棚下照生。この忘れられたマンガ家が、最近、X(ツイッター)で話題になっていた(なぜかは知らないが)。大人漫画のタッチで劇画を描くという、今となっては完全に絶滅した手法が、逆に新鮮に映るのかもしれない。代表作『めくらのお市物語』は、連載当時、大変な人気で、映画やテレビドラマにもなったのだが、現在では、タイトルに問題アリで、復刊の目途もない。もしも古本屋で見かけることがあったら絶対買いです。
本楼にグランドピアノが入る――史上初の“事件”が起こる。
井上鑑が松岡正剛に捧ぐ、音と言葉のレクイエム。
「玄月音夜會」第五夜は、“言葉の船”が静かに音へと漕ぎ出す夜になる。
すでにお伝えしていた「玄月音夜會」に、ひとつの“事件”が飛び込んできた。
その夜、本楼にグランドピアノが入る。
これは本楼史上、はじめてのこと。
長く、言葉と書物と対話の響きに満ちていた本楼が、この夜、音楽という“もうひとつの言葉”を迎え入れる。
静かな木の床に、漆黒の船が滑り込み、音が記憶を呼び覚ます。
誰も見たことのない本楼に出会う、一夜のはじまりである。
この第五夜には、特別な題が与えられた。
「言葉の船に導かれて」。
ゲストである井上鑑さんが想いを込めて名付けたタイトル。
そして第五夜への想いも語ってくれた。
CM 音楽製作という時代の波乗り選手権のなかで、 幸運にも出会うことが出来た僕にとってのメンター、松岡さんに捧げる一夜。
以前から朧気に 「松岡さんの居るところでやってみたい」と思っていたことを、遅まきながら試みます。例えば、本楼に電子では無い生ピアノの音を響かせてみたい、かつてソロコンサートのためのブレストでやり取りした Imageを音楽化してみたい、藤本晴美さんと松岡さんへのDouble Requiemを創りたい、などなど。
井上鑑――
松岡正剛が高く評価していた、音の編集者。
作曲家、編曲家、キーボード奏者、そして歌手でもある。
「ルビーの指輪」の編曲者として知られ、福山雅治の音楽を長く支え、年末の紅白歌合戦では、キーボードの向こう側にその姿が映る。
松岡が手掛けたNTTやミツカンのCM。その世界観を表現したあの独特の透明な旋律も、松岡と井上、ふたりの呼吸から生まれたものだった。
長くスタジオという“見えない海”で音を操ってきた井上さん。
そこからソロピアノという“航海”へと舵を切るきっかけをくれたのが、ほかでもない松岡正剛であった。
松岡との出会いにより、ヤマハホールでのソロコンサートを皮切りに井上鑑は自らの音を探す旅に出た。
「いつか本楼にグランドピアノを置いてコンサートをやりたいね」
折々で交わしていた二人の夢。
そして今、その旅の延長線上に、本楼での約束が果たされる。
グランドピアノが入り、言葉が音になり、音が祈りとなる。
“編集の館”が、ひと夜だけ“音楽の海”へと姿を変える。
日時:10月22日(水) 19:30開演(18:30開場)
ゲスト:井上鑑さん(作曲家・キーボード奏者)
場所:イシス館本楼(編集工学研究所1F)
世田谷区赤堤2-15-3 小田急線「豪徳寺駅」徒歩6分
参加料金
本楼ライブ参加 16,000円(税別/飲食代込み)※各回30名限定
配信視聴参加 4,000円(税別)
*本楼参加・配信視聴のいずれも、期間限定でアーカイブ配信をご覧いただけます。
*毎回、まほろ堂蒼月(世田谷区宮坂)の和菓子と、白百合醸造(山梨・勝沼)のワイン&軽食をご用意しています。
お申し込み
本楼、音に染まる夜。
井上鑑のピアノが、松岡正剛の言葉を照らす。
“言葉の船”が導くのは、音と祈りが交わる、たったひとつの場所。
ぜひご堪能ください。
井上 鑑 Inoue Akira /キーボード奏者・アレンジャー・プロデューサー

桐朋学園大学作曲科において三善晃氏に師事。大森昭男氏との出会いによりCM音楽作曲、スタジオワークを始め、寺尾聰「ルビーの指環」ほか、大滝詠一、福山雅治などとのコラボレーションにより膨大な数のヒット曲、話題作を生み出す。1981年シングル「Gravitations」、アルバム「予言者の夢」でソロデビュー。先鋭的サウンドとメッセージ性に満ちた言葉を駆使し通算20枚のソロアルバムを発表。2011年、書籍『僕の音、僕の庭』刊行。80年代後半、松岡正剛が監修したNTTのCM制作で井上氏が作曲を担当。以来、さまざまな仕事をともにしてきた。2013年より「連歌・鳥の歌」プロジェクトを主宰、松岡もカタルーニャ民謡「鳥の歌」にオリジナルの日本語歌詞をつくり参画。
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
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