かつて「大人マンガ」というジャンルがあった(詳しくは「マンガのスコア 園山俊二」参照)。この周辺には、ファインアートと踵を接する作家たちが数多く存在する。タイガー立石もその一人。1982年、工作舎から刊行された『虎の巻』は、まさしくオトナのためのマンガの最極北。いいお酒といっしょにちびちび味わいたい。
正月の空気が、すべて消えてしまったわけではない。街はすでに日常へ戻り、暦も動き出しているけれど、どこかにまだ、年のはじまりの余白が残っている。酒上夕書斎は、その余白に、そっと灯をともしたいと思った。
2026年最初の酒上夕書斎。一月のテーマは、「きもの」である。
新年の開催ではない。けれど、新年の余韻を、言葉や思想だけでなく、“装い”というかたちでもう一度呼び戻せないだろうか――
その答えが、「きもの」だった。
布であり、装いであり、記憶であり、思想でもあるもの。年のはじめに、人が身を正し、気持ちをあらためるとき、自然と選ばれてきた装い。きものは、時間を区切り、気配を切り替えるための日本の知恵でもあった。
この夜、田中優子が手に取る書籍は三冊。
青木玉『幸田文の箪笥の引き出し』
志村ふくみ・鶴見和子『いのちを纏う 色・織・きものの思想』
田中優子『きもの草子』
箪笥の奥に眠る布の記憶。糸を染め、織ることから立ち上がる思想。そして、日々の暮らしのなかで「きもの」を着て、考えてきたこと。
優子学長と聞いて、真っ先に着物姿を思い浮かべる方も多いだろう。母や祖母の着物を染め直して着ること。着物の本を書くこと。織物会社に助言をし、そして、吉村堅樹林頭の着物を見立ててきたこと。きものは、優子学長にとって研究対象である以前に、長い時間をともに過ごしてきた「生活の相棒」なのだ。
酒上夕書斎ではこれまで、「たくさんの田中優子」を見せたいと洋装での出演をお願いしてきた。だが今回は特別に――「ぜひ、お着物で」。どのような着物で現れるのか。そして、その装いから、どんな「きものの話」がほどかれていくのか。
着物が日常にある方はもちろん、憧れはあるけれど距離を感じている方にも。これまで着物に興味がなかった方にも、ぜひ見ていただきたい酒上夕書斎である。この話を聞いたあと、きものは、少しだけ近い存在になっているかもしれない。あるいは、箪笥を開けてみたくなるかもしれない。
年のはじまりの余韻を、布とことばで、もう一度。2026年最初の酒上夕書斎。YouTube LIVEで、ぜひ立ち会ってほしい。
日 程:2026年1月27日(火)
時 間:16:30~(生配信)
出 演:田中優子(イシス編集学校 学長/法政大学 前総長/江戸文化研究者)
会 場:ゴートクジ イシス館 応接室より生中継
配 信:YouTube LIVE にて無料配信
URL:https://youtube.com/live/y4VjslvI3eI
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
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