先人の見立て力にひれ伏すしかないと思って来た「墨流し」。戯れに、Chatさんに「蝶のスミナガシを別の見立てで改名するにはどんな名前がいいですか?」と尋ねてみて、瞬時に現れた名答に打ち拉がれております。

リハーサル中、校長の書の前に座する吉村堅樹林頭を目にして私は、数メートル下ったところから知らず手を合わせていた。お姿がありがたい……。
休憩時間に駐車場で、謁見をお願いする気持ちで声をおかけした。
A「林頭。神々しくて、近寄れません。お傍から蘭奢待の香りがします。感門之盟では和服をときどきお召しになるんですか?」
林「いや、初めてなのよ」
A「えっ!!! 堂に入ってらっしゃって、ふだんから着付けてらっしゃるとしか思えません」
林「持ってないからね。これ、ぜんぶ優子学長の見立て。アレにしなさい、コレがいい、はい、はい、と」
A「うーん、さすがです。見れば見るほど本物です、高僧です」
林「袈裟は着てたな。坊主やってたからね」
い「・・・お坊さんって、 “やる”もんなんですか?」
林「そうよ。やれるのよ。師範代だってそうでしょ。教えるなんてできませ〜ん、なんて言ってる人たちがさ、立派にやっていくわけじゃない」
そう言いながら林頭は片手に持っていた煙草を灰皿に押しつけ、本楼へと消えていった。林頭の和服姿は粋に向かうと思われたが、むしろ雅だった。
(写真・文/匿名希望)
今井早智
編集的先達:フェデリコ・フェリーニ。
職もない、ユニークな経歴もない、熱く語れることもないとは本人の弁だが、その隙だらけの抜け作な感じは人をついつい懐かせる。現役時代はライターで、今も人の話を聞くのが好き。
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コメント
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2025-10-20
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2025-10-15
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2025-10-14
ホオズキカメムシにとってのホオズキは美味しいジュースが吸える楽園であり、ホオズキにとってのホオズキカメムシは血を横取りする敵対者。生きものたちは自他の実体など与り知らず、意味の世界で共鳴し続けている。