金木犀が香り、学林局が殺気立つ。この季節がやってきた。「知ったら知らせる」がイシスのモットーなのに、なぜ学衆たちは秘密主義なのか。豪徳寺は憂いている。
学林局林頭 吉村堅樹は、編集学校での愉悦を胸にしまう内気なイシス学衆に「4つのウチ」を手渡した。これさえあれば共読区は広がり、仲間がダンゼン増えていく。
あなたが共犯者にしたいあの人には、お値うち・耳うち・身うち・角うちのどれが効果的だろうか。「イシスのススメ」を携えて、10月18日に迫った48[守]の万端な門出を応援しよう。
イシスのススメ vol.1 4つの「うち」
学林局林頭 吉村堅樹
編集稽古をして、師範代から指南を受けて、無事卒門を果たした老若男女は、口を揃えて、いやあイシスは楽しかったという。うっかりその先の破や花伝所に進まなかった者などは、なんだかお題がこないと寂しいとか、ぽっかり穴があいてしまったようで、などと稽古にひいひい言っていたことが嘘のように遠い目で懐かしむように語る。つまりは総じてヘンシュー楽し、イシス恋しなのだ。
そうなのであるが、不思議なことにイシス編集学校は毎期、守の入門者の定員200名を集めることに汲々としている。開講間近の学林局などはもう殺気立っている。なぜであろうか。それはなんたることか、イシスを楽しんだ者たちの秘密主義なのである。
仕事とは違う自分だけの世界をもっていたいという狭い了見の者はまず悔い改めていただきたい。編集は相互編集が肝である。実際のところは、イシスのことを説明するのが難しくてとか、興味をもちそうな人がまわりにいなくてとか、友だちがみんな忙しそうとか、お金なさそうとか、いやいやそもそも友だちがいないとか(だからイシスに来てる?)という人が大半だろう。
そういった諸兄諸姉におすすめしたいのが、イシス推奨の「まねる」である。ごぞんじのように「まねる」とは「まねぶ」、つまり「まなぶ」とは「まねる」ことからはじまるのである。守の稽古風にいえば、「レシピをまねる」。とはいえ、ひとにはそれぞれタイプというものがある。そこで4つのタイプにわけて、その方法をインフォームしてみよう。
一つ目は「お値うち」タイプ。お値段以上イシスなのは当然なのだが、早割、U23割などを紹介の口実に使う。これは有効だ。イシス通信のメルマガ情報には目を光らせておこう。なかにはいつも学校案内を鞄に入れて持ち歩いているという生保レディー顔負けの強者もいる。意外に仕事話を膨らませるツールにも使えるそうだ。
二つ目は「耳うち」タイプ。あのね、あなただからいうんだけどね、実はね……。これと狙いを定めたひとに声をかけるハンターである。この選ばれた感は効く。特に向いているのが、普段は声が小さいウィスパーボイスの君だ。あの無口で小声の彼女がわざわざ勧めてくれているんだから、これはよっぽどなのではないか。そのとおり、よっぽどなのです。
三つ目は「身うち」タイプ。最後は親、子ども、兄弟、従姉妹。血縁にすがるのなんてと思うかもしれないが、侮ってはいけない。家族で同じ話題・体験を共有できるため、家庭円満間違いない。食卓の会話も弾むというものだ。ただし、先に稽古をはじめたものは家族といえども優しく声をかけ、導いてあげることを忘れてはいけない。親しき仲にも指南ありなのだ。ちなみにイシス内で将来の家族を見つけるという掟破りの「逆身うちタイプ」もいる。
最後は「角うち」タイプだ。コロナ禍でそこらで一杯とはなかなか難しいご時世だが、編集術の腕に覚えのあるものは試されたい。飲み屋でたまたま同席したり、カウンター越しのマスターと会話が弾んだとする。ふだんどんなことをされているんです?など向こうが聞いてきたらしめたものだ。「いや、編集学校というのをやってましてね。」「え?なんです、それ?」「編集稽古というのがあるんですが、ちょっとやってみましょうか」。
ここまでくればもうあなたは酒場のエディットマジシャンだ。「このコップ、ほかに何がつかえます?」。まわりの客もまじって即席ワークショップのできあがりである。「つぎ、じゃあこのBARにないもの、なんでしょ」。こういった具合にどこだって編集術の錬磨とイシスのススメは重ねることができるのである。
校長は忙しければ仕事を5倍にしなさいというのだが、これは重ねれば重ねるほど旨味があるということだ。以上、4つの「うち」で内弁慶を打ち払い、イシス共読区のうちへオススメいただきたい。
第75回感門之盟「Inform共読区」
EditorShip第11面
2021年3月13日発行
▼48[守]申込〆切迫る
申込みはこちらから
https://es.isis.ne.jp/course/syu
▼無料の学校説明会はこちらから
・2021年10月6日(水) 19:00 – 20:30 →申込み
・2021年10月9日(土) 14:00 – 15:30 →申込み
https://es.isis.ne.jp/admission/briefing
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
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