2026年冬、終活読書★四門堂の2周目堂人募集します!【多読アレゴリア】

2025/12/15(月)08:08 img
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浮かばれないもの、な〜んだ?

 

 終活読書って何するところ? なんて声をよく聞きますが、発起人の堂守一同、やってみるまでよくわからないところがありました。でも、1年間の道行きをともにしてくれた堂人(メンバー)のおかげで、やっと気づいています。【終活読書★四門堂】は、「浮かばれないものの声に耳を澄まし、心を添わせ、ときに砕き」ケアするところだということです。

 

 浮かばれないのは不遇な人間だけではありません。だれも見つけられなかった絶滅危惧種も、踏みつぶされたアゲハチョウのサナギも、ずっと机に積まれてる積ん読本も、それぞれに不憫で浮かばれません。そんなものたちが彷徨うのが「異界」だと昔の人は考えました。きっとそれは天国や地獄のような別世よりは近く、現世にポッカリ開いた穴として、ときどきスリップしてしまうところなのでしょう。

 

 

あれもこれも、読まずに死ねるか!

 

 松岡正剛の『百書繚乱』が、まるごと一冊「異界への入り口」であるように、現世のわたしたちは書物にアフォードされて彼方へ導き入れられることも多いです。【終活読書★四門堂】は、異界にあえてスリップする媒介として、当初シ(死・私・詩・思・視)を選びました。

 

 あれもこれも、どれそれも「読まずに死ねるか!」という思い、かけがえのない存在を喪失して持って行き場のない悲嘆は、私ごとでありながら普遍的な法則とつながっています。だからでしょう。死に思いを馳せながら本や詩や絵を読み、その感想を言語化し、語り合うことで、思いがけず私の残念が癒されていくのを感じます。

 

 たぶんそれは、死を考えることが「生命」を考えることにほかならないからではないでしょうか。

 

 

「たくさんのシ」をみんなで見つけに行こう

 

 2巡目を迎える四門堂は、思い切って「私」の間口を広げることに決めました。私が嘆いたり迎えたりする死は、すべての生命あるものにやってくる。なのに私自身は私の死を体験できず、アブダクションでしかとらえられません。とはいえ、それを拡張していけば人類や生物種、地球、太陽系、宇宙、さらには文明や芸術や戦後の死をそれぞれに考え、交わしあうことができそうなのです。

 

 案中模索で始めた四門堂の御堂(教室もどき)に、四季折々集まってきたキーワードは「魂」や「境界」に始まり、「自由」「循環」「巡礼」「双六」「曼荼羅」「往生」「夢」「記憶と忘却」「部分と全体」などなど。死のシソーラスは、喪失や脅威や悲劇に限らず、時と場に応じて友人、導師、解放、ライナスの毛布にもなってくれるゆたかな色合いです。

 

 今後の行く手を決めてくれるのは、いずれにせよ堂人のみなさんです。いつも背中合わせに生の動向をうかがっている死と、もっと仲良くなりたい方は、「思」を「志」の季節に持ちかえた2026年冬【終活読書★四門堂】の扉を叩いてみてください。

 

 

終活読書★四門堂2026冬

【開講期間】2026年1月5日(月)~3月29日(日) ★12週間

【お申し込み】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2026winter
【申込締切】2025年12月22日(月)

【受講資格】どなたでも

【受講費】月額11,000円(税込) ※ クレジット払いのみ

【定員】40名

  • 大音美弥子

    編集的先達:パティ・スミス 「千夜千冊エディション」の校正から書店での棚づくり、読書会やワークショップまで、本シリーズの川上から川下までを一挙にになう千夜千冊エディション研究家。かつては伝説の書店「松丸本舗」の名物ブックショップエディター。読書の匠として松岡正剛から「冊匠」と呼ばれ、イシス編集学校の読書講座「多読ジム」を牽引する。遊刊エディストでは、ほぼ日刊のブックガイド「読めば、MIYAKO」、お悩み事に本で答える「千悩千冊」など連載中。