花伝所エディットツアーの裏側――次期師範代は語る

2026/03/13(金)07:57 img
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 表だと思ったところが裏になる。その逆も然り。イシス編集学校では、くるくるとその境界を行き来する。

 花伝所の入伝生は全プログラムを終了し、裏も表も自在に往来する師範代のミチを歩みはじめる。裏側には何がある? 2月28日(土)に開催された花伝所プレゼンツ「エディットツアー」の裏側を、今春開講の57[守]に登板する師範代にフォーカスしレポートする。 

 

 

■初めてのリハーサル

 当日11時、本番前のリハーサルが始まった。イシスのリハーサルといえば、本番さながらに各コーナーを通し、共有資料や語りの内容だけでなくコーナー間の繋ぎや立ち位置、テクニカルなどを念入りに確認する。もちろん、ここに至るまでは師範が集うラウンジで内容を吟味し、zoomリハーサルも実施したうえでだ。当日であろうと参加者の属性や時事を踏まえ、さらなるディレクションが入る。本番直前まで用意はアップデートされ続けるのだ。

 

 これまで受講者側にいた新師範代たちは、この日はじめてイシス編集学校のイベントリハーサル、つまり裏側に加わった。心なしか画面越しに緊張が伝わってくる。さっそく、次第に沿い錬成師範の山崎智章による自己紹介ワークのリハーサルが始まる。“部屋にないもの”を使い参加者が自己紹介をするこのワークは、山崎の説明後、ブレイクアウトルームに分かれる。そこで新師範代は進行を担う。

 

 師範代の上原正行は不安を隠せない。第一声は何と言うべきか、どんなふうに進めていけばいいか、師範へ尋ねては自身の言葉で反芻する。師範相手にリハーサルする上原の手が言葉を掴もうと宙を舞う。その場で生まれる言葉を声に出し身振り手振りを加え、18分間の自己紹介ワークをイメージしていった。

 

 

■卒意の座回し 

 師範代の北村和喜は、44[花]を終えたばかりで、この春、リアルでも学生から社会人へとロールチェンジする。初めての進行体験もひるまず編集契機と捉え、楽しむ姿をみせた。自身の不足(不得意)も生きた編集モデルとして参加者へ語る。そんな師範代の発見的な体験やフレッシュな振る舞いが場に伝わり、参加者の緊張をほぐしていく。アイスブレイクの役割もある自己紹介ワークとして上々の滑り出しだ。

 

 同じく44[花]入伝生だった師範代の藤崎梢はリハーサルに参加できなかったが、参加者の言葉を受け取り、やわらかく応接する。仕事柄、リアルでのナビゲーションに慣れていることに加え、花伝所で身体化するまで繰り返した「受容・評価・問い」の型が藤崎に自信を与えたのだろう。和やかな場作りが冴えわたった。

 

 進行に不安を抱いていた上原も本番ではリハーサルを生かし、自然体に座を回した。参加者のひとりは、“部屋にないもの”をレコードプレーヤーと答え、「レコード収集しているにもかかわらず、隣室への音漏れを気にしジャケットを眺める日々が続いている」と話した。“ないもの”は、連想を喚起する。上原は欲しいけどないレコードプレーヤーがもたらす「鳴らぬ音を想像する豊かさ」を掬い上げた。

 

 初めての進行を任された新師範代たちは、自己紹介ワークを終えた後もメインルームへ戻るまでの時間を使い参加者同士の話をつないだ。花伝所で身につけた師範代の方法は、不安や不得意も場をいきいきとさせる力へ変換する。

 

 

■新師範代は語る

 エディットツアーの最後は、新師範代が花伝所の日々を振り返り参加者へメッセージを届けた。

◇北村和喜師範代◇

 花伝所で、タイミングや旬、それを逃しがちだったことに気づいてから、ありたい姿が立ち上がってきた。入伝生同志や師範との相互の交わし合いも大きく、やり取りの中で仲間や同志になっていく感覚があった。編集に分け入る同志に出会いたい、本当の自分に出会いたい、もちろん師範代になりたいと思っている方は、花伝所へそのまま進んで欲しい。

 

◇上原正行師範代◇

 [守][破]の復習として花伝所へ入伝したが、結果、最も濃密な体験ができた。最初の指南はものすごく悩んで書いた上に評価も高くなく、辛かった。しかし、あるときそれまでと違う自分が生まれ、その後、[守]を受講した時の師範代を擬いて指南を返す自分へと変化していった。そういう働きが蠢いている場が花伝所。場の力を味わってもらいたい。

 

◇藤崎梢師範代◇

 [守][破]を受けてもわからなかったので、もっと知りたいと思い花伝所へ進んだ。花伝所をでてもさらにわからないことが増えているが、わからなさの感覚が変わった。今まで自分がこうだと思っていたことも、実はもっといろんな見方がある。これまで「よくわからない」と終わっていたことも、面白さや見え方、感じ方が変わった。いろんな自分が引き出されるところが花伝所だと思う。

 

 3名がそれぞれの変化を語り終えると、花目付の林朝恵は「目的も最初と渦中と終盤では、だんだんと変わっていく。何かを乗り越えたときに変化するのは当たり前で、そこで何かを察知するのが花伝所」と重ねる。

 

 花伝所では、学ぶこと、教えることの価値観がガラリと変わる。境を越え、裏も表も往来する、ひとところに止まらない旅の入り口がここにある。

 

▲エディットツアーを終え、ほっと笑顔

 


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●花伝所エディットツアーの裏側――次期師範代は語る

  • 大濱朋子

    編集的先達:パウル・クレー。ゴッホに憧れ南の沖縄へ。特別支援学校、工業高校、小中併置校など5つの異校種を渡り歩いた石垣島の美術教師。ZOOMでは、いつも車の中か黒板の前で現れる。離島の風が似合う白墨&鉛筆アーティスト。

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