【49[破]アリスとテレス賞◆セイゴオ知文術】一冊を「知文し合う」絆

2022/11/08(火)23:20
img JUSTedit

 課題本として並ぶ十冊との「出会い」は偶然かもしれないが、指南と回答のラリーで一冊との「出逢い」を必然にしていく。
 いま49[破]は、この週末に締切を控えるセイゴオ知文術のアワード「アリスとテレス賞」に向かっている。今期から課題本が六冊入れ替わったセイゴオ知文術は、これまで学んだ[守]の方法と[破]の6つの文体編集術の集大成であり、松岡正剛が千夜千冊を書く方法だ。毎期このアワードが到来すると、指南のトーンが一際熱を帯びる。

 


「辛口指南かもしれませんが、セイゴオ知文術を思い切り楽しんでほしいと思っての指南です。(藍染発する教室 古谷師範代)」

 

「最初に勇気のいることは〔初稿を出す〕ことですが、次に勇気のいることは〔一度書いたものから自由になる〕ことかもしれません。(ちちろ夕然教室 福井師範代)

 

「Iさんが本を読んでワクワクときめいたこと、心のまんなかを撃ち抜かれたようなことをもっと現したいです。読者はそれを読みたい。」(まんなか有事教室 石黒師範代)

 

 踏み込んでくる師範代の言葉は、守のアワード「番選ボードレール」に慣れているはずの学衆たちも一瞬たじろぐほどだが、気圧されていてはいけない。いまが、師範代と学衆の双方にとっての転回点だからだ。

 


 私たちが生きているのは「それってあなたの感想でしょ」が流行る社会だ。学校や職場で自分の見方を語ることを奪われ、編集する実感がなかなか自覚できないでいる。その日々にあって、自分が本から見出したことを自分が誂えた言葉にしていくのは痛みが伴う。それを知りながら学衆に再回答を迫る師範代も本当は痛い。しかしその創(きず)が、次の編集状態を創っていく。一冊を「知文し合う」ことで、互いに自分も含めた未知と巡り逢うのだ。


画像:穂積 晴明、山内貴暉

 

アナロジーの百花繚乱をねがって。 49[破]セイゴオ知文術の課題本が変わる!

49破は「アリスとテレス賞」へと向かう〜hyo-syoちゃんねるvol.1

新しい世界の見え方をつくる~hyo-syoちゃんねる vol.2 ~

  • 野嶋真帆

    編集的先達:チャールズ・S・パース。浪花のノンビリストな雰囲気の奥に、鬼気迫る方法と構えをもつISISの「図解の女王」。離の右筆、師範として講座の突端を切り開いてきた。野嶋の手がゆらゆらし出すと、アナロジー編集回路が全開になった合図。

コメント

1~3件/3件

若林牧子

2025-07-02

 連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。

川邊透

2025-07-01

発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。