銀糸で縁どられた白いレース編みの首飾り、深いワインレッドのワンピースのドレスで壇上に原田学匠が現れ、突破式が始まる。
「最初に渡辺高志師範を偲ぶ時間を持ちたいと思います」
原田学匠から、高志師範が48[破]の第2回伝習座の最中に倒れ、その日のうちに亡くなられたという事情、離の有志を中心に開かれた8月11日の惜門館の様子が語られ、高志師範のイシス編集学校で活動を編集した映像が流れる。
3歳の息子が「トイレットペーパーが僕のところで必ず終わりになる」という発見したことを題材を少し照れながら語る伝習座での物語術の講義に始まり、「さきいかサーカス教室」の教室名発表、感門之盟の司会と高志師範の笑顔と穏やかな声が重ねられる。思わず席に戻って嗚咽する華岡師範。高志師範がいまここにいない世界の無情を全員が改めて実感する。
「思い出すことで高志師範といつも一緒にいたいと思う」
原田学匠の言葉は、高志師範の突然の不在を感じつつ稽古を重ねた48[破]指導陣全員の想いでもあっただろう。
続いて、48[破]を振り返る。
8教室61名の学衆で4月末より開始された今期の突破者は37名。これまでの期に比べ、大幅に少ない突破者である。原田学匠は松岡校長への突破報告の様子を語る。新型コロナや家族の事情を重ねた突破報告に校長から檄を飛ばされたこと、
「37名全員を登壇させる」
そう宣言し、今日の感門を目指し、もう1つお題を増やし活動してきたことを告げる。
師範、番匠、評匠が同じ思いで活動し、師範代も目的を察知、学衆もそれに応えてくれた3週間。P1に向け、選ばれた回答の再構築に協力する。隣の教室を手伝う。事情があって参加できないが、応援のメッセージを送る。まさに37名という少数だからできた稽古である。
「少数なれど熟したり」
この実現に全員で向かった期であったと学匠は語った。
きたはらひでお
編集的先達:ミハイル・ブルガーコフ
数々の師範代を送り出してきた花伝所の翁から破の師範の中核へ。創世期からイシスを支え続ける名伯楽。リュックサック通勤とマラソンで稽古を続ける身体編集にも余念がない、書物を愛する読豪で三冊屋エディストでもある。
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