道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。
”用法1は、たくさんの「別」である。”
「分別のある人」
「悲しい別離」
「格別な時間」
別には、いろんな「別」がある。[守]の学衆であれば、「分離」や「区分区別」を意味するこの文字から、用法1「わける/あつめる」を連想するかもしれない。事実、入門者に手渡される用法1の「講義篇」には、この「別」という文字が何度も登場している。例えばこんなふうに。
【情報の見方を切り替える(004番:地と図の運動会)】
●まずは「地」(ground)と「図」(figure)の区別がつかなくてはなりません
●〝通常〟とは別の世界や場面(=地)にその情報(=図)を置いてあげれば、たちどころに驚くべき意味や見え方の変化が生じるはずです
【分類軸をたてる・動かす(007番:ラベリング・トラベリング)】
●世の中の分類には、人間を性別や年齢といった属性で分けたり、(中略)『会社四季報』の産業別分類や病気の分類…(以下略)
【固い分類・柔らかい分類(008番:豆腐で役者を分ける)】
●「創発的」とは、物事が進行していくなかで、それがある臨界値を超え、これまでにないまったく別な様相が現れるさまを言います
意識的に「別」の地を設定すること、既存のカテゴリーに囚われない「別」の分類軸を設定すること。このような編集で、情報は更に多様に集めることができる。自分では到底思いつかないような他の学衆の回答に心が動かされるのも、その回答がもたらす「創発」に他ならない。
用法1は”たくさんの「別」の編集稽古”でもあったのだ。
教室、勧学会につづく、第三の広場
2021年5月20日、イシスの新たな編集システムが明かされた。教室を越えて期の全員が参加する「別院」である。開講から1ヶ月ほどがたち、用法1から用法2へ向かう頃の開院。この開け伏せ具合もイシスの編集のひとつだ。
別院に控えているのは、「[守]護神」と「景山“30点”」と対照的な名をもつ景山和浩番匠と、「料理の先生」から「石牟礼道子」まで、何にでも擬くことができる「”茶”レンジャー」の石井梨香番匠。
「番匠」は、学匠とともに全ての教室の動向を見ながら情報発信と全体のコミュニケーションを動かしていく。そのあり方も「かつて諸国から毎年京に上って建築の現場を統括していた職人たち」に語源をもつとされる「番匠」というロール名にふさわしい。
この「別院」には、4月26日に開講した定常コース18教室が登録された。5月24日開講する速修コース3教室がしばらく後に合流、47[守]の21教室182人の学衆が集うことになる。
教室、勧学会につづくこの第三の広場は、特別で別格な、松岡校長の著書『擬』の副題にもあるように「別様の可能性」に満ちた場にこれからなっていく。
上杉公志
編集的先達:パウル・ヒンデミット。前衛音楽の作編曲家で、感門のBGMも手がける。誠実が服をきたような人柄でMr.Honestyと呼ばれる。イシスを代表する細マッチョでトライアスロン出場を目指す。エディスト編集部メンバー。
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