「ここに、ジャコメッティを描いてくれませんか」
吉村堅樹林頭のオーダーに応え、野嶋師範が筆ならぬチョークをとった。学林堂の黒板に、すらすらと鼻の高い男の横顔が描き出される。
10月3日(土)45[破]伝習座が始まる1時間前のこと、[破]の師範たちは、すでに準備も打ち合わせも終えたところだ。野嶋はこの日、文体編集術のレクチャーを担う。千夜千冊500夜アルベルト・ジャコメッティ『エクリ』を題材に、そこにあらわれている文体編集術をあらわしてゆこうという試みである。先日の20周年感門之盟で、太田香保総匠が「エクリあたりから、何かを引き受ける松岡校長の覚悟が見えてきた」と明かされた、あの『エクリ』だ。
レクチャーのステージは、学林堂の黒板前と決まった。そこに向けて、スポット照明も用意された。デザイナーの野嶋に何か描かせようという林頭の目論見で、黒板はきれいに拭きあげられている。
「おお、ジャコメッティだ!」「そっくり!」「さすが、ノッジー師範」の声のなか、カリカリとチョークは動き、独特の細長い人のフィギュールが並ぶ。450ページの本『エクリ』が横に置かれ、舞台装置が整った。
編集術BPTのP、プロフィールには「横顔」という意味もある。自ら描いたジャコメッティのプロフィールに見守られ、野嶋はイメージとメッセージの間にある切実に向けて、出遊する。
チョークを走らす野嶋師範。
「もうちょっと脚長い」という校長の声も。
撮影:福田容子師範
原田淳子
編集的先達:若桑みどり。姿勢が良すぎる、筋が通りすぎている破二代目学匠。優雅な音楽や舞台には恋慕を、高貴な文章や言葉に敬意を。かつて仕事で世にでる新刊すべてに目を通していた言語明晰な編集目利き。
漢字よりも数学が人気!? 【51[破]第1回アリスとテレス賞エントリー終了】
数学が旬だ。千夜千冊では数学の本が連打され、松岡校長と数理科学者・津田一郎さんの共著『初めて語られた 科学と生命と言語の秘密』が東京駅の丸善で山積みになっている(かぞえたら120冊以上あった)。編集学校[破]の読書もき […]
校長&林頭が現“在”美術に!!!!! 宇川直宏展@練馬区立美術館
松岡正剛校長と吉村堅樹林頭が、アート作品になっているとの噂をきいた。制作者は宇川直宏氏である。2021年の「Hyper-Editing Platform[AIDA]Season2第3講」で、AIDA座衆28人の自分史を […]
運動会にもってこいの秋晴れのもと、走り出したのは児童生徒…ではなくて、イシス編集学校51[破]の学衆たち、総勢65名。10代から80代まで、日本各地いや世界のあちこちで[破]を受講するメンバーだ。 正午にスタートの号 […]
12教室96名で開講した50[破]は、8月13日、76名の突破をもって終了した。突破率79%、近年まれに見る大勢の突破者誕生だ。最近では40[破]65名、47[破]60名以来の快挙である。猛暑日の最多記録がつづき、冷房 […]
【破 物語編集術体験ツアー 8/26開催】 別様の世界のつくり方
『木のぼり男爵』を読んでいる。イタリアの作家イタロ・カルヴィーノの代表作だ。ときは1767年6月15日、イタリア・ジェノヴァ近郊にて、ロンドー男爵の長男コジモ(当時12歳)は、父親に反抗して食卓を立ち、樫の木によじ登っ […]