橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)

多読ジム出版社コラボ企画第四弾は、小倉加奈子析匠が主催するMEditLab(順天堂大学STEAM教育研究会)! お題のテーマは「お医者さんに読ませたい三冊」。MEdit Labが編集工学研究所とともに開発したSTEAM教材「おしゃべり病理医のMEdit Lab-医学にまつわるコトバ・カラダ・ココロワーク」で作成したブックリストから今回のコラボ企画のために厳選した30冊が課題本だ。読衆はここから1冊選び、独自に2冊を加えて三冊セットを作り、レコメンドエッセイ三冊屋(500〜600字)を書く。MEdit賞はいったい誰の手に?
自分らしく生きるというのは、どんな生き方だろう。
小川糸の小説、『ライオンのおやつ』の主人公、海野雫は、若くして余命を告げられ、瀬戸内の島のホスピス「ライオンの家」にやってきた。積極的治療や延命治療の苦痛はもうこりごりだったのだ。
ホスピスでは、入居者がリクエストできる「おやつの時間」がある。人生でもう一度食べたい思い出の「おやつ」。雫はなかなか思いつかない。今までずっと、自分より相手の気持ちを優先して生きてきたのである。
人間には生まれもって備わった自然治癒力がある。しかし、その治癒系が機能不全に陥ってしまうと治療は非常に困難になる。そう警告するのは、『癒す心、治す力』の著者で統合医療の権威、アンドルー・ワイル博士である。癌になる根本的な原因はストレスであり、雫も気づかないところで自分の感情を犠牲にしてきたのだ。
エッセイ集『科学者の夜想』の著者、ルイス・トマス博士は、「役に立ちたい」という衝動は遺伝子からのメッセージだと語る。全ての生物は、自分の生命を他者のために犠牲にする「利他的行為の遺伝子」を持っている。種の存続のために生物が進化の過程で選択したのだ。他人を思いやる心の奥には、この衝動が潜んでいる。しかし、利他と利己という矛盾を併せ持つのも人間だ。自己愛と利他的行為の遺伝子はバランス良く使いたい。それを踏まえたうえで自分らしく生きたいと思う。
Info
⊕アイキャッチ画像⊕
∈『ライオンのおやつ』小川糸/ポプラ文庫
∈『癒す心、治る力』アンドルー・ワイル/角川文庫
∈『科学者の夜想』ルイス・トマス/地人書館
⊕多読ジムSeason13・冬⊕
∈選本テーマ:お医者さんに読ませたい三冊
∈スタジオみみっく(畑本浩伸冊師)
中原洋子
編集的先達:ルイ・アームストロング。リアルでの編集ワークショップや企業研修もその美声で軽やかにこなす軽井沢在住のジャズシンガー。渋谷のビストロで週一で占星術師をやっていたという経歴をもつ。次なる野望は『声に出して歌いたい日本文学』のジャズ歌い。
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コメント
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2025-08-21
橋本治がマンガを描いていたことをご存じだろうか。
もともとイラストレーターだったので、画力が半端でないのは当然なのだが、マンガ力も並大抵ではない。いやそもそも、これはマンガなのか?
とにかく、どうにも形容しがたい面妖な作品。デザイン知を極めたい者ならば一度は読んでおきたい。(橋本治『マンガ哲学辞典』)
2025-08-19
エノキの葉をこしゃこしゃかじって育つふやふやの水まんじゅう。
見つけたとたんにぴきぴき胸がいたみ、さわってみるとぎゅらぎゅら時空がゆらぎ、持ち帰って育ててみたら、あとの人生がぐるりごろりうごめき始める。
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。