2026新春放談 其の参 – アレゴリアで編集ゾーンに入る

2026/01/04(日)08:30 img
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  1. 遊刊エディストの新春放談2026、其の参 をお届けします。 今回は[多読アレゴリア]着物コンパ倶楽部を率いて大活躍の森山智子さんをゲストにお呼びしました。 

      

    ◎遊刊エディスト編集部◎ 

    吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 松原朋子 師範代

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    ◎ゲスト◎ 

    [多読アレゴリア]着物コンパ倶楽部、ハイリド源氏倶楽部 森山智子さん 

     

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  4. ◆多読アレゴリアで編集力を爆発させる

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  6. 松原 田中優子学長に続いて、お二人目のゲストをお迎えしましょう。[多読アレゴリア]着物コンパ倶楽部を主宰されている森山智子さんです。 

     

    森山 あけましておめでとうございます、森山です。 

     

    吉村 今年もよろしくお願いします!森山さんには、ずっとどこかで活躍してもらいたいと思っていました。[多読アレゴリア]という場所ができて水を得た魚のように、森山さんの編集力が爆発している感じがします。この1年はどうでしたか。 

     

    森山 私は蛇年なんですが、年齢的に節目で。昨年の今頃、もう一度生まれ変わりたいなと思っていたタイミングで、吉村さんにお話をして、[多読アレゴリア]という場で挑戦してみたいなという気が起こりました。ありがとうございました。 

     

    吉村 着物コンパ倶楽部、クラブスタートから勢いがすごかったですよね。 

     

    後藤 20名の定員がすぐに埋まって、急遽30名に広げられて。でもそれもすぐにいっぱいになっちゃって。 

     

    吉村 定員の枠を何度も広げ続けましたからね。 

     

    森山 2024年12月から冬のアレゴリアがすでに始まっていて、それを感じながら、1、2月と準備を進める中で、告知をどうしようと考えて。男性もOKだよということもいいたくて、中村麻人さんと梅澤光由さんにお声がけして、トーク会を企画しました。本楼をお借りして、どうやって人を集めたらいいだろうと最初に考えるきっかけになりました。本楼でやらせていただいてよかったです。 

Kimono話#02 トーク会「男の襟と同伴」(2/4 Tue)のこぼれ話【着物コンパ倶楽部】

 

吉村 最近のイシスに入門した人は、森山さんをご存知かわからないのですが、2008年に僕が入門したときには、すでに森山さんはイシスのスターだったんですよ。[守]を卒門した後に、森山さんがナビゲーターをされている青山ブックセンターの三冊屋のワークショップにでました。感門之盟でも着物を独自のスタイルで着こなしていらして、ひときわ目立っていた。 2009年には、松丸本舗ができて、ブックショップエディターとしても輝いていましたね。

 

  1. 松丸本舗でBSEとして活躍されていた森山さん(中央)

 

  1.  ▼2024年の番期同門祭や別典祭で活躍するBSE!

     Vol.1 松丸ごっこ(森山智子)

     Vol.2 盆栽の松丸、松丸の盆栽(大野哲子)

     Vol.3 松丸エッセンス入ってます!三冊屋(川田淳子)

     Vol.4 内緒とホンネのBSE夜ばなし(大音美弥子)

  2.  Vol.5 BSEの新たな挑戦:「おまもり本」読書法@別典祭

 

森山 守]の学衆だったとき感門之盟に着物を着ていきました。着物をはじめたとき、文章を書けないとだめだなと思ってイシス編集学校に入門したのですが、着物を着ていけるところができてうれしかったのと、松岡校長がいいねと言ってくださって、それから機会があるごとに着ていっていました。

 

吉村 森山さんがまた編集学校に戻ってきてくれて、編集学校に最近入門した人も、森山さんの魅力、着物の魅力、編集の魅力に出会える機会ができました。

 

森山 私もこの機会をいただけて、人生を大きく変えるんだなと実感しています。編集学校に入る前に、松岡校長が出演されていた『NHK人間講座 おもかげの国 うつろいの国』のテキストを探しに青山ブックセンターに行ったら、ちょうどその横に、『僕たちは編集しながら生きている』という後藤繁雄さんの本があって。あぁそうだなと思ったんです。編集しながら生きているということが、着物コンパ倶楽部を運営している中でありますね。

 

 

◆2014年のISIS FESTAからつながっている

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    吉村 その間にももちろん、ISIS FESTAで着物ワークショップを何度も開催してくださっていました。 

     

    後藤 あれは2014年でしたね。林朝恵さんと私で好きなものの写真やカタログを持ち寄って。着物をシステムと捉えて、襦袢帯留めとか帯とか帯揚げとか半襟とかが、そこにどんな色や模様を入れるかを森山さんとワークでやるんですよね。それをもって、着物をお買い物に行くという。 

     

    森山 当時後藤さんは、どんな感じが好きかと聞くと、紺っておっしゃったんですが、クリムトのようなものが好きというのも出てきて。林さんは鈴木清順監督の『ピストルオペラ』でしたね。いつもの自分からは離れて、好きなものが着物にも直結するんだなと実感しました。 

     

    吉村 お店で着物を見ている時に、後藤さんが気に入るものが最初は見つからなかったんですが、クリムトっぽい帯がみつかったら一瞬で顔の表情がキラキラ変わったのが印象的でした。 

     

 

2014年に開催したISIS FESTA「かさね そろい あわせ 着物を編集する夜学」

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    森山 あの時のことが原点にあって、それを着物コンパ倶楽部でどうするか、オンラインでどうやるか考えました。自分の好きなテイストを着物に落とし込むところまではまだ行けていなくて、リアルに迫るぐらいにネット上でできるにはどうしたらいいのか、試行錯誤していますね。好きなものを分解して、お買い物に行って、自分で着物を着てみましょう、というのが心にありますね。 

     

 

◆やりたかったことがアレゴリアでできる!

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    吉村 多読アレゴリア]の2期目からのスタートですが、森山さんのクラブは、たった一人で運営している唯一のクラブですからね。誰かと一緒に運営しないと大変じゃないですか、と聞いたのですが、森山さんはひとりでやってみたいと言われたんですよ。 

     

    森山 ただ、吉村さんや後藤さんと相談したり、学林局デスクチームの方ともやりとりしながらやっているので、そんなに一人だけで頑張ってる感はあんまりないですけどもね。 

     

    吉村 多読アレゴリア]で稼ぎたい!とも言われていましたね。 

     

    森山 一人で何人まで応対ができて楽しんでもらえるのか、クラブメンバーのみなさんが参加しやすくなるのかは考えていますね。 

    2004年に着物をやりはじめたときには、Zoomの環境もないですし、会計システムもありませんでしたし。自分の着物サロンのようなことをやりたいとずっと考えていましたが、[多読アレゴリア]でなら、エディットカフェもZoomも使えて、申し込みや経理周りもサポートしてもらえる。頑張れば本楼も貸切ができる。時間や手間、コストを考えると、クラブを行うためのインフラが整った状態からスタートができるのはありがたい話。着物のイベントや販売もやっていたことがあるので、その辺りはものすごいいいなと思います。なので、他の皆さんもやりたいことがあったら、[多読アレゴリア]の場でできるんじゃないかと思います。 

     

    金 森山さんが今までに試行錯誤して難しさを感じてこられたので、[多読アレゴリア]でのびのびと思う存分やれているということですよね。 

     

    森山 事業でやると、計画からものすごいやらなきゃいけない。それが、イシス名刺まで作ってもらって、ほんまにいいんですか、ということですよね。 

     

    吉村 アレゴリアでクラブを運営されている他の方も、もっと自由に傍若無人に、だけれども繊細に用意周到に、いろいろ楽しんでもらって、自分のフェチも思い切り出して、やってもらえるといいですね。 

     

    森山 フェチも、編集力も、外に出ていこうという人にとっては本当にいいですね。 松岡校長が連塾でどんなことをされていたのか、松丸本舗でどんなことをされていたか、もう一回勉強して、方法の取り出しをやっていました。 そういう部分を、松岡校長がリアルでやっていらした活動の部分を活かすというか、真似をするチャンスになっているなと思って、編集力をすごく使っています。 

     

    金 森山さんの活動がアレゴリアから新たに始まったというよりも、これまでの積み重ねと試行錯誤があったからこそ、今につながっているんですね。ISIS FESTAでの林さんと後藤さんとのワークからモデルはできているが、試行錯誤しつづけているという。これからもまだ改良する余地があるということですかね。 

     

    森山 色々な場を使ってやってみたいですね。 

     

    金 最初にアレゴリアが立ちがったときに、講座じゃなくてクラブなんだと強調していましたが、立ち上げた側も初めてでクラブがどんなものになるのかわからない状態で。皆さんもいろいろと、今もずっと、どうしていけばいいだろうと考えながら進めている。ここで森山さんが一人でやるのもすごいし、お題を出さないのも思い切りましたよね。 編集学校はお題を当たり前のようにやる。お題型もありうるが、出さないと決めていったりする決断力、行動力が、ひとつのモデルになっていてすごいな。 

     

    森山 お題を出すことでコミュニケーションのきっかけになってやり取り感があると思います。着物コンパ倶楽部にはたくさんの人数に入ってもらいたくて、でもそれだと指南をがっつりというスタイルでは運営は難しいと思う中での折衷で、ずっときている感じです。多読アレゴリア]は、お題に返事のない人もいるので、そうなると寂しい。運営の構えを師範代の頃とは変えないとだめだなということもあります。むしろ変えていかないと、と言いきかせながらやっています。 

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    金 クラブ自体が生き物で、講座のように決められたお題などがないので、常に編集をかけていって、構えを変更をしていくということを、見事にやられている。 

     

    森山 その場対応の連続ですけれどもね。シーズンが始まる前に決めていたものはほぼそのようになっていることはないですね。ひとつ大きいのは、ずっと続く前提での構え。常に新しいもの、珍しいものを出し続ける、ということを縛りにしています。同じ方に飽きないで面白いと思われ続けるためには毎回違うものを出し続けないといけない宿命があるのかなと思って。それが面白いです。 

     

    金 手を変え、品を変えですね。千夜千冊を書くというような、毎回こう違うように飽きさせないとなると、運営は究極に難しいですね。その時々で、変えられるという機動力を考えると、一人でやるほうがやりやすいのかもしれないですね。 

     

    森山 キャッチフレーズは「別様の珍しきは花」。別様で、珍しいことが花。春にやったことをまたやりだしたりするかもしれないですが、毎回違うことを全部出し切っています。いまやりたいこと、伝えたいことを、毎回ずっとやっている感じですね。 

     

    松原 だから次々と新しいことができるんですね。 

     

    森山 毎回出し切らないと。ちょっとこれ面白い話だから、来期に置いとこうかみたいなことをやっている間がないという感じですかね。 

     

    吉村 後藤さんや上杉くんは倶楽部撮家と音づれスコアで、同じようにクラブオーナーですが、自分たちのクラブと比較してどうですか? 

     

    後藤 ずいぶん雰囲気が違うクラブだなと思います。倶楽部撮家では写真を撮るきっかけとしてお題があって、お題を中心に活動をしている感じですね。男性が多いのもアレゴリアでは珍しいクラブなのかも。お題を通して写真を撮り続けていらっしゃる方は、写真を自分のものにされてきているなと思います。 クラブをいろいろ覗いていると色とりどりでクラブにオーナーの色が出てきているのも面白いなと思いますね。 

     

    上杉 きらきらしていてうらやましい。メンバーそれぞれの多様さ、ユニークネスが、着物というメディアでいかされていますよね。着物にその人の物語やありたい姿、過去の生きざま、わだかまりが詰まっていて、着ることによって解決されたり、それぞれの在り方を着物を着るという行為でメディア化しています。そこに本を差し込むのも大きいですよね。別典祭の黒留袖ファッションショーでは、みなさん誇らしげで気持ちがよくて、形にできることは大きいことだと思います。着物というメディアの可能性がうらやましいですね。単に着るだけではそういう感じにならなかったのだろうと。 

    森山さんが着物の整理にメンバーの家に出かけて行ったり、そういう中で森山さんが素敵と言ってくれるなら着てみようと思われたのではないかな。在り方そのものが、着物コンパクラブの魅力なんだろうと感じました。 

    [多読アレゴリア]として、正解がない中でどう進むか、表向きはにこにこしても、内心どきどきしていたり。森山さんが多様なものを活かそうとするのはたやすくなくて。 

    音楽でも、詳しい人やラウンジ上でのコミュニケーションが得意な人が目立ちすぎてしまうと、言葉にするのが憚られる人がでてきます。知識量だけだと、分裂してしまって閉じてしまうのだなと1年間やって肌で感じます。そういうときに、いかに音楽の関わり方が大事か、体感するとか、問うて聞いてみるとか、 今はそれを試みて豊かにしていきたいと思っているが、そこら辺をどうやるか、ということが目下の関心で課題です。着物コンパ倶楽部の取り組みを個別にも伺ってまねびたいといころがあるなと感じたところでした。 

 

黒留袖ファッションショーで、2025年11月の別典祭に華を添えた着物コンパ倶楽部

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    森山 着物の知識はないけれど着てみたいという発言に応対の度合いをあげています。既存のものを崩して数寄から立ち上がる着物の楽しみを大事にすることを師範代の経験を通してやっています。 

     

    吉村 クラブといえども、イシス編集学校は「方法の学校」ですから、「方法」で話をしたいですよね。 

     

    森山 着物のコーディネートで使っているのは[守]の編集術、特にミメロギア。らしさを分解して、編集術・方法でやりましょうということを差し込むようにしています。 あと本当に着物を自分で着れるようになりたい人と、体験だけしたい人と、なんとなく面影だけ感じたい人と、どの人にも面白がれるようにそれぞれの人にコンテンツを用意するみたいなことを、だんだんやりつつある感じですね。 着物を日常化するっていうのを、中心においているので、着物を着たことがない、知らない人を中心にしようと決めています。 

     

    上杉 キラキラした倶楽部だと見ていましたが、日々悩みつつも動かしていることを伺えて、似たようなものがあるんだなと勇気がもらました。 

     

    金 森山さんが方法を使っていることが分かりますね。なんでもいいわけではなく、本来は方法があるはずなので、そこを磨いていけるといいんじゃないかなと思います。 

     

    吉村 クラブは、主に師範代や師範などを経験されてる人が運営をされているので、どんなときも「方法」を意識して使うのがいい。[多読アレゴリア]のクラブの運営や企画を、」もてなし・しつらい・ふるまい」の観点で見ると、森山さんは、「しつらい」と「もてなし」が抜群ですね。企画に「もてなし」の心があふれていて、仕立ての言葉も「そろい」がバッチリ決まっていたり、ちょっと気の利いた言葉になっています。

     

    金 着物コンパ倶楽部のメンバーから話を聞くと、本当にいいんですと言っていて、それぞれの人がちゃんと目配りしてもらっていることを感じているらしいです。あの人数の中で私は見てもらっている、場を運営してくれているということを、もてなし、ふるまいを実感しているんだと聞くと感じますよ。 

     

    森山 うれしいですね。 

     

    吉村 森山さんと一対一でしたワークショップや雑談で話したことが次の期に反映されていることに驚かれていましたね。他者から情報を取り入れる、相互編集状態にあるということを感じられて、すごいと言われていました。 

     

    森山 藁をもすがる思いで、それをやりましょうと。こちらの方がお礼を言いたいお話ですね。 

 

 

  1. ◆2026年、2クラブ目を立ち上げます

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  3. 金 武邑光裕さんの言葉で言うと、森山さんがゾーンに入っている感がある。別典祭のファッションショーでランウェイを歩きながら次の構想が浮かんだ、と話していましたが、そんな物語を生きているようなことがあるんだなと。次にまたクラブが立ち上がるんですよね。 

     

    松原 一人で2クラブ目の運営ですか! 

     

    森山 着物と古典がシンクロしながら行くと、歴史的現在を生きている感が増すので、もう一つ源氏物語のクラブを立ち上げます。名前は「ハイリド源氏クラブ」。ハイリドは、ハイパーリードです。一生懸命順番を追ってストーリーを読むのではなく、現代語訳を読みながら知るのではなく、原文をつまみ読みをしたところから、こことここが繋がっていたというようなハイパーリンクっぽい読みをできたらいいなということで決めました。 

    これまで源氏物語を研究された方々の集約が岩波文庫の新しい源氏物語に入り尽くしていて、索引がすごいんですよ。頭中将をひくと、索引に全部書いてあるんです。追いたい人を追うこともできる。全員分の名前があるのでお付きの人や家来も名前がある。女房の人を追うと源氏がなにをしてきたかがわかる。乳母の視点でみることも、 読めていけちゃうのでおもしろいんじゃないかな。 

    現代語訳の源氏物語は筋を追うのにはいいのですが、訳された方のフィルター越しになるので、その先入観をなくして読んでみることを10人程度でやってみたい。

     

    吉村 楽しみですね。[離]の退院者、[守][破]の師範代を経験した人に来てほしい、という限定ですよね。 

     

    森山 [離]の経験と[守][破]師範代の方法を使ったら、原文が読めるんじゃないかという仮説を持って打ち出したい。 

    1000年前にいるとして、学者の方が研究したものを、体感したいということを重視したい。わー!、えー!と思うところがけっこうあるので、皆さんの手で見つけていただけたらと思っています。 

     

    後藤 ハイリド源氏クラブは、すでに満員御礼となっております。さすがの人気でした!

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    吉村 2026年も森山さんがますます活躍ということになりそうです。 楽しみにしています。

 

 

今日はここまで。其の肆 (1月4日公開)へ続く! 

次のゲストはどなたでしょうか?!

どうぞお楽しみに~🏇

 

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🎍2026年 新春放談🎍

其の壱 – イシスのネオバロック化 なめらかな境界に向かって(1月2日公開)

其の弐 – 田中優子学長が語る松岡正剛の再編集(1月3日公開)

其の参 – アレゴリアで編集ゾーンに入る(1月4日公開)(現在の記事)

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。