七月下旬、九天玄氣組組長の中野由紀昌から「九州を三十三冊で表出せよ!」というお題が組員たちに出された。第84回感門之盟「25周年 番期同門祭」では、ISISを多様にリプリゼントするコーナーが会場各所に設置される。九州支所である九天玄氣組(以下九天)もブースを出すこととなった。組長の出題は、その企画の下拵えのためだった。
さあ、そこからが編集のスタートだ。準備期間は二カ月を切っている。ラウンジでは昼夜を問わずメールが飛び交い、オンラインでの練磨が続く。途中、校長の訃報が伝えられ、みなが呆然となった。だが、校長がこの番期同門祭をどれほど心待ちにしていたのかを思えば、呆然のなかにいつまでも座り込みつづけることはできない。組員それぞれが、それぞれで立ちあがり再び編集の手を動かしだす。格闘することおよそひと月。「外来」「出遊」「土発」のキーコンセプトのもと、各三十三冊、計九十九冊の「九州本の島」はやっとその姿を見せはじめた。
そもそも、なぜ三十三冊なのか。それはここ数年、「本は三十三冊で読もう」というキャッチフレーズで九天が活動してきたからだ。発端は千夜千冊1249夜『大乗とは何か』に書かれている。このなかで「君たちもいろいろ企画するといいよ。《三冊屋》だけじゃなくて《三十三冊屋》とかね」と校長に言われた別番がいる。古参の九天組員Nである。その別番Nが旗振り役となり、九天「三十三冊屋」が始まったのだ。ある人物やテーマを、三十三冊の本で表せるのではないかという方法的仮説に基づいた試みだ。「三十三冊屋」は、そのマジックナンバー33の由来である三十三観音のように、時と場に応じて自在に変化(へんげ)する本棚なのだ。
番期同門祭では、精選の九十九冊で織りなす「本の島」がブースに出現する。それは九州の「本来」と「将来」の動向を引き寄せるとともに、組員それぞれの「切実」と「恋闕」を色濃く反映したものとなった。九天ブースではこのほか九州における松岡校長の秘蔵映像の放映や、2023年と2024年の年賀作品の実物展示もある。いずれも九州にゆかりが無い方でも見応えある内容だ。また、ブースでアンケートに回答された方には特典冊子「九天玄氣の郷読力」を先着100名様にお渡しする。
展示以外では、字像舎の書籍『「筑後川」の本棚』の販売が行われるほか、ZIZOBOOKSでは番期同門祭を記念して、九天玄氣組マガジン『龍』デジタルブック版も販売される(期間限定9/14〜9/23まで)。
25周年を寿ぐのにふさわしい、賑やかで遊びあふれるしつらえを考案中なので、皆さまぜひ当日は九天ブースにお立ち寄りあれ。
文:みとま麻里
写真提供:松岡正剛事務所/中野由紀昌
みとま麻里
編集的先達:藤原定家
めんたいエディトン、中洲マリリン。二つの福岡ゆかりの教室名。イシスの九州支所・九天玄氣組の突撃女隊長。その陽気さの裏には知と方法と九州への飽くなき探究心をもつ。着付師をしていたという経歴の持ち主。
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