特技はモミモミ コミュニケーションの極意を学ぶ 36[花]放伝式【78感門】

2022/03/22(火)16:50
img LISTedit

花伝所は「師範代養成講座」ではない。それ以上の意味をもつ。日本の方法に根ざしたコーチを育てること。これが花伝所の役割なのだ。

第78回感門之盟 放伝式でも、コミュニケーションの極意を伝えつづけた師範の言葉が花びらのように舞う。3月21日、東京は桜の開花宣言翌日のことだった。

このコーナーにおいて、初の花目付を担った者には「玄々書」が、錬成師範には「花伝扇」が校長松岡正剛から贈られた。

 

◆林朝恵 花目付

「この人はモミモミするのがうまいんだよ」 松岡が意味ありげに色っぽく寿いだのは、師範をくすぐり、撫でて、引っかき、内心をポロリさせつづけた林のうつわの大きさだった。

 

 

 

 

◆武田英裕 花伝錬成師範

テクニカルを担当する「黒膜衆」として、この日も出番直前までインカムをつけていた武田。花伝での学びは「ビジネスパーソンのコーチングにこそ必須」と熱弁を奮った。

 

 

◆牛山恵子 花伝錬成師範

初めての師範ロール、ずっと脳裏にあったのはマダム池澤の面影だった。牛山は池澤から譲り受けた、大輪の花咲くブラウスを誇らしげに纏って。

 

 

◆尾島可奈子 花伝錬成師範

「誰かに何かを伝えようと思ったとき、人は変わる」 前日のINTERSCORE TALKのコーナーで真っ赤なワンピースと、たしかな語りで魅せた尾島。このまっすぐな言葉に、松岡も深く頷いた。

 

 

 

◆阿久津健 花伝錬成師範

道場に花伝師範1名と錬成師範2名が伴走するチーム制となったことを受け、阿久津は「場のなかで、自分がなすべきことはなにか」と考え続けた日々だったという。「師範の自由度は怖い。でも面白い」 師範の心のうごきも零れでた。

 

 

◆ ◆ ◆

花伝所において、花目付や師範を2期以上務めた者には、「花伝選書」が贈られる。贈呈を受けたのは以下の9名。

 

◆花目付  深谷もと佳

 花伝師範 岩野範昭(くれない道場)

 花伝師範 吉井優子(やまぶき道場)

 花伝師範 岡本悟(むらさき道場)

 花伝師範 中村麻人(わかくさ道場)

 錬成師範 美濃越香織、錬成師範 梅澤奈央、錬成師範 蒔田俊介、錬成師範 神尾美由紀

 

 

 

▲「迫力ある面々だねえ」 松岡は相好を崩した。

 

▲今回師範へのギフトに選ばれたのは、「千夜一尾」として1001夜に選ばれたブライアン・グリーンの最新作。肺がん手術をはさんで、「宇宙のさざなみの向こう」を加えようと思った松岡の思いが込められている。

 

 

 

▲Zoomからは、岩野・神尾・美濃越が授与を受けた。「壊したい」との思いから、ハックルベリー・フィンの「無印不良品」を入伝生に配ってまわった神尾は、黒革のジャケットと赤いアイラインで不良少女風に。

 

▲「麻人は、めざましいね。あ、前回も言ったか」 師範にとっては緊張のひと幕である校長インタビューだが、百戦錬磨の手練にモミモミされれば思わず笑いもあふれでる。華やぎとともに36花をリコール・リマインドする時間となった。

 

 

◆36[花]師範選書

 

『時間の終わりまで』

ブライアン・グリーン(著), 青木薫 (翻訳), 講談社

 

記事準備:後藤由加里

写真:上杉公志

文:梅澤奈央

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。

  • ISIS co-mission (イシス編集学校アドバイザリー・ボード)

    イシス・コミッション DO-SAY 2025年6月

    イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]

  • 田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)

      学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語 […]

  • 【多読アレゴリアTV】一倉広美の「イチクラ!」着物をアートでコーデする

    芽吹きの春から滴りの夏へ。いよいよ熱を帯びてきた多読アレゴリアの旬をお届けします。松岡正剛より「支度天」の名を受けたダンドリ仕掛け人・武田英裕キャスターと共に、守師範の一倉広美がアシスタントをつとめる『多読アレゴリアTV […]

  • 【タドクラ通信(25春)】「私の本棚」、続々誕生中!

    この春オープンした「多読ジムClassic(25春)」も、数日のアディショナルタイムを経て、5月28日に今シーズンを無事に終了しました。3つのトレーニングお題を一挙出題! という初の試みのなか、好きなお題から、自由に行っ […]

  • 水無月

    イシスDO-SAY 2025年6月

    イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。   6月のDo-Sayをお届けします。今月はイベントを多数予定していますよ!そして、イシス編集学校初のクラブ活動 […]

コメント

1~3件/3件

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。

堀江純一

2025-06-20

石川淳といえば、同姓同名のマンガ家に、いしかわじゅん、という人がいますが、彼にはちょっとした笑い話があります。
ある時、いしかわ氏の口座に心当たりのない振り込みがあった。しばらくして出版社から連絡が…。
「文学者の石川淳先生の原稿料を、間違えて、いしかわ先生のところに振り込んでしまいました!!」
振り込み返してくれと言われてその通りにしたそうですが、「間違えた先がオレだったからよかったけど、反対だったらどうしてたんだろうね」と笑い話にされてました。(マンガ家いしかわじゅんについては「マンガのスコア」吾妻ひでお回、安彦良和回などをご参照のこと)

ところで石川淳と聞くと、本格的な大文豪といった感じで、なんとなく近寄りがたい気がしませんか。しかし意外に洒脱な文体はリーダビリティが高く、物語の運びもエンタメ心にあふれています。「山桜」は幕切れも鮮やかな幻想譚。「鷹」は愛煙家必読のマジックリアリズム。「前身」は石川淳に意外なギャグセンスがあることを知らしめる抱腹絶倒の爆笑譚。是非ご一読を。

川邊透

2025-06-17

私たちを取り巻く世界、私たちが感じる世界を相対化し、ふんわふわな気持ちにさせてくれるエピソード、楽しく拝聴しました。

虫に因むお話がたくさん出てきましたね。
イモムシが蛹~蝶に変態する瀬戸際の心象とはどういうものなのか、確かに、気になってしようがありません。
チョウや蚊のように、指先で味を感じられるようになったとしたら、私たちのグルメ生活はいったいどんな衣替えをするのでしょう。

虫たちの「カラダセンサー」のあれこれが少しでも気になった方には、ロンドン大学教授(感覚・行動生態学)ラース・チットカ著『ハチは心をもっている』がオススメです。
(カモノハシが圧力場、電場のようなものを感じているというお話がありましたが、)身近なハチたちが、あのコンパクトな体の中に隠し持っている、電場、地場、偏光等々を感じ取るしくみについて、科学的検証の苦労話などにもニンマリしつつ、遠く深く知ることができます。
で、タイトルが示すように、読み進むうちに、ハチにまつわるトンデモ話は感覚ワールド界隈に留まらず、私たちの「心」を相対化し、「意識」を優しく包み込んで無重力宇宙に置き去りにしてしまいます。
ぜひ、めくるめく昆虫沼の一端を覗き見してみてください。

おかわり旬感本
(6)『ハチは心をもっている』ラース・チットカ(著)今西康子(訳)みすず書房 2025