もてなしとふるまいは日々の用意と卒意で万事OK。しかし本楼や近大アカデミックシアターのような設備も機能も不足する九州会場(大分・耶馬渓)はしつらいがお題であった。なにしろ会場となるのは田中さつき師範代の自宅。お座敷の一角をプライベート空間から感門之盟会場へと転換を図らねばならない。
求めたのは「光」であった。昼はともかく日が沈むと床の間は真っ暗闇になる。なにしろ師範と師範代の晴れ舞台。九天玄氣組の中野由紀昌組長は叫ぶ。「もっと光を、もっと灯りを!全然足りない!」
納屋にしまいこんでいた作業用ライト、部屋の奥にあるデスクライト、屋外用のランプなど、田中家のありとあらゆる照明がかき集められた。ここに組長持参の灯篭とヒョウタンランプが加わる。
しかし、まだ何かが足りない。
感門之盟初日の朝、45守の石井梨香師範と中洲マリリン教室の三苫麻里師範代は組長とともにカゴとハサミをもって耶馬渓の渓谷を流れる山国川の川岸へ向かった。お目当ては河岸にゆれるススキの群生と真っ赤な彼岸花である。
石井師範(右)と三苫師範代。中世の山城「一ツ戸城」をバックに
松岡校長直筆の『感門九天二〇二〇』を際立たせるように、ススキと彼岸花が床の間に飾られた。九天玄氣組が発足した2006年秋にも彼岸花は咲いていたけれど、20周年を祝う日をふたたび彼岸花が彩ることになった。
そのうちの一輪は三苫師範代の花簪(かんざし)になったことは、あまり知られていない。
中野由紀昌
編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。
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