『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
「来年こそはマンガ家に戻ります!」と言ったのは、2016年の本の帯(『江口寿史KING OF POP SideB』)。そろそろ「来年」が来てもいいだろう。

講座が冒険になった。
イシス編集学校の物語講座で開講以来はじめてのお題改編が行われ、お題の一つ「トリガー・ショット」が「トリガークエスト」に大きく変わる。
クエストとは、探索や冒険の旅といった意味を持つが、ここではゲーム用語の意味が用いられる。ゲームにおけるクリアすべき課題という意味だ。物語講座を立ち上げたゲームクリエイターの赤羽卓美綴師の姿が見え隠れする。
「トリガークエスト」では、物語を書いている叢衆(学衆)に師範からクエストが出題される。叢衆の創作の進行や内容に応じて出されるクエストは、叢衆が「その時」に必要なクエストだ。文叢(教室)の他の叢衆とは異なるクエストが出題される。
これはイシス編集学校ではじめてのことだ。同じお題に取り組みながら共読し学びを深める編集学校の仕組みの中で、物語を書くまでの稽古過程が異なる初の試み。しかも出題されるお題がどれなのかを、指南する師範代も知らないなんて!
新たなシステムとなるお題改編のチャレンジに取り組んだのは、物語講座の顔である赤羽綴師、講座への情熱あふれる小濱有紀子創師。そして、お題工学エースとして名高い米川青馬師範、語り巫女の後田彩乃師範代、物語王子こと宮前鉄也師範代。約1年にわたるお題改編の道のりでは、さらに多くのメンバーが果敢に取り組んできたが、最後の仕上げを引き受けたのはこの5人だった。
先日行われた第77回感門之盟で配られた新聞『Editor Ship』の紙面で、改編5人衆が物語講座の魅力をクロスレビューしている。改編猛者が感じている講座のチャームをぜひご一読いただきたい。
いかがだろうか。書きたいものがあるから書くのではなく、偶然やってきたものからも物語を書く講座へ生まれ変わった物語講座。[守][破]の講座で学んだ方法論を実践する集大成の講座だ。方法のアイテムを手に、お題に立ち向かってほしい。
そう。講座の真の勇者は、受講するあなたなのだ。
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[遊]技法研鑽コース 「物語講座」第14綴
https://es.isis.ne.jp/course/yu#story
■期間 :2021年10月11日(月)~2022年2月6日(日)
ライブ稽古「蒐譚場」12月4日(土)
■資格 :突破以上
■プログラム:窯変三譚/トリガークエスト/編伝1910
■お申込み :https://shop.eel.co.jp/products/detail/305
※再受講割引あり。
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衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
玄月音夜會 第五夜|井上鑑 ― 本楼初のグランドピアノ。言葉の余白に音が降る
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幼な心とワインのマリアージュ ― 酒上夕書斎 第四夕|8月26日(火)16:30~ YouTube LIVE
本を開くたび、知らない景色がひらけていきます。 ときに旅のように遠く、ときに親しい声に導かれるように――。 読書はいつも、新しい道へと私たちを誘います。 「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」では、石川淳をひもとき、 […]
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コメント
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2025-10-15
『キャラ者』は、”マンガ家”だった頃の江口寿史の、(まとまった作品としては)ほぼ最後の仕事。恐るべきクオリティの高さで、この才能が封印されてしまったのはもったいない。
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2025-10-14
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2025-10-07
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