宮谷一彦といえば、超絶技巧の旗手として名を馳せた人だが、物語作家としては今ひとつ見くびられていたのではないか。
『とうきょう屠民エレジー』は、都会の片隅でひっそり生きている中年の悲哀を描き切り、とにかくシブイ。劇画の一つの到達点と言えるだろう。一読をおススメしたい(…ところだが、入手困難なのがちょっと残念)。

司会2人は本を纏った。
青井隼人師範と石黒好美番匠率いる第89回感門之盟が2025年9月20日、豪徳寺本楼でスタートした。 感門之盟のテーマは「遊撃ブックウエア」。EDITOR SHIP エディターシップを取り上げ、「今の私たちの社会を変革する」という前のめりな石黒に、「編集稽古そのものがブックウェアとも言える」「感門之盟でどんなたくさんのとびきりな本が飛び交うかワクワクする」と校長のチャームなところを引き継いで応じる。
感門之盟ではその衣装にも注目だ。衣装に困っていた青井に、石黒は「本を纏うのはどうだろう」と切り出した。自身の先達文庫に肖り、司会の衣装編集しようというものだ。55[守]卒門と55[破]出生魚発表を言祝ぐハレの日、本を纏って場を読んでいく。
▼石黒が担当した学衆(ニューヨーク在住のデザイナー)のブランド SAYAKA DAVIS の黒いドレスに緑のショールできめる。
▼石黒番匠と先達文庫『テヘランでロリータを読む 』(河出文庫)
手に「すずらん」を纏う石黒番匠。
▼青井師範と先達文庫『息吹 』(ハヤカワ文庫SF)』
本の装丁に合わせたグレーでまとめたコーディネート。
「Yシャツもズボンもグレーです!」胸元の青いチーフは番期同門祭で学衆から贈られた青い風船への思いもこめて膨らませているという。
アイキャッチ/福井千裕
文/高田智英子
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
「物語を書きたくて入ったんじゃない……」 52[破]の物語編集術では、霧の中でもがきつづけた彼女。だが、困難な時ほど、めっぽう強い。不足を編集エンジンにできるからだ。彼女の名前は、55[守]カエル・スイッチ教室師範代、 […]
五色の衣から二十の世界に着替え、56[守]へ走りだした。 今期の花伝所は勢いがあった。第88回感門之盟・放伝式冒頭で所長・田中晶子に「なつく」と評されたように、放伝生たちは、師範から技を盗もうと、何度も応答を繰り返し、ど […]
機があれば、欲張りに貪欲に、くらいつく。 第88回感門之盟に参加できなかった43[花]錬成師範・新垣香子は、インターブッキングに参加することで、残念を果たしたはずだった。しかし、参加したいという念は、それだけでは消化でき […]
その男は、うどんを配り歩いていた。その男とは、香川県在住の54[破]讃岐兄弟社教室・竹内哲也師範代である。彼は学衆の頃からイシスのイベントで会う人にうどんを渡し、P1グランプリではお遍路を題材にする、香川を愛する男である […]
沖縄では新暦の暦のずれを調整するため、約3年に1度、旧暦で同じ月が2回現れる特別な月がある。「ユンヂチ(閏月)」だ。ユンヂチの旧盆はことさら特別なのだが、今年はあろうことか第88回感門之盟と重なった。 叫びとも呻きともつ […]
コメント
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2025-09-18
宮谷一彦といえば、超絶技巧の旗手として名を馳せた人だが、物語作家としては今ひとつ見くびられていたのではないか。
『とうきょう屠民エレジー』は、都会の片隅でひっそり生きている中年の悲哀を描き切り、とにかくシブイ。劇画の一つの到達点と言えるだろう。一読をおススメしたい(…ところだが、入手困難なのがちょっと残念)。
2025-09-16
「忌まわしさ」という文化的なベールの向こう側では、アーティスト顔負けの職人技をふるう蟲たちが、無垢なカーソルの訪れを待っていてくれる。
このゲホウグモには、別口の超能力もあるけれど、それはまたの機会に。
2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。