【来たれ、三日坊主祭!】⼤惨寺にて一服

2024/04/03(水)12:00
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 喫煙者が隔離されるようになって久しい。全面禁煙のビルも珍しくなくなった。世の中はますますダークサイドに取り込まれているようだ。

 

 スーザン・ソンタグの不敵な睥睨、開高健の凛々しい風貌を見よ。一本のタバコが人類に、尋常ならざる飛躍と揺らぎをもたらすことを実感できる。今宵も一本のタバコに賭けてみる。

 

 しゅぽっと火をともし、白煙をふわっと燻らせると、スクリーン向こうの電脳空間から、大惨寺への参道が見えてくる。先日の感門之盟では、多読ジムの秘境性が語られたが、大惨寺ももうひとつの秘境なのだ。突破者ならば、読みと笑いの多焦点を捉えて、ぎゅいぎゅいと楕円状の軌跡を逍遥できるだろう。

 

 一本を吸い終える時間があればよい。ほんの一服が思考を和らげ、放つ一句に連想が拡幅する。現在1000日興行の真っ最中であるが、本来大惨寺にはいつでもどこでもアクセス可能。この期間限定(4/5-13)の『遊夕三日坊主興行』にて、ちょいと覗いてみようじゃないか。(尚、非喫煙者も参詣可能である)

文・写真/破綻


◎大惨寺百番大祭●遊夕三日坊主興行

■開催期間 ※この期間だけお題のメール配信が解禁されメール回答が可能になります

前半︓4/5(金)・4/6(土)・4/7(日) 

後半︓4/11(木)・4/12(金)・4/13(土)


(アイキャッチ画像)

 スーザン・ソンタグ『私は生まれなおしている 日記とノート1947-1963』河出書房新社

 開高健『瓶の中の旅:酒と煙草のエッセイ傑作選』河出文庫

 芥川龍之介ほか『もうすぐ絶滅するという煙草について』キノブックス

 

  • シン・お笑い大惨寺 遊夕番遊夕番

    編集的先達:一休宗純、川上音二郎、椿三十郎、四方赤良。イシスと社会の狭間に生まれし「シン・お笑い大惨寺」。この河原から毎夕声を発するは人呼んで「遊夕番」。時には抜き身の刀のごとくギラギラと、時にはヌメヌメ艶っぽく、この世もわが身も笑い飛ばす。髑髏を蹴飛ばしオッペケペぇ、雨降らば降れ風吹かば吹け。

コメント

1~3件/3件

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025

大沼友紀

2025-06-17

●記事の最後にコメントをすることは、尾学かもしれない。
●尻尾を持ったボードゲームコンポーネント(用具)といえば「表か裏か(ヘッズ・アンド・テイルズ:Heads And Tails)」を賭けるコイン投げ。
●自然に落ちている木の葉や実など放って、表裏2面の出方を決める。コイン投げのルーツてあり、サイコロのルーツでもある。
●古代ローマ時代、表がポンペイウス大王の横顔、裏が船のコインを用いていたことから「船か頭か(navia aut caput)」と呼ばれていた。……これ、Heads And Sailsでもいい?
●サイコロと船の関係は日本にもある。江戸時代に海運のお守りとして、造成した船の帆柱の下に船玉――サイコロを納めていた。
●すこしでも顕冥になるよう、尾学まがいのコメント初公開(航海)とまいります。お見知りおきを。
写真引用:
https://en.wikipedia.org/wiki/Coin_flipping#/media/File:Pompey_by_Nasidius.jpg