外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
端午の節句を目前に、輪読座に桃の香りが立ち上る。
輪読座がとうとう幸田露伴を取り上げる。
前期の輪読座「三浦梅園『玄語』を読む」を開催中に、輪読師バジラ高橋が次はこれしかない!と選んだ人物だ。
幸田露伴は、松岡正剛校長に「露伴を読まなくて何が日本文学だ」と言わしめた日本文学史に名を残す文豪である。岩波書店の創設者小林勇を魅了したことも千夜千冊に取り上げられている。
明治の文豪でも随一の知識をもつ露伴だが、やや漢文交じりの文体のためか読書力がある人にも挫折されてしまう作家でもある。そこで輪読座では、幸田露伴の数ある文章から、バジラ高橋が厳選して輪読しようというわけだ。
露伴の深さ、絶妙さを支えるものに道教がある。
露伴は道教の根本に広がる万物照応の視点で言語と文章に向かった。物事を外から見るのではなく、めくるめく対応世界の中に入り言語化し、文章にしているのだ。
道教が生まれた中国は石室の文化を持つ。露伴は、石室の中の言語に入りこみ、桃とナツメの目で言葉を紡いだ。
もちろん露伴は中国世界を見ていただけではない。淡島寒月から手渡された「日本人とは何か」という問いも抱えながら、西欧化による大国を目指す大日本帝国の文学、学術に対し、一貫して「編集としての日本」を考えていたのだ。
グローバル化がさらに幅をきかせている時代に、私たちは「日本人とは何か」をあらためて問う時期に来ているだろう。
言語といった峨峨たるものの中に、桃とナツメの時間を織り込んで書き続けた露伴。
失われし日本を見つめる視点でも、余人をもって代えがたい露伴。
今まで日本文学史でも捉えていない新たな露伴を、輪読師バジラ高橋と読み解いていく輪読座「幸田露伴を読む」は開講直前だ。
予習や予備知識は一切不要。桃と日本茶を手に、幸田露伴を輪読座で味わい尽くしていただきたい。
====================================
日本哲学シリーズ 輪読座「幸田露伴を読む」
日時:全日程 13:00〜18:00
2023年4月30日(日)
2023年5月28日(日)
2023年6月25日(日)
2023年7月30日(日)
2023年8月27日(日)
2023年9月24日(日)
受講資格:どなたでもお申込いただけます(イシス編集学校講座未受講の方もご参加可能です)
参加方法:オンライン(Zoom)
※記録映像を期間中いつでもご視聴いただけます。
価格:サテライト講座:6回分 33,000円(税込)
詳細・申込:こちらをご覧ください(イシス編集学校のウェブサイトへリンクします)
====================================
衣笠純子
編集的先達:モーリス・ラヴェル。劇団四季元団員で何を歌ってもミュージカルになる特技の持ち主。折れない編集メンタルと無尽蔵の編集体力、編集工学への使命感の三位一体を備える。オリエンタルな魅力で、なぜかイタリア人に愛される、らしい。
12月23日16:30|酒上夕書斎 書斎のグラス越しにひらく民主主義
グラスをくるりと回し、一口、味わってから、本をひらく。 「酒上夕書斎」年内最後のYouTube LIVEは、関良基氏、橋本真吾氏との最新共著『江戸から見直す民主主義』。 民主主義という言葉が、 […]
冬の声、記憶の歌がひらく夜 ――『玄月音夜會』第六夜・小室等×六文銭
松岡正剛が遺した詞と旋律は、いまもどこかで静かに呼吸し、ふとした風のように聴く者の内側に触れてゆく。 その息遣いを受けとめ深い情感として立ち上げてきたのが、小室等さんである。 小室さんの歌には、いつも「何を感じているか」 […]
「別典祭」開幕へ──本楼に灯る提灯、イシスの祭り支度が進行中
イシスの新しいお祭「別典祭」にむけ、ゴートクジISIS館では着々と準備が進んでいる。 まずはステージプログラムが行われる本楼。 編集工学研究所の場づくりを一手に担う黒膜衆が設営をはじめている。 「祭りといえ […]
「典を祭り、問答をひらく夕べ」酒上夕書斎×別典祭スペシャル ―『日本・江戸・昭和』三問答を語り尽くす―
十一月の夕刻、「典(ふみ)」をめぐる風が、編集工学研究所・本楼にひらりと立ちのぼります。 イシス編集学校の新しいお祭――「別典祭」。 多読アレゴリア一周年、そして松岡正剛校長の一周忌に心を寄せ、「典」すなわち“本”そのも […]
田中優子を揺さぶった一冊――石牟礼道子『苦海浄土』を読む夕べ|酒上夕書斎 第五夕[10/28(火)16:30〜 YouTube LIVE]
2か月ぶりに帰ってくる「酒上夕書斎」。 海外出張を経て、田中優子学長の語りの熱も、さらに深まっている。 第五夕で取り上げるのは、石牟礼道子の名作『苦海浄土』。 工場廃水の水銀が引き起こした水俣病――文明の病 […]
コメント
1~3件/3件
2025-12-25
外国語から日本語への「翻訳」もあれば、小説からマンガへの「翻案」もある。翻案とはこうやるのだ!というお手本のような作品が川勝徳重『瘦我慢の説』。
藤枝静男のマイナー小説を見事にマンガ化。オードリー・ヘプバーンみたいなヒロインがいい。
2025-12-23
3Dアートで二重になった翅を描き出しているオオトモエは、どんな他者に、何を伝えようとしているのだろう。ロジカルに考えてもちっともわからないので、イシスなみなさま、柔らか発想で謎を解きほぐしてください。
2025-12-16
巣の入口に集結して、何やら相談中のニホンミツバチたち。言葉はなくても、ダンスや触れ合いやそれに基づく現場探索の積み重ねによって、短時間で最良の意思決定に辿り着く。人間はどこで間違ってしまったのだろう。