タッパーウェアはそのまま飼育ケースに、キッチンペーパーは4分割して糞取り用のシートに。世界線を「料理」から「飼育」に動かしてみると、キッチンにあるおなじみの小物たちが、昆虫飼育グッズの顔を持ち始める。
「あの松岡」の前でプレゼンするという大舞台、感門之盟のP-1グランプリに臨んだ学衆3人の奮闘ぶりと感想を紹介しよう。
突破してから当日まで5週間、全イシスにむけて披露するプレゼンのために、[破]のプランニング編集術の最初「<ハイパーミュージアム>プランのための構想」から練り直し、高速で7つのお題をやり直す。その上で7分間で語るべき要素を絞り、ふさわしい資料や小道具をつくり、シナリオを書いては何度も推敲する。登壇する学衆一人がプランニングするのではない。教室の仲間、師範代、師範、そしてディレクターの林頭、評匠、学匠と何度もミーティングを重ね、相互編集とはこのことか!と実感する1か月を過ごした。
そして迎えた本番3日前のリハーサル。本楼に立ち「Pocketism Museum」を語る北川周哉さん(カンテ・ギターラ教室)へ、演出と進行をつかさどる衣笠景司から、話し方、小道具の見せ方、動かし方にびしばしディレクションが入る。一挙手一投足に観客の注目が集まるのだと思い知る。熊本在住の木村昇平さん(平蔵ひたすら教室)、香川在住の竹内哲也さん(類児・創児教室)はオンラインでの参加だが、我がこととして聞き入る。
木村さんの「わろぶ障子 Wall of SHOJI」のリハーサル中に、校長から内容へのコメントが入った。オンラインで校長とやりとりした木村さんは、シナリオ再編集に燃え立つ。その教室仲間には、なんと本職の大道具職人さんがいた。本格的な障子を作成し、前日には本楼に搬入し、教室一丸となって自主リハーサルを行った。
「即路而真館(みちにそくしてしかもしんなりかん)」を披露した竹内さんと類児・創児教室一同は、お遍路さんが出会う「お接待」を見せたいと再現劇をシナリオに入れていた。衣笠景司から「はい、もっと練習、練習してください!」の指示に、素直に猛練習態勢に入った。オーディエンスを意識して、立ち居振る舞いが一新されてゆく。
当日朝には、木村さん、竹内さんも本楼でリハーサルを行い、それでも感じる不足と緊張をどう編集するか、本番のそのときまでアタマとココロの編集は走り続ける。
当日の様子は、既報のとおり。リハーサルの出来をはるかに超えて、それぞれ力を出し切るパフォーマンスを見せた。zoomチャットでの書き込みも最高潮に。ベテラン師範たちが「P-1ここまで来たか」、同期の学衆たちは「駆け抜けてしまったプランニングのお題が、これでわかった」と讃えた。
登壇した3BOYSの振り返りをきいてみよう。
北川周哉さん(カンテ・ギターラ教室)
ポケティズムはポケットへの恋心でした。P1登壇という思わぬ事態と、ひと月の締切。ポケットだらけな世界とポケットから世界を語れるという直観。編集力の不足に悶々とする日々の中で、評匠、師範、師範代、教室の同志とのリアル相互編集により、ポケットが一つの物語に、動的に結晶して、伝播していく様子には、お月様もびっくり仰天でした。
P1で経験した絶壁をよじ登る痛快と、拝受した数々のメッセージをポケットに入れ、今後もアバンチュールに冒険してゆきたいです。
大学卒業と感門之盟が重なった春、これからもユニークな編集道を歩んでほしい。
木村昇平さん(平蔵ひたすら教室)
結果としては率直にくやしい!と思いましたが、無事役目を終えられてホッとしている気持ちもあります。
ただ終わった後にみなさんからさまざまにお声がけいただいて、それだけでもやって良かったなと思えました。
妹尾師範代の強力なコンパイル、エディティングにとても助けられました。彷徨う僕をしっかり受け止めてくださる安心感のおかげで最後まで走り切れました。
長くバンド活動をしてきた木村さん。押し出しのいい舞台姿だった。
竹内哲也さん(類児・創児教室)
「障子」が目指した方法日本の高み、「ポケット」が示したポケティズムの衝撃。どちらも全く敵いませんでしたが、講評いただいた「切実さ」「行ってみたさ」と、教室のみなさんのバックアップで、わたしの地元であり、具体的な場所が存在する四国が、なんとグランプリを獲得しちゃいました。
調子に乗るうかれ気分の自分と、徒手空拳がクリティカルヒットしちゃったかもという劣等感が矛盾共存しています。が、それらをぜーんぶまとめて、欠けも引きずりながら、素晴らしい体験をさせていただいた事に感動しています。
日頃は県知事にも直言しているのに、朝の本楼リハではカチコチに…。仲間の気合でいつもの自分を取り戻した。
そして3人が口々にいうことは、黒膜衆と衣笠景司の妥協なきリアル編集への感謝と敬意だ。発表者のイメージをマネージし、エディトリアリティとして見る人聞く人に届けるために手を尽くし工夫を重ねる姿に、イシスの真髄を感じたようだ。
アイデアを育て、リアリティをもって相手に届けるまでを、編集に拠って成し遂げるプランニング稽古。3BOYSは、P-1出場で[守][破]をまるっと復習し、さらにイシス流のリアルプレゼンテーションも経験した。だれよりも稽古した3BOYSが、師範代としてP-1に戻ってくる日を待つ!
アイキャッチ写真(竹内さん提供):P-1終了後のこの笑顔!左より木村さん、竹内さん、北川さん。EDIT TIDE BOXがよくお似合い。
記事中のP-1本番写真:後藤由加里
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
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コメント
1~3件/3件
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