空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

またの名をワジマール船長という。電束青猫教室師範代、輪島良子のことである。004番「地と図の運動会」で教室に突然あらわれたワジマール船長は、7人の学衆の回答を「電束青猫連結筏舟」として1つにし、まとめ指南を行った。
小さな筏に一人ずつ乗っているけど、列になって旅をしていたんだと気づき楽しんでいます(学衆Y.S)
電束青猫教室には、輪島が回答から掬い取ったワジマール・ワールドが、威勢の良い掛け声やオノマトペとともに弾むように広がる。それが伝播し、回答のテンポが軽やかで速い。毎日コメントを届ける学衆Y.Hを筆頭に、矢のように回答が飛んでくる。いわばラブレターが結んである“たくさんの矢文”が届くのである。顔をほころばせる輪島だが、時には思うように時間が取れないこともある。師範代は皆ポリロール。仕事もあれば家事もある。そんななか、鈴木康代学匠の檄が届いた。
「お題と指南が離れると指南を読んで気づいたことを次の回答にイキイキと反映させていくことが難しくなります」
48[守]が用法1から用法2へ差し掛かろうとしている時、学衆が指南を読まずに用法の境界を越えることがあってはいけない。強い決意と共に今を契機と捉えた輪島は、時間と事情を編集し、深夜から翌朝10時まで、10時間で11指南を休む間もなく届けた。
ワジマール船長は晴れ晴れとした表情で次の冒険へと舵を切る。学衆が編集稽古の日常を当たり前のものとし、守の奥に一歩進もうとする時、師範代も1つ「渡」を越えた。
森本康裕
編集的先達:宮本武蔵。エンジンがかかっているのか、いないのかわからない?趣味は部屋の整理で、こだわりは携帯メーカーを同じにすること?いや、見た目で侮るなかれ。瀬戸を超え続け、命がけの実利主義で休みなく編集道を走る。
うかうかしていると、足音はいつの間にか大きくなっている。かつては映画の中か夢物語かと思っていたAIが、日常にあるものとなった。 何度かの冬を経て春を迎えたAIに対し、人はどう受け止め、どう考えるのか。好奇心と探求心を […]
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コメント
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2025-09-09
空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。
2025-09-04
「どろろ」や「リボンの騎士」など、ジェンダーを越境するテーマを好んで描いてきた手塚治虫が、ド直球で挑んだのが「MW(ムウ)」という作品。妖艶な美青年が悪逆の限りを尽くすピカレスクロマン。このときの手塚先生は完全にどうかしていて、リミッターの外れたどす黒い展開に、こちらの頭もクラクラしてきます。
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百合の葉にぬらぬらした不審物がくっついていたら見過ごすべからず。
ヒトが繋げた植物のその先を、人知れずこっそり繋げ足している小さな命。その正体は、自らの排泄物を背負って育つユリクビナガハムシの幼虫です。