アツいのはロウソクだけじゃない

2019/11/13(水)20:28
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「コメントが、とにかくアツかった」。

 『科学道100冊』の仕掛人、理化学研究所(理研)・広報の望月達矢さんと編工研・チーフディレクター仁禮洋子は、プロジェクトの概要を一通り説明したあと、口を揃えて切り出した。11月12日から11月14日までパシフィコ横浜で開催されている第21回 図書館総合展トークショーでの一コマだ。次第に立ち見客が増えていく。60分のミニプレゼンコーナーのタイトルは「『科学道100冊 2019』の裏側、全部見せます!」。

左:仁禮洋子(編集工学研究所) 中央:望月達矢さん(理化学研究所) 右:モデレーターの木下通子さん(浦和第一女子高校 図書館司書)は科学道のサイトで記事連載中!

 

 

『科学道100冊』は「科学×本」のプロジェクトとして2017年にスタート、現在は428箇所、ジュニア版は757箇所の図書館や書店が参加している。今年からアニュアルに100冊を発表することも決まり、先だって本楼で合同記者会見も行われた。メディアの注目度も高い。



 2019年版のブックレットは、理化学研究所3500人全員に行った「あなたが思う科学道の本は?」「大人になる前に手にしてほしい本は?」といったアンケートへの回答がベースとなっている。アンケートに添えられたコメントからは選本理由だけでなく、「科学者への憧れは湯川さんの本から始まった」「一人の科学者との出会いが人生を変える」「ダ・ビンチのような現場の知を知るために、自分は臨床をしている」など、“本について語りたいぞ”という、研究者たちのパッションで漏れなく書かれていたという。

 このパッションが企画のキモとなり、時代を経ても古びない「科学道クラシックス50冊」、「わたしの科学道本」「博士の本棚インタビュー」の紙面となった。

 インタビューした仁禮は「読書の記憶を語ることで、人となりが引き出されてくる」とあらためて本の魅力を語った。理研の望月さんは「まずはブックレットを手にしてほしい。今後も心にひっかかるものに仕上げて、科学道の輪をもっと広げていきたい」と意気込んだ。



 『科学道100冊 2019』PDF


  • 田中晶子

    徹夜明けのスタッフに味噌汁を、停滞した会議に和菓子を。そこにはいつも微笑むイシス一やさしい花伝所長の姿があった。太極拳に義太夫と編集道と稽古道の精進に余念がない。

コメント

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山田細香

2025-06-10

 この日、セイゴオはどこから私達を見つめてくれていただろう。活け花の隙間、本楼の桟敷、編工研の屋根の上、地上15m付近の鳥の背中。低い所か、高い所か、感じ方は人それぞれだろうけど、霊魂がどこに遍在しているかを考えることと、建築物の高さは深く関係している。
 建築家・藤森照信はいろんな高さに茶室を造ってきた。山から伐り出した栗の木を柱にした《高過庵》の躙口は地上6m。その隣には地面に埋まった竪穴式の《低過庵》がある。この「高過ぎ」「低過ぎ」と言えるその基準は何なのか。

山田細香

2025-06-10

 藤森は人間の生と死のプロセスをノートに書きつけ、霊がどこに行くかをずっと考えてきた。そして人間が死ぬ場所としてドンピシャの高さを見つけ出している。それが檜の1本柱の上に建つ地上4mの《徹》だ。春になると満開の桜の中に茶室が浮かび上がる。桜は死を連想させる。この高さの絶妙さを目の当たりにすると、美しさだけでなく恐怖さえも感じてしまうのだ。

堀江純一

2025-06-06

音夜會の予習には『愛は愛とて何になる』(小学館)が是非ともおススメ。松岡校長も寄稿しています。
さらに、あがた森魚さんの映画監督第一作「僕は天使ぢゃないよ」は、なかなかの怪作なのでご興味のある方は是非どうぞ。
監督・脚本・主演・歌唱あがた森魚で、他にも横尾忠則、大瀧詠一、緑魔子、桃井かおり、山本コウタロー、泉谷しげる、鈴木慶一などなど無駄に豪華キャストなのに、なぜかヒロイン役が一般人(たぶん...)で、びっくりするほどのセリフ棒読み。さすがにこれはダメだろうと思いながら観ているうちに、だんだんこの子がいい感じに見えてくるから不思議。あがたさんの「愛の理想形」を結晶化させたような作品です。