橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)

イシス人にも人気のNHK「100分de名著」、今月はキャンベルの『千の顔をもつ英雄』だ。講師をつとめる佐宗邦威氏のお仕事は、戦略デザイナー。大手メーカーでマーケティングや広告の仕事をするなかで、物語という方法論に出会ったとのこと。それからイリノイ工科大学のデザインスクールに留学し、物語作りの授業で、ジョーゼフ・キャンベルの英雄の旅にもとづくストーリー・デザインを学んだそうだ。
エリートビジネスマンが、留学までして得た「物語作り」を、実は、世界じゅうどこからでも自宅で学べるのがイシス編集学校だ! しかも25年前から現在まで、ずーっと続けている! 入門資格なしの[守]を4か月で終えたら、[破]に進む。そこで全員が物語を書く。当たり前のように書いてしまうのが編集の型の威力である
キャンベルが見出した英雄伝説は、佐宗氏も書いているとおり「行きて帰りし物語」である。千夜千冊704夜『千の顔をもつ英雄』に詳しいが、ごくシンプルに言えば、(1)セパレーション(出発)→(2)イニシエーション(試練)→(3)リターン(帰還)の三間連結である。ちょっと思い浮かべてほしい。桃太郎も一寸法師も住み慣れた家から旅立ち、別の世界に行って鬼と闘い、宝を得て帰還する。戦隊ヒーローは、日常の姿から変身して悪と戦い、そしてまた日常に戻る。はじめてのおつかいに出た子どもは、たった一人でよそよそしい世間を渡り切り、ツトメを果たして泣きながら帰宅する。これが英雄の旅、編集学校では英雄伝説の型といっている。
キャンベルの説では、この3つの中にさらに細かな段階があって、全部で17くらいある。稽古で物語を書くのに、17段階は複雑だ。しかし3段階ではシンプルすぎて、行って帰るだけの物語になってしまう。なので、編集学校は5段階の型を採用している。「原郷からの旅立ち・困難との遭遇・目的の察知・彼方での闘争・彼方からの帰還」の5段階の型をつかって物語を書いてゆく。
次の[破]をめざす方にむけてのエディットツアー、恒例となった物語編集術を体験していただく。ナビは[破]番匠:野嶋真帆。4期で入門して以来、物語編集術を磨き続け、師範代たちにその秘訣を伝授するジェダイ・マスター。相方は、同じく番匠の白川雅敏。ポール・オースターのめくるめく物語にみちびかれて編集者になり、そして編集学校に辿りついたジェダイである。
「100分de名著」において、佐宗氏は「英雄の旅」が今を生きる人、個人のものでもあるという。市井のふつうの人々の人生にも、思いがけない旅立ちがあり、試練にあって苦しみながらも何かを得て、ついに自身の成長を実感する。人生はその繰り返しであると。
稽古として物語を書いてみると、まさに「書き始め、試行錯誤し、ついに書き上げること」が冒険であり、英雄の旅であることが実感できる。エディットツアーでは、その旅立ち部分にトライする。
「物語の書き手」になるという冒険は、いかなるものか。セパレーションの機会を逃さずに! [守]学衆はもちろん、未入門の方も歓迎!
■日時:2024年8月18日(日)11:00-12:30
■費用:1,650円(税込)
■会場:オンライン(zoom)
■定員:先着20名
■対象:どなたでも参加できます
■お申込み:<破>エディットツアー2024年8月18日
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
【破 エディットツアーオンラインスペシャル8月23日】イシスな文体編集術を先取り
文章を書くのが得意です! と胸を張って言える人は少ないと思う。得意ではない、むしろ苦手だ。でも、もしかして少しでも上手く書けたら、愉しいのではないか…、そんな希望をもって[破]を受講する方が多い。 [破]は […]
『ミッションインポッシブル』を翻案せよ!【54破】アリスとテレス賞物語編集術エントリー
全国的に猛暑にみまわれるなか、54[破]はアリスとテレス賞物語編集術エントリーの一日であった。この日、55[守]では佐藤優さんの特別講義があり、43期花伝所は演習の最終日であった。各講座の山場が重なるなか、54[破]学 […]
東京の大岡山エリアといえば、東京科学大学(旧・東京工業大学)のある学園都市。にもかかわず、なんと書店がなかったという。そこにできたのが青熊書店だ。 青熊書店は、2025年3月15日に、自由が丘から移転して、 […]
源内さんとハン・ガンが人気【54破】第1回アリスとテレス賞エントリー
「5W1H」という基本の基本ではじまった[破]の稽古。1か月後にはアワードに向けて文章を何度も推敲し、磨き上げるまでに熱を帯びる。本日5月11日、54[破]第1回アリスとテレス賞のエントリーが締め切られた。セイゴオ知文 […]
【54破開講】うどん、タトゥー、ちぐはぐ…カオスの縁から創発せよ!
春の講座の先陣を切って、本日4月14日正午に、54[破]が開講した。12:25に登校(投稿)した学衆をはじめ、すでに回答を3連投した学衆もいる。 10名の師範代は、この1か月、レクチャーを受け、資料映像を見 […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-21
橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)
2025-08-19
エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。