こんにちわ!多読アレゴリア:2025春から始まる着物コンパ倶楽部の森山です。
先日の告知第一弾「New! 2025春に始まります~(vol.1)」では、着物の方法に分け入って、分け入ることも楽しむ倶楽部だとお伝えしました。また「着物を日常のワードローブに取り戻す」を掲げ、さらにはお気楽極楽でお手軽なのに毎回新鮮な活動スタイルともお伝えしました。
そこで、vol.2の今回は「じゃあ具体的にどんなことをするのか」をお話したいと思います。
■分け入りたい
みなさん、こちらをご覧ください。
これは『ぼおるぺん古事記』(こうの史代:平凡社)に掲載されている筆者が書写した古事記の原文です。句読点もフリガナもなく漢字がただただ連なっています。じっと見ていると不思議なことに「なにかがここに書かれているんだ」という未知へのあこがれのようなものが湧き上がってきます。
さらに眼を凝らすと日本語っぽいことはかろうじてわかるのですが、でもみえるようなみえないような、漠然としていて、それが切ない。日本の、それも最古の書物なのに、日本人の私にはもうわからないなんて。。
着物が身近でなくなって半世紀以上が経って、おそらく今の人にとっての「着物」はこれに近い感覚かもしれない。かつての私もそうでした。
■分かりたい
そして、これが岩波文庫の『古事記』にある原文です。さきほどの『ぼおるぺん古事記』とだいたい同じ部分です。
だれかが「区切り」のところで空白や句読点を付けてくれています。また漢文のように読む順番も付けてくれています。
このように本居宣長のあと綿々と「区切り」や「分け」をしてくれてきた先人達がいるおかげで、私たちは古事記を読むことができるのですが、これでもやっぱり句読点付きの原文だけを読むのは難しい。言葉が示している事や物のことを知らなすぎるのです。
同様に、着物にまつわる言葉たちがもうわからないのです。見たことも触ったことも聞いたこともないモノを示す言葉たち。衣紋、襦袢、半襟、身頃、袷と単などなど。
■コンパはコンパイル(Compile)
着物コンパ倶楽部の「コンパ」というのは「コンパイル」という言葉を縮めた言葉です。「コンパイル:compile」の語源はラテン語の「かき集める」という意味で、辞書を引くと、
(1) あとで編集するために、資料などを集める
(2) 人が記述したプログラムを、機械語(コンピューターが実行できる命令語)に翻訳する
とあります。
つまり、
翻訳する=資料を集める
なのですが、これがなかなかピンとこないですよね。
翻訳する、つまり現代語に置き換えるためには言葉に潜んでいる背景を語る資料を集めてくることが必要だということなのです。
プログラムのコードで「sum = 合計しろ」とだけ言われてもコンピュータはどうしていいのか分からないのです。ちゃんと言い換えて「ここからここまで足し算を繰り返せ」、いいえもっとbitレベルまで噛み砕いたところまで伝えないと命令を聞いてくれません。だから「sum」という命令の具体的で詳細な内容と手順を集めてセットにする必要があるのです。
また、背景というのは源氏物語などの古文に付いている注釈のようなものですね。これがあって初めて、想像や推論も交えながら自分事として自分の言葉で語られるようになると着物コンパ倶楽部では考えています。
■追体験で自分のものに
そこで着物コンパ倶楽部は徹底的いい塩梅に「注釈」をお届けします。
ですので、倶楽部会員は「主体的受け身」でいてくだされば充分です。ただ一つ古語辞典を一冊ご用意ください。もちろんネット上の物でも大丈夫ですが、五感を感じていただきたいのでできれば中高生の時につかっていたものがお手元にあれば、それを。
あとは11週間の「配信テキスト」を読んだとき、何かを感じたり思考したり連想したりする時に同伴してくれる「自分だけの記憶」を大切にしていただくだけでOK。古の日本人の着物に対する気持ちのようなものを、言葉とともに追体験することで着物を自分の範疇に入れていただけることと思います。
そうすることで、現在の着物ルールとしての「格式」と「染織の序列」の関係の暗記ではなく(こちらに頼りすぎると着物を頭で着ることになってしまいがちです)、自分の記憶と思考に紐づいた血肉のような「知」となっていくことを目指しています。
■お稽古しないクラブ活動
お稽古しないでどこまで古の日本人の着物を追体験できるのか。
そのことを追求した次のような新しくて珍しい手順を着物コンパ倶楽部では使います。
1. 先入観を解放するシンプルな方法 (ことばのコンパイル)
2. 歴史的なコンテキストに身を置く (書籍からの短い引用文)
3. シナプスの温床を育てる (千夜千冊のことば検索)
4. 週末に届く解説文 (800字)
5. 思考に同伴してくれる記憶との出会い (記憶の掘り起こしと取り出し)
毎週の活動
月曜日 さしだし (experience)
水曜日 さしいれ (read)
金曜日 まきちらし(read)
土曜日 どうはん (recollection)
【さしだし】
2つのことばを古語辞典で調べる《1》
【さしいれ】
書籍からの引用文と、千夜千冊検索ことばの受け取り《2と3》
【まきちらし】
800字の「まとめ」と「ほどき」の解説文の受け取り《4》
【どうはん】
自分の思考に同伴してくれた記憶の取り出し《5》
倶楽部会員が自ら「する」のは《1》と《5》のみ。
特に《1》の時に古語辞典を使って「さしだされた言葉」を調べるだけ、あとは主体的受け身でお臨みください。
2つの言葉が種になって、《2》《3》が「さしいれ」られ、《4》によって輪郭ができてまたゆるんで、《5》が発動するという仕掛けです。
次のことはできたらでOKですが
《1》では、古語辞典の他に国語辞典、常用字解(白川静)があるとさらにコンパイルが楽しいと思います。
《5》のラウンジにアップは任意ですが、アウトプットすることで「自分ごとにする度合い」が深まりますので、お時間があるとき、気が向いた時に是非どうぞ。
■「さしいれ」と「さしだし」で、イメージが広がる様子
■どこにもない着物ワールド体験
着物コンパ倶楽部は、このようなやりかたで「着物」の部品と構造、歴史とモードなどを、11週間で「自分ごと化」してしまおうというクラブです。そのために、着物の楽しみや着物の奥へ自ら進むことができる最初の「種」となるコンテンツを、日本の古今から選りすぐってご用意しています。
そしてどれもが2025春の限定です。
どうぞお楽しみに!そしてお見逃しなきよう!
本日のご案内はここまでです。
次回(Vol.3)は「部外活動」と「春夏秋冬はどんなことするの」についてお伝えする予定です。
お申込みは2月24日まで。
これは面白そう!これなら楽にできそう!と思った方、よかったらご一緒しましょう。
他のクラブとの「掛け持ち」ならさらに両者が響きあうこと請け合いです。
春夏秋冬、着物コンパで楽しみましょう!
多読アレゴリア2025春「着物コンパ倶楽部」
【定員】20名
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025haru
【開講期間】2025年3月3日(月)〜2025年5月25日(日)
【申込締切】2025年2月24日(月)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025春申し込みの場合
購入時に2025年3月分を決済
2025年3月26日に2025年4月分、以後継続
・2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
・1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【お問合せ】allegoria@eel.co.jpまでご連絡ください
(文:森山智子)
(アイキャッチ画像:森山智子×山内貴暉)
森山智子
編集的先達:和泉式部。SE時代にシステムと着物は似ていることに気づき開眼。迷彩柄の帯にブーツを合わせる、洋服生地を帯に仕立てる等、大胆な着こなしをはんなり決める。イシスにも森山ファンは数多い。
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