立、鶏冠軍配、鶉亀虫。見立ては、得体の知れないものたちを、手近に引き寄せたり、風雅に遊ばせることの糸口にもなる。
豪徳寺は大神輿渡御の準備で賑わっていた。世田谷八幡宮の例大祭の只中、赤堤通りに立つイシスにも編集工学神輿が出現。第82回感門之盟も2日目、編集モンスターを出すための魂振りも佳境に入る。第50回目の突破式が始まった。
ボリュームのあるスカートのドレープを翻し、エレガントに舞台に立ったのは原田淳子学匠。秋を迎えた日にふさわしい、優しい色合いだ。黒いブラウスに虹色のイヤリングが映える。大ぶりで、少し歪なベネチアングラスだ。これは学衆への華向けでもあろうか。ゆるやかに息を吐くような発声が、緊張していた場の空気を一瞬で柔らかく変える。
学匠の話は、最近、世の中を賑わすAIの話で始まった。
■ 世の中をイキイキさせる編集の力を信じる
これまで絶妙な間合いを大事にしてやってきたことが、高度に機械化されてきた。これからヒトを超えると言われるこれらのツールは、使うと楽なのだ。しかし、全て受け入れていくとSFにあるようなディストピアになってしまう。これには抗いたい。原田は、その答えが『編集』だと続ける。デモンストレーションを目指して破の稽古を通じて得た編集力は、世の中をイキイキさせる力だ。獲得した力は、新しい意味や価値を見出すことができるもの。
50破の師範代は、12名中8名が子育て真っ最中だった。日常を編集していく、編集を人生にしていく覚悟でロールを引き受けた強者たちだ。自分にお題を課すのも編集を続ける秘訣。突破したばかりの学衆は、そこまでは難しいと思うだろうか。
原田は、ここで自身の方法を明かした。
■ お気に入りの方法を自分のルールにする
破の最初の稽古である5W1H+Doの実践を毎日の自分のルールとしている。「いいね」や「だめ」だけではなく、どのようにいいのか、を常に伝えてきたのだと。人に親切にしてもらったとき、お土産をもらった時、子どもの工作やピアノの演奏を誉めるとき。どうよいのかを同時に伝えると、聞く人が喜ぶ。そうしていると、次第に信頼が醸成され、意見を求められるようになる、とも。
突破後、世界の見え方は変わる。方法を携え、学匠からとっておきの実践例を受け取った今なら、自ら編集の旅に発てるはず。その一歩、一滴が波紋となり、世の中を変えていくことができる。
原田は、次のステージへ向かう50破の面々に「日常と編集を分けないで、編集を人生していってほしい」と結んだ。
安田晶子
編集的先達:バージニア・ウルフ。会計コンサルタントでありながら、42.195教室の師範代というマラソンランナー。ワーキングマザーとして2人の男子を育てあげ、10分で弁当、30分でフルコースをつくれる特技を持つ。タイに4年滞在中、途上国支援を通じて辿り着いた「日本のジェンダー課題」は人生のテーマ。
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コメント
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